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【考察⑤】「米津玄師/灰色と青」 〜MV考察。地下道、喫煙の意味など〜

今回は特にMVに注目したい。
私は映像に関しても知識がないので、一素人の見方で気づいたことを気ままに書いていこうと思う。

MVは映像作家 山田健人さん(↓)という方が手掛けているらしい。

山田はSuchmos、米津玄師、菅田将暉、宇多田ヒカル、BiSHなど、 さまざまなアーティストのミュージックビデオ(MV)、ライブ映像、企業CMを手がけている。また、バンド・yahyelではVJとギターを担当。1992年、東京生まれのクリエイターだ

J-WAVE NEWSより引用


公園で喫煙する意味(男性2)

公園でブランコに乗って喫煙している男性2。
古語で「かたみ」という言葉がある。
この「かたみ」になるものの一つとして、「二人で見た景色」があるという。
昔、二人でブランコに乗り同じ景色を見ていたことから、男性2が男性1を偲んでいることになる。

喫煙の煙
【考察④】では「銀河鉄道の夜」における狼煙と書いたが、
・男性2が履いているパンツの白い線
・影の黒い線
・タバコの煙
・霧または霞

線と煙=お線香を上げている、という意味もあるだろう。

花束の意味

(男性1)
ひしゃげて曲がった あの自転車で走り回った
馬鹿馬鹿しい綱渡り 膝に滲んだ血
 (中略)
何故か訳もないのに胸が痛くて
滲む顔 霞む色

(男性2)
どれだけ 無様に傷つこうとも
終わらない 毎日に花束を 

最初に投稿したレビューでは、男性2が自分自身に花を贈っていると書いたが、男性1に対して贈っている意味もあるかもしれない。
「血」「胸が痛くて」「滲む顔」「霞む色」=死を連想させることから、男性2は男性1にお花をお供えしている!?


男性1が通る地下道

順番通りに男性1の動きを見ていくと、

・電車に乗っている(明け方)
・地下道を歩いて渡る
・公園につく(昼間〜夕方〜夜)
・どこかの建物の屋上に行く(明け方)
・再び、電車に乗っている

地下道は白いタイル外壁のトンネルになっている。

・映画「キッズ・リターン」(楽曲制作にあたり、この映画の影響もあった、とのこと)でも似たような風景が出てくること
・月の通り道を「白道」という
・仏教用語では極楽浄土につながる道も「白道」という

と関係しているのかもしれない。

字幕(テロップ)の色

MVに歌詞が字幕として載っている。
それぞれが歌う部分の歌詞の色が違う。
男性1:灰色(白!?いや、これは灰色。ということにしておきたい)
男性2:青

これは、男性1=死、男性2=生という意味だろう。

「窓に写る」

一般的に、写真は「写る」、映像は「映る」。
通常、「窓にうつる」場面では「映る」が正しいと思うが、あえて「写る」としているのは、動的ではなく静的なものを表現しているのだと思われる。

つまり、時が止まっている存在=死。

男性1のピアス

三角形と丸いピアスをしている。

・「銀河鉄道の夜」には三角標が出てくること
・3原色を結ぶ三角形
・太陽(丸)と有明の月(三角)のイメージ!?

と関係があるのかもしれない。

揺れるブランコ

1.男性1が歌う部分では男性2のブランコは揺れていない。(明るい時間帯)
2.男性2が歌う部分では男性1のブランコは揺れている。(夜)
3.男性1が歌う「(1回目の)朝日が昇る前の〜」男性2のブランコは揺れている。(夜)
※男性1の揺れ方は男性2のそれと比べて小さい。

1は時間帯が明るい時間、2と3は夜なので、二人は会ってはいないが隣でブランコを漕いでいることになる。

また、男性1=「有明の月」であると仮定したが(過去記事)、2人が座るブランコの位置も正確だ。
画面右が男性2、画面左が男性1の位置関係。
これは、地球から見た時の太陽と有明の月の位置関係と一致している。

有明の月はもうすぐ新月になる=死となることから、ブランコの揺れが小さいのも合点がいく。



こうして見ていくと、MVも一つの立派な「作品」になっていることが良く分かる。
MV制作一つとっても、どれくらいの人数と労力や時間が関わっているのだろう。
細部までこだわりを持って作っている人々の息づかい、それは米津作品を最高の極みまで仕上げる気概と気迫でもある。
それを感じて、さらに味わい深い。



参考書籍
美しい日本語が話せる書ける万葉言葉/上野誠/幻冬舎


参考サイト





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