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映画「えんとつ町のプペル」【感想】友情物語の先にあるもの

気になっていたものの、ずっと見れてなかったキングコング・西野亮廣さんの絵本が原作となっている映画「えんとつ町のプペル」。控え目に言ってもとても、とてもいい映画だった。(今でもだけど)芸人を経てビジネス分野でも活躍されている上に、こんな素敵な物語を紡げてしまう西野さんって本当に多才な方だなとも感じた。

もちろん、注目すべきは脚本だけではない。たくさんの人たちの手によって作り上げられているこの映画自体、様々な才能の集大成とも言えるかもしれない。どこを切り取って見ても面白く、楽しいのだ。約1時間半の映画だが、もっと長いような、そんな密度の濃い作品だ。笑いや悲しみ、切なさや怒り、そして絶望や希望、いろんなものが詰められている。

似たような感覚、他でも味わったことがある。そうだ、ジブリ作品だ。空から降ってきたのは女の子ではなく、「ゴミ人間」という違いはあるものの、トロッコで進んでいくシーンや、星を見るために奮闘していく過程は天空の城を目指すバズーたちと重なるものがある。その一方で、外の世界なんてないと信じて生きていく人たちを見ていると、最近見たアニメ「ビルディバイド」の世界のようにも感じられ、とても不思議な感覚で見ていった。

とは言え、当たり前だが「えんとつ町のプペル」はそれらとは異なる作品だ。もしかしたらジブリの影響を受けてるのかもしれないとはやはり思ってはしまうが、「プペル」は「プペル」として、その魅力に満ちあふれていた。まず、「ゴミ人間」プペルだ。彼を演じているのは役者・窪田正孝さん。名前を見るまでは窪田さんだとは思いもしなくまず驚いたが、とても味わい深く、かつ親しみ深く演じられていた。本当は「人間」でないが、とても人間くさいところがとてもいい。役者としての彼とはまた全然違うのがまた良かった。そして、プペルと友達になったルビッチ役の芦田愛菜さんも同様に名前を見るまでは全くわからないほど、小憎らしくも可愛らしい、そして最後にはとても頼もしいルビッチという男の子がちゃんとそこにいると感じられた。

「プペル」はそんな彼らの友情物語だ。出会った当初はとても相性がいいとも思えなかった、プペルとルビッチ。だが、いつしか仲良くなり、かと思えばすれ違ってしまったり。そんな折に入ってくる歌がとても染みてくる。今思い出しても胸が熱くなる。

そして、友情の話だけでは終わらなかった。この世界では”「えんとつ町」しかない、外の世界なんてない”と言われ、そう街の人々に信じられている。いや、信じ込まされている。それをプペルたちが、抵抗にあってまでも打ち砕こうと立ち向かっていくサマはとてもかっこよく、たくましかった。

この物語の中だけのことだけではない。きっとじぶんたちもある意味「えんとつ町」の住人だ。少なくともじぶんはそう感じている。だけど、もがいてもがいて「星」を見るために奮闘しては失敗し、星なんて本当はないんだと言い聞かせてみたりする。でも、やっぱり「星」を見たくて立ち上がっていく。実際にはまだ「星」は見れてはいないけれど、諦めずに見ようともがいてもがいてもがき続けていきたい。そう思わせてくれる映画だ。

西野亮廣さんの(原作の)映画だから見たい、見たという人はもちろん多いだろう。でも、だからこそ見たいとは思わない人もきっといるだろう。でも、そんなことは関係なく、ひとつの映画として見ていって欲しいし、そんな映画だと思う。じぶんはどちらの気持ちも多かれ少なかれ持っていた気がするが(見たいけど、見たくない、でも見たい)、正直に言えばもっと早くに見ておくべきだったと今は思う。今回、noteで感想を執筆するために映画を見返しているがまだ途中なので、再び最後まで見ていこうと思う。第2弾もあるような話をチラッと聞いたのでそちらの方も楽しみだ。

(見返しつつの)追伸:プペルの父ちゃんも大好きだけど、母ちゃんも彼女のキップの良さも大好きだ。(特にラストあたりは秀逸)

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