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リノベーションのジレンマ(The Renovator's Dilemma)

 シルバーウィークに突入しましたが、みなさま、いかがお過ごしですか?ここ数日、過ごしやすい気候になり、明け方は肌寒い日も増えてきていますので、体調にはお気をつけてくださいね。

「バリュー・リノベーションズ・さの」の由来

 今回のテーマは「リノベーション」です! バリュー・リノベーションズ・さの(VRS)にも「リノベーション」という言葉を入れていますが、なぜ「バリュー・リノベーションズ・さの」と名付けたかと言いますと、バリュー(value=価値)をリノベーションすることから、「さの町場などの中心市街地エリアの価値を手を加えてよいものにしていく」という意味を込めて名付けました! VRSについては、こちら↓  をご覧くださーい!

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また、noteでも紹介させていただいていますので、ご一読を~

イノベーションのジレンマ

 さて、今回のタイトルが「リノベーションのジレンマ」としていますが、なんか聞いたことがあるぞー!ってお思いの方、素晴らしい! MBA(経営学修士)の必読本の一つともいわれていますクレイトン・クリステンセン氏の著作「イノベーションのジレンマ」です。この「イノベーションのジレンマ(The Innovator's Dilemma)」は、

業界トップになった企業が顧客の意見に耳を傾け、さらに高品質の製品サービスを提供することがイノベーションに立ち後れ、失敗を招くという考え方

を、実例を挙げてわかりやすく紹介している本ですので、また機会があれば読んでみてくださいね。

さて

  今回のテーマは冒頭でもお話しましたように、「リノベーション」です。前にもリノベーションをテーマにしてnoteを書かせていただきましたが、覚えていますか? ご覧になられていない、または覚えていない方はこちら↓ をご覧ください!

リノベーションへの怪

 リノベーションって、今ある物件を活用するから、建築費用も抑えられて結構費用が安くなるんじゃないか~って思われている方も多いと思いますが、実は筆者もそう思っていました! でも実際はそうでもなく、建て直した方が安くあがるって場合もあるそうです。たとえば昭和56年5月31日以前に建てられた物件ですと、旧の建築基準法で建てられているため、耐震強度が不足している物件も多く、その上、老朽化や自然災害などで骨組みや小屋組みまで損傷が激しい場合になると、復旧すら難しいってこともあるんだそうです💦 なのでリノベーションをする場合、どこまでを工事業者に頼むかの判断が非常に大きく、それによって予算の増減が決まってきます。

※ちなみに、小タイトルの「リノベーションへの怪」は、同じクレイトン・クリステンセン氏の著作「イノベーションへの解」をもじりました(笑) こちらもいい本ですので、ご一読を~(出版社や作者から一切謝礼はもらっていませんwww!)

リノベーションのジレンマ①

 2020年2月に開催した「さの町場 まちやど実践ワークショップ」で生まれた2つのプロジェクトも、リノベーションのジレンマに陥りました。

 まずは、先だって「まちば開きinくらふとや」でイベントを開催した「まちばの芽」の物件です。

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 こちらのプロジェクトは、200年以上前に建てられたと思われる物件を活用して、その趣をいかしたゲストハウスにしようと考えていましたが、ゲストハウスに必要となる衛生上の問題を解決するための公共下水道の接続です。

 公共下水道が物件の前の道路に敷設されているものの、その公共下水道に接続するための公共ますの位置が、この物件の両端に設置されていて、公共下水道を利用する場合は建物の一部を取り壊す必要があることや、昔ながらの家特有の水回りが点在していて工事費用が結構かかること、広大な敷地ゆえに今ある公共ますへの接続までの勾配が足らないなど、初期投資にかかる費用が多額になり、そのために新たに水回りの設備を増設するとなると、さらになん百万レベルの工事費が必要となり、事業開始するための初期投資の負担が大きくなるため、工事するのに躊躇(ちゅうちょ)していました。

 が、VRSが行政側と協議し、行政の事業として位置付けていただき、公共下水道に接続するのに一番適切な場所に新たに設置していただけることとなり、ジレンマはいったんは解消されました!

※この事例は、あくまでも公共事業としての位置づけられたため、行政側の負担で工事をしていただくことになったのであり、他の事例すべてに適用されるわけではありませんので、ご注意ください。

リノベーションのジレンマ②

 次のジレンマは、同じく「さの町場 まちやど実践ワークショップ」で生まれたプロジェクトで、今から40年くらい前の昭和50年代頃に建築されたと思われる物件です。

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 この物件は、見ての通り、屋根が「陸屋根」と呼ばれるこの当時流行った小屋組みの無いまっ平らな屋根でして、この屋根の欠点は、老朽化すると屋根にひび割れがおこり、それが原因となり防水効果がなくなり、そして雨漏りがしやすいというところです。借主自ら建築家の方にお願いして、見ていただいたそうですが、自分らでするにも高所作業となるため、足場を組まずに安全にできるかという問題に直面しました。

 その話を、VRSとともに借主が不動産オーナーに相談したところ、屋根の補修だけでなく、屋根周りの剥脱(はくだつ)しそうなパラペットも雨漏りがしないように鉄板で巻く工事も不動産オーナー側の方でしていただきました!

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 しかも家賃は交渉したときのままです!このように借主さんも大喜びです!こちらもジレンマは解消されました~!

リノベーションのジレンマ③

 最後のリノベーションのジレンマですが、VRSで初となる本格的プロジェクトとして借り受けた物件のリノベーションです。

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 2年前にこのエリアを襲った台風の影響で、ご覧の通り、老朽化だけでなく、損傷も激しくなっていました。この物件にはさらに大きな問題があり、いつから発生したかわかりませんが、雨漏りの影響もあり、シロアリが発生しており、建物を支えている一部の柱が完全にやられていました・・・😨

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 こんな状態ですね・・・ 現在、業者さんと打合せしていますが、限られた予算と、事業採算性の問題からやれる範囲の工事をしないといけないのですが、果たしてどこまでできるか不安ですが、自分たちでできることはDIYで対応するしかない!と考えています。

 もしかしたら、今までのセミナーでお世話になった方にもご協力いただくことができればいいなと思っています! 

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 VRSの物件のジレンマは・・・まだまだ続きそうです💦 また進展があればご報告します!

リノベーションで闘う方法論

 リノベーションビジネスセミナーの中で(株)ルービスの福井さんがお話していましたが、工事業者はスポットでお願いする場合が多いため、どうしても単価が高くなる傾向にあると伺いましたが、工務店が入ったりすると、工務店の利益も必要となるため、そこでも費用が高くなるのだそうです。

 同じリノベーションビジネスセミナーで、ハンディハウスプロジェクトの加藤渓一さんが、「ひとつの都道府県に、いちハンディハウスプロジェクトをつくりたい」って仰っていましたが、それが現実になれば、工務店を通さなければ工事ができないスキームが少しずつ変わってきて、空き物件の活用が進んでくるかもしれませんね。

その当たりのことをnote↓ でも紹介していますので、またご覧くださいね~

 リノベーションは費用との闘いだけでなく、リノベーションする物件への愛着がないと、人任せに終わってしまうことから建物を粗末にしていまいがちなので、無理して費用をかけることはしなくても、自分たちでできるところは自分たちでして、そのことで、その建物の愛着を持っていただく取り組みも、空き家問題が喫緊の課題となっている今日には必要だと思います。

さて、今回は以上です。えっ?「イノベーションのジレンマ」とどう関係あるのって? 特に関係はございません! 単にモジっただけです~(笑)


サポートしていただけると、モチベーションをもってnoteに取り組めます!(笑)