人間とはよくできた生き物だ|第4話 やめてよ『ロビー』
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結局後輩から返信が来たのは週が空けた月曜日の朝だった。
(全然大丈夫ですよ!)
この週末は何もやる気が起きず、煙草に火をつけては消し、されど時間を持て余し、またつけてをずっとずっと繰り返していた。
(私の中にいる)
全く実感などないけれど、ロビーは実際にいる。
あのコスプレみたいなナースの隣でおじいさんが言っていたから。
(これね。多分『ロビー』だよ。『ロビー』がいるから。病気じゃないから大丈夫)
でも、私の中に何かいるってことは病気よりむしろヤバくないだろうか。
考えただけでまた吐き気がして来た。
ということでまた煙草に火をつけようと思ったけれど、いい加減諦めろ、と自分に言い聞かせてやめた。
(さて、準備するか)
吐き気は常に肺の後ろあたりに控えていて、ゴーサインが出ればいつでも出て来れそうだ。
しかし、『病気でない』のであれば仕事を休む訳にはいかない。
というか家にいてもしんどいだけだし、会社に行って後輩の顔でも見れば少しは楽になるだろうと思った。
(可愛い下着でもつけていこう。どれにしよう)
( ・ ・ ・ )
ロビーは私の気持ちも分かるのだろうか。
以心伝心?
本当に?
それならエラいことだ。
可愛い下着なんてつけてる場合じゃない。
いや、可愛い下着は別にやましい気持ちがある訳じゃない。
断じて違うし、そんなことは起きるはずもないのだけれど、ロビーがそうやって捉えてしまったらよくない。
(よくない・・・?)
(・・・何がよくない?)
考えていたらよく分からなくなったので、とりあえず可愛い下着はやめた。
ただ、髪の毛だけはしっかりと巻いて出勤した。
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つづき
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