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着物について思うこと

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和裁の専門学校を出たのに長いこと遠ざかっていた着物とのおつきあい、50代になってぼちぼち復活。
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おかえり

おかえり

しみ抜きと丸洗いに出していた小紋が返ってきました。
あちこちに細かなしみがあったのがすっかりきれいになって嬉しい!

これはお気に入りの1枚なので、これからも大事に着ていきます。

そしてもう1枚、タンス焼けがひどかった紬。想像してたよりはずっときれいになったとはいえ、着物としては難しいかな~?

裏返したり、ここを下前に持ってこれたらいけるか……? もう少し悩むことにしよう。
それより縫い代の折

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職人は芸術家

職人は芸術家

素朴な風合いにぬくもりを感じる民芸品に対して、ときに狂気すら感じる精緻な技術に唸らされることの多い工芸品。どちらもそこに至るまでの創意工夫と試行錯誤を思えば、途絶えさせたくない、しっかりと保存継承されていってほしいと願わずにいられません。

三鷹市にある国際基督教大学の湯浅八郎記念館で開催中の『型紙 精美なる技』展を見てきました。

型紙づくりの大まかな工程は知識として知ってはいましたが、あらため

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染料と顔料の違いを逆手にとる

染料と顔料の違いを逆手にとる

去年11月にお手入れに出した3枚のうちのひとつが帰ってきました。

もとはグレーがかった薄水色地に型友禅で橘を描いたもの。

肩山〜袖山、背中心が黄色っぽく変色してしまっていました。
汚れと違って落ちにくく、むりになにかすれば糸が傷んでしまうかもしれない、濃いめの色を全体にかければ目立たなくはなるけど、柄が沈んでしまうしねぇ……と考え込んでいた悉皆屋さん。

ふと何かに気づいて柄の白いところを指さ

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襦袢で試行錯誤

襦袢で試行錯誤

ん十年ぶりに着物を着るようになったこの数年、なかなか襦袢の正解にたどりつけなくて、いろんなYouTubeやブログをあれこれと見ながら工夫を重ねてきたんですが、ようやく自分が着やすい、納得のいくものが見えてきました。

自装を楽しむ方から着付けを仕事になさってる方、着付けを教えていらっしゃる方、それぞれに「こうすればバッチリ!」というアイデアや商品を披露してくださってるのを次々と試してみるも、思うよ

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二部式着物を長着にもどす

二部式着物を長着にもどす

母からもらった二部式着物。昭和のどこかで流行ったのかしら? 戦後、洋装が当たり前になって着物の着かたも忘れられたころ、これなら簡単に着られます、とか言って勧めたりなんてことがあったのかも?
母は自分で着られたけど簡単になるならそれに越したことはないとでも思ったのかな。

ところがいざ着てみようとすると、どうも落ち着かない。スカートは長さが決まっていて、それが母仕様だから私にはちょっと短い。かといっ

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お針初め?

お針初め?

書の上達を願って書き初めをするなら、針仕事の上達を願ってするのはお針初め?ww

昨シーズン、お気に入りの紬が直しが必要になったのにシーズン終わりには忘れてしまいこんじゃったんだけど、ササッとできそうだからお針初めにちょうどよいかと出してきました。

左の袖付止まりで胴裏が裂けてしまい、表の縫い目が解けた状態。表地が裂けなくてほんとよかったわ。
本格的にやるとなると襟を解いて内側から手当てするんだ

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名古屋帯に紐をつける

名古屋帯に紐をつける

手持ちの名古屋帯は8本。半幅に比べると結ぶのが苦手で、たまに締めるときにはいつも四苦八苦、汗だくになるのがイヤでますます出番が遠のく……

作り帯にしてラクしよう、といろいろ調べて、2箇所に紐をつけてしまえばいいとわかり、さっそく紐を縫ってつけましたとさ。

これでお出かけがもっと楽しくなるはず! 昨シーズンは1度も着る機会がなかったから、今シーズンはたくさん着れるといいな〜

ガッカリ…からの、仕立て変え

ガッカリ…からの、仕立て変え

先日まとめてお手入れ依頼に持ち込んだもののうち、状態が悪くてシミ抜きができなかった色無地。母のお気に入りだっただけに出番も多かったのか、汚れもそれなりで……

気を取り直して洗い張りだけしたあと、シミのところをよけて何ができるか考えた結果、長羽織に仕立てかえることにしました。長羽織、持ってないのよね。

とはいえ超がつくほどの暑がりな私、迷うことなく単衣にしましたよ。

薄物でもないのに単衣なんて

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これで裁断がはかどるのです

これで裁断がはかどるのです

「買ってよかったもの」のタグにぴったりのものを先日手に入れました。

久しぶりに和裁を再開してしばらくはさらしで下着をあれこれ作ってました。このまえ、傷みの酷い色無地を羽織に仕立て変えようと思い立って始めてみたら、思わぬところで躓いたのです。

反物を裁つときは横糸を一本抜いて、それを目印に鋏を入れます。が、布の色が薄いせいか糸が細いせいか、いくら目を凝らしても全然見えない😢
そこでまずはスマホ

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ウールの着物

ウールの着物

専門学校時代に作った広幅洋服地のウール着物。ミシンで着物の形に仕立ててからフランス刺繍で柄付けしたもの。

家でゴロゴロするような日の着物としてウールは大好きなんだけど、手持ちのは数も限られていて、自作のと母のお下がりと合わせても3枚くらい? 私の行動範囲圏内ではリサイクルものでもほとんど手に入らないしな~と思っていたら、思い出しましたよ、もう1枚あったことを。それがこの洋服地のウール着物。

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残り物からなんちゃって半襦袢

残り物からなんちゃって半襦袢

学生の時に縫った木綿の袷長着。
木綿の手ざわりがよく、意外に暖かいので気に入っていた。

が、それは実家にいた頃の話。
いま住んでるマンションは実家とは比べ物にならないほど気密性が高く、日当たりもいい。そして温暖化である。
いくら木綿は簡単に洗えるとはいえ、家事労働で汗だくになんかなりたくない。

で、単衣に仕立て直したのが一昨年。表地はそうしてまた部屋着として楽しめるようになった。残されたのは裏

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手始めはウソつき襦袢

手始めはウソつき襦袢

コロナ禍が始まって間もない頃に買ってあった反物にようやく着手。
身頃は晒で袖だけ襦袢地に。お揃いで裾除けも。

腰ひもつけは反対側のほうがよかったわ…
どうせ自分のものだからこれはこのまま。次に作るときはもうひと工夫。
40年も前に習ったことなのに体が覚えてるってことはある。
人様のものを料金いただいて縫うものなら許されなくても、自分のだからまぁいっか。