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CODA(2021)

大音量。けたたましくラップを鳴り響かせた車で迎えに来る両親。恥ずかしい。周り全てが自分のことを見ているような気がする。気になる男の子も、友達と笑ってた。いやだ。こんな家族いやだ。

自分以外耳が聞こえない家族。だけど、そこにあるのは、どこよりも普通の思春期の物語。

虫を見るような目の娘
©︎CODA


あまりに自然で。あまりに自分たちが通った道で忘れる。
だけど、ルビー・ロッシが学校の合唱会で歌うとき。聴きにきた両親と兄の視点に切り替わる。つまり、音が消える。合唱会で音が消える。自分の娘が褒められている理由がわからない。うまいかどうかわからない。一番に褒めてあげたい存在なのに、周りの反応を見て、周りの拍手を見て、周りのスタンディングオベーションを見て、やっと自分も笑顔で、拍手で、立って喜べる。そんな視点の切り替え。歌がうまければ上手いほど、静寂は響く。


家族のために大切なことを諦めようとするルビー・ロッシに、父は悩み、母は喜び、兄は怒る。
「俺はお前の兄貴だろ!なんとかするさ!」
不甲斐なさなのか、愛ゆえなのかわからない。兄レオ・ロッシの正直な叫びは彼女の何を変えたのか。


彼女の歌を聴きたくて、顔に、喉に手を置く父。伝わる。何かが伝わる。



CODA:Children of Deaf Adults

きこえない・きこえにくい親をもつ聞こえる子どものこと






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