いま、何ができるか?〜排水ポンプから学ぶ〜
しばらくの間、お店を休みにすることになった。
身体は至って健康そのもの。
世界を震撼させる未知の病原体の影響というわけでもない。
ただ、排水ポンプが壊れただけだ。
2020年2月末、多くの人の心がざわついたのは記憶に新しい。
それと同じぐらい、2022年4月6日、僕の心はざわついた。
4月5日の営業を終えた翌日、とつぜん、仕事がなくなった。
定休日であるものの、本来なら仕入れや仕込みをする日。
次の営業週の予定を立て、必要なものを準備していく大事な日。
飲食業は「仕込み業」だ。
地下にあるお店は、流した水を一度地上に持ち上げないと排水できない。
シンクや手洗い器に流す水、トイレから流す水、エアコンや冷蔵庫から出る水。
これら全てが排水ポンプによって地上に持ち上げられる。
そのポンプが故障すれば、飲食店営業ができなくなるのは想像に易い。
たかがポンプ、されどポンプ、である。
正直なところ、最近お店が忙しく、「ちょっと(ちょっとだけ)お店休みたいな」と思っていた。
その結果これである(笑)(いや、笑えんけど(笑))
おまけに排水ポンプの取り替え工事の目処が立たないという状況。
無期限休業。
まるで2020年の2月末に戻ったよう。
営業に必要なコーヒー豆やケーキ材料やその他諸々はすべてあるのに、営業できないもどかしさ。(というか営業するための準備ができない)
先週、「またお待ちしてますね」と言葉を交わしたお客さんと次に会えるのがいつになるのかわからない。(最悪の場合、その日は二度と来ないかも知れない)
売上の目処が立たず、自分の生活はどうなってしまうのか。
恥ずかしい話、僕の内側は不安や苛立ちでいっぱいだった。
4月6日から少し時間が経って、冷静になってきた…と思う、たぶん。
「2020年の2月末からの自分はどうしてたっけ?」
振り返るとそこには今を乗り越えるヒントがたくさんあった。
言われれば当然だけど、できること、できないことを把握し、できることに注力するしかない。
本来なら手に入れられなかった時間ができたと思えば今回の件は、むしろプラスの出来事。
お店の排水ポンプの取り替え工事の前に、自分の中の排水ポンプをまず、きちんと動かそうと思った話。
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