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第7回くらがく(働き方について)

「フリーランス」という働き方はご存じでしょうか。

近年、フリーランス という働き方の認知度が上昇しています。そこで、フリーランスの働き方について、くらがくで考えてみました。

講師はフリーランスのデザイナー

今回の講師は、フリーランスで活躍するデザイナーの山口 百香(やまぐち ももか)さん。
岡山県内の芸術大学を卒業後、倉敷市を中心にロゴ製作やチラシのデザインを行なっています。
また、山口さんは本業とは別に、大学生の頃から「フリーペーパーSTAR」というコミュニケーションマガジンに編集者として関わっています。「フリーペーパーSTAR」は、若者視点で見た地域の人・物・事の魅力を様々なメディア媒体で発信するプロジェクトです。

フリーランスとは


フリーランスという働き方がどのようなものなのかを知るために、企業に勤める会社員とフリーランスの働き方を比較してみました。

会社員:会社と雇用契約を結び、従業員として会社に所属する人。組織人。
フリーランス:会社や団体に所属せず、仕事に応じて、自由に契約する人。組織人ではない。
もっと分かりやすくするために、会社員とフリーランスを「教育」、「人」、「給料」、「税金」の4つ観点で比較してみました。
(会社員の特徴)
1. 社内教育がある(社会人として一般知識を身につける環境が整っている)
2. 上司がいる(間違ったことを指摘してくれる人がいる)
3. 一定額の給料(社内規定で定められた給料を、決められた日にちで受取ることができる)
4. 税金を自らが納めることがない(会社の経理担当が行う為、税金の知識がなくてよい)
(フリーランス)
1. 社内教育がない(社会人としての一般的常識等は自分で学ばなければならない)
2. 上司がいない(間違ったことを指摘してくれる人がいない)
3. 一定額の給料ではない(成果によって給料の変動がある)
4. 税金も自身で納める(税金の知識が必要)

つまり、フリーランスとは、デザインなどの主となる業務以外にも、一般常識、税務処理、スキルアップを独自に行なう必要があるのです。また、成果に応じて報酬を得られる働き方です。
では、なぜ山口さんは大学卒業後、直ぐにフリーランスとしての道を選んだのでしょうか。
その背景は山口さんがフリーランスという働き方を選択した経緯について教えていただきました。

フリーランス(デザイナー)の働き方を選んだ理由~「大学生活」~

山口さんは冒頭でも紹介したように、芸術大学出身です。
芸術大学への進学を決めた一番の理由は、絵が好きだからではなく、モノづくりをする人に憧れていたから。
ニコニコ動画などで配信されるアニメのような動画制作への憧れがあったことから、アートに関連した何かを創る大学で学びたいと思い、芸術大学へ進学したそうです。
入学後、山口さんは大きな衝撃を受けます。
それは、絵が上手な人がいたことだけでなく、学生の中にはすでに「絵描き」を職業としている人がいたことです。
軽い気持ちで大学へ進学した山口さんは、自分と周りを比較し、大きな劣等感を抱きます。しかし、自分は何がしたいのかを考えるきかっけにもなりました。

フリーランス(デザイナー)の働き方を選んだ理由~「フリーペーパーSTAR」~

山口さんは、所属していたゼミを通じて、フリーペーパーSTARをされている岡崎 遼太朗(おかざき りょうたろう)さんに出会い、活動に携わるようになりました。
フリーペーパーSTARに参加した理由は、山口さんがずっと悩んでいた「自分が何をしたいのか」を見つけるため。
フリーペーパーSTARの活動では、人との関わりを通じて多様な価値観に触れることができます。
山口さんは活動を通じて、人の価値観や想いを言葉や絵などの作品として表現しています。自身が感じたことや得たものを何らかのカタチにしたい、と思いながらプロジェクトに携わっていました。
大学在学中、編集長の岡崎さんに山口さんは人生相談をしました。
「何のために生きているのか分かりません。本当に絵が好きなのか分かりません。」と。
その答えに対し、岡崎さんは、「絵を見せてほしい。」と言い、山口さんは二次創作の絵を岡崎さんに見せます。岡崎さんは、山口さんの二次創作の絵を見て、
「君は、ある要素を組み合わせてメッセージを伝える方が向いているじゃないの。デザイナー思考に近いと思うよ。」
この言葉に山口さんは救われ、デザイナーを意識し始めたそうです。
在学中に行き着いた答えは、絵などを「描く」ことよりも、カタチを起こすまでの過程、つまり何かを「考える」ことが好きだということ。この考えが今の山口さんの職業であるデザイナーになったきっかけです。

フリーランス(デザイナー)の働き方を選んだ理由①~「インターンシップ」~

山口さんはいくつかの企業でインターンシップを経験しています。
山口さんが経験したインターンシップでは、決められた時間に業務を行い、昼休憩は周りの人たちと一緒にご飯を食べ、昼休憩を過ぎると業務終了時間まで働いたそうです。
インターンシップを通じて、山口さんは、決められたルールを守ることや人間関係など、会社員ならでの生きづらさを感じました。
組織の中で生きるのは性格上合わないと感じたことから、組織以外で働く方法がないかを模索し、「フリーランス」という答えにたどり着いたのです。

フリーランス(デザイナー)の働き方を選んだ理由②~「周りの環境」~

山口さんの周りには、フリーランスとして働いている人が意外にも多かったそうです。
親や友人、学校の先生、フリーペーパーSTARで関わっている人たちなどがフリーランスとして生計を立てており、自分でもできるのではと感じ、デザイナーを職業としたフリーランスという働き方を決心しました。

フリーランスという働き方を通して

フリーランスは仕事の受注から発注まで、自分のスキルを用いて仕事をします。
そのため、自分で仕事の裁量を決められるので、休みも自分で決めることができます。
しかしながら、すべてを自分で請け負うということは、仕事を任されない状況もあるということを意味しています。また、拘束が緩いためモチベーションを保ち続ける難しさを感じこともあるそうです。そのため、感情の起伏が仕事へ影響を与えないように、あえてモチベーションを低く保っています。

最後に~“働く”とは~

今回のくらがくでは、フリーランスのデザイナーとして活躍している山口さんから、フリーランスという働き方について説明してもらいました。
講義の中で「働くとは、生きるための手段でもあり、生き方そのものである。」と、山口さんは仕事についての価値観を語っています。
会社員では、担当した業務に集中すればよいため、組織や社会の中での自分の立ち位置が見えにくくなるでしょう。一方で、フリーランスという働き方は、自分の力で社会との関係を築き、仕事を受けなければなりません。
だからこそ、フリーランスという働き方は、会社員の働き方よりも「生き方」が強く見えてくるのだと感じました。
働き方の多様化が進む現代だからこそ、山口さんのように、自分にあった働き方を見つけることは大切だと思います。そして、自分にあった働き方を見つけるためにも、色々な人と関わることも重要だと感じました。今回のくらがくが、働き方も探すきっかけになれば嬉しく思います。

働くとは

(講師が作成したスライドより)

今回紹介した「フリーペーパーSTAR」。よければ、こちらの記事も読んでみてください。


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