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貨幣経済や労働経済とソーシャルキャピタル【元外交官のグローバルキャリア】

金融資産から人脈に目を向けたい。現代版都市型の「結」を作っていきたい。

「結(ゆい)」とは、農村社会に古くからみられる慣行で、農家相互間の交換契約に基づいて、互助的に行う協同労働である。

全国町村会

経済、金融、医療、現代美術、音楽、地政学、グローバル事情、量子力学などなどの幅広いネットワークの商業的叡智を結集させる。

オンラインサービスでもプラットフォーム事業でもなく、クローズドでリアルなネットワーク作りを目指す。人間相互間の信頼のうえで労働力を差し出す「結」の如く、知識や情報を交換できるゆるい場としたい。

現代版都市型「結」とソーシャル・キャピタル

OECDのように一つの行動規範や理念に基づく人々が、有機的に参加できる枠組みを設けるのだ。そこで得られる情報、知見が化学反応を起こし、普通に自由経済市場で利益が発生する結果になるかもしれない。なってほしい。

「結」は、信頼をベースにした互酬性のある協働関係、つまりは「ソーシャルキャピタル」を基盤としている。2000年代初めにハーバード大学の政治学者パットナムがソーシャルキャピタルを定義して、それにフランシス・フクヤマが「信頼」要素を加えて経済競争力を表した。
両者の「Bowling Alone」 と「Trust」を20年前にワシントンの高等国際関係大学院(SAIS)で読み、そのコンセプトは印象に残った。

ソーシャル・キャピタルも大事な資産の一つ

周りの人からどれだけ支えてもらっているか、知恵を授けてもらっているかというソーシャル・キャピタルに触れてきたかは人生を左右する。それをよく認識して、その力を十分に活用して、世の中が良い方向に向かうようなコミュニティが作りたい。自分の3メートル四方の人々がしあわせになることを目指す人の数を増やしていくとしよう。

人の役に立つために生きるには、労働者マインドからの脱却が大切だ。それには、お金に対する教養をしっかりと身につける必要がある。同じように考える人(like-minded people)とじっくり話すことで得られる知識やひらめくアイデアがあるはずだ。そもそもOECDやダボスでは考えを同じくする人同士でそういうことが行われているのだろう。

叡智が結集する「ハブ(Hub)」を

自分の能力の一つに「場の提供」「イベント作り」「ハブ機能」がある。コロナ禍に13年間の外交官生活から帰国したので、すっかりその感覚が鈍っていた。ホノルルで利酒のペアリングイベントに地域の重鎮を招いたり、日米の潜水艦隊に武士道と茶道を紹介したり、と業務として日本関連行事を企画した。仕事以外でも幾度となく、高校生の時からとんとんにしかならないイベントを企画していた。
久しぶりに自分のホームベースの東京に戻って、大学からの自分のネットワークが広くて深いことに気がついた。そして、感染症の恐怖からも解放され、新しい人と知り合う機会もどんどん増えている。ギャラリーやカフェ、レストランなど「場」とのつながりも出来てきた。

森林浴で行動派に出会う

先日近郊の半日の森林浴ツアーに参加したところ、ウェルビーイングについて考えを同じくする人たちと出会った。たった半日、五感を使って林の中を歩いてベジタリアン・ランチを食べるだけで、発展性を感じられる行動派に巡り合った。この1年間、半年間の講習会、各種セミナーや勉強会に参加してきたが、森の中に代え難い人材が潜んでいるとは想像しなかった。これだ、この異業種の結びつきの魅力だ、と思った。

自分は、「The Tipping Point」でいうところの「コネクター」だ。人と人を昔から結びつけている。パットナムといい、グラッドウェルといい、若い頃に読んだコンセプトが20年間の熟成ででビンテージワインのように飲み頃になっている。

X世代のパラダイムシフト

堅実路線だと思っていた人たちが、独立開業の道を選ぶ大きなパラダイムシフトが起きている。組織に頼らずに自分の腕一本で生活している人々とたくさん巡り合った。この流れは都市型現代版「結」を考えるに最適な機運だ。

これからもどんどん行動を起こすヒトを見つけて、イベントに声をかけて、知識を共有しあって、化学反応が起きることを期待したい。もっともっと意識的に意図的に人や機会を結びつけていきたい。

↓ ↓ 働いて稼ぐのではなく、役に立つように生きて生活する ↓↓

↓ ↓ 人生や自分の役割を見直して独立したこと ↓ ↓

以下、ソーシャルキャピタルについてパットナム本人の動画。

Social capital works through multiple channels:
– Information flows (e.g. learning about jobs, learning about candidates running for office, exchanging ideas at college, etc.) depend on social capital.

– Norms of reciprocity (mutual aid) rely on social networks. Bonding networks that connect folks who are similar sustain particularized (in-group) reciprocity. Bridging networks that connect individuals who are diverse sustain generalized reciprocity.

– Collective action depends upon social networks (e.g., the role that the black church played in the Civil Rights movement) although collective action also can foster new networks.

– Broader identities and solidarity are encouraged by social networks that help translate an “I” mentality into a “we” mentality.

What are some examples of social capital?
When a group of neighbors informally keep an eye on one another’s homes, that’s social capital in action. When a tightly knit community of Hassidic Jews trade diamonds without having to test each gem for purity, that’s social capital in action. Barn-raising on the frontier was social capital in action, and so too are e-mail exchanges among members of a cancer support group. Social capital can be found in friendship networks, neighborhoods, churches, schools, bridge clubs, civic associations, and even bars. The motto in Cheers “where everybody knows your name” captures one important aspect of social capital.

Copyright © 2024 Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community
by Robert D. Putnam. All rights reserved

ソーシャル・キャピタルにおける信頼の役割を特に強調したフランシス・フクヤマ(Francis Fukuyama)は、ソーシャル・キャピタルを「信頼が社会に広く行き渡っていることから生じる能力」と説明し、信頼のレベルが経済競争力や民主主義の度合いを条件付けるとした。それは基本的に各種の「取引コスト」を下げることに繋がるからである。 このように「信頼」は、社会の効率性と大いに関係がありそうなことがわかる。 さらにパットナムは、信頼について、「知っている人に対する厚い信頼(親密な社会的ネットワークの資産)」と、「知らない人に対する薄い信頼(地域における他のメンバーに対する一般的な信頼)」を区別し、「薄い信頼」の方がより広い協調行動を促進することに繋がるため、ソーシャル・キャピタルの形成に役立つとしている。 また、信頼があると自発的な協力が生み出され、自発的な協力がまた信頼を育てるとされている。このようにパットナムは、信頼をソーシャル・キャピタルの本質的な構成要素の一つとして捉えていたと同時に、ソーシャル・キャピタルが信頼を生み出すとも考えていたといえる。

内閣府NPOホームページ

パットナムは様々な規範の中でも、互酬性の規範を特に重視している。互酬性とは相互依存的な利益交換であり、均衡のとれた互酬性(同等価値のものを同時に交換)と、一般化された互酬性(現時点では不均衡な交換でも将来均衡がとれるとの相互期待を基にした交換の持続的関係)に分類される。 そして一般化された互酬性は、短期的には相手の利益になるようにという愛他主義に基づき、長期的には当事者全員の効用を高めるだろうという利己心に基づいており、利己心と連帯の調和に役立つとされている。

内閣府 NPOホームページ  ソーシャル・キャピタル(Social Capital)
ソーシャル・キャピタル調査研究会


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