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マンガ「金田一少年の事件簿R」【”人形島殺人事件”感想】3人の正体不明人物の本当の姿

今回はドラマ化されてない「金田一少年の事件簿」の感想を書いてみる。漫画「金田一少年の事件簿R(リターンズ)」単行本の8,9巻に収録の「人形島(ひとがたじま)殺人事件」だ。

またしても島で事件が起きる(定番1)。美雪はもちろん、剣持さん、いつきさんまでもが登場する。そして顔が分からない人物の存在(定番2)。だが今回はなんとそんなキャラが3人もいる。それぞれが別の人形のコスプレをしているというのもコミカルのようでいて、どことなくこわい存在たちだ。絶対、物語のキーパーソンズになるなと思ってたら、まさにその通りだった。さらに、事件が起こったあとは電話などが繋がらなくなってるし、島を離れることができるのは数日後ときたもんだ(定番3)。定番の嵐、これぞ「金田一少年」だ。

だからと言って、話の展開は全然予想ができるものでもなかった。犯人の目星もまったくつかなかった。分かってみれば、ああなるほど、とは一応合点がいったが、はじめが謎をすべて明かすまでとんと気付くことはできなかった。今回もいわくありげな人物ばかりだったこともある。コスプレの3人ほどのインパクトはないにしても、誰もがあやしく見えるのもいつもと同じだった。(定番4。カウントには特には意味はない。笑)

そんな中で、どういった理由でこの島に訪れたか、どんな思いを抱えていたかなどが分かってくる人物も多いが、最後まで詳細を明らかにされずじまいだった人物も何人かいた。ここがうまい。誰もが犯人であってもおかしくないように見えてしまう。(でも、深掘りをしてほしくもあった)

トリックもなかなか手が込んでいた。コスプレ3人衆の顔をはじめとする正体が一切分からないだけに使えたトリックの数々。とは言え、腑に落ちない点もいくつかあった。コスプレ3人衆はみな筆談で会話をするが、筆跡には誰も触れなかった。また、彼女らの記事ではじめが今回気付いたようなことを熱狂的なファンたちが気付かなかったのだろうか、という疑問もある。

そして結末だが、今回の被害者となった人物はそうなるきっかけを作ってしまったこと自体の罪は大きいし、実際に犯人の手によって裁かれてしまった。だが、殺されてしまうほどの罪深さがあっただろうかと思ってしまう。むしろ、自ら償おうとしてることからもやりきれないものがある。もちろん、今回の事件に限ったことではない。自業自得だと思うほどの人物が被害者であることも多いが、その場合とはまた全然違う感情が湧いてくる。「金田一少年の事件簿」はまだ全てではないにしても多くを読んできたし、ドラマも見てきたが、いつまでたっても慣れない。なんとも形容のしがたいモヤモヤが残ってしまった。

だが、これでいいのかもしれないとも思う。この感情を、モヤモヤを感じなくなってしまったら、その時は「金田一少年の事件簿」からの卒業なのかもしれない。この感情とうまく付き合いながらも、「金田一少年」に限らずいろんな作品にこれからも触れていきたい。


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