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[ことばとこころの言語学・22]「時そば」は聞き手に新しいスキーマとスクリプトを提示してそれを自ら崩すことで面白さを生じさせる。
落語に「時そば」という演目があります。夜遅くに腹が減り、通りすがりの二八蕎麦の屋台を呼び止めた男と、その様子を影から見ていた男の話です。 蕎麦屋の亭主に、「何ができるのか?しっぽく?じゃあしっぽくにしようじゃないか。今日は寒いからねぇ」と。亭主は「ええ、たいそう冷え込みますから」と返します。「どうでえ、商売のほうは?なに?ぱっとしねえか?まあ、そのうちにゃあいいこともあるさ。あきねえといって、あきずにやるこった。」 「ありがとうございます、お客さんはうまいことをおっしゃいま
[ことばとこころの言語学・13]マホガニー製の机の上には、一輪のバラの花がアールデコ調の花瓶に活けられており、椅子は子供用のものが一脚、そして残りの三つにはキルトのクッションが置かれています。
わたしたちは現実に自分の経験や知覚を<ことば>で表すことができるでしょうか?大きな段ボールを抱えた人が私たちの方に向かってくる場面を想像して下さい。その人は前がよく見えていません。そして、その人目の前に机があります。そんなとき 「ここに机があります。気をつけて下さい」 といったりします。そうすると、この表現は現実の事柄が<ことば>で描写されていると考えてもよさそうです。 しかし、「ここに机があります」と言った場合、どのような種類の机で(木でできている、スチール製、ガラス