人間とはよくできた生き物だ|第2話 君には失礼だけど吐き出したら楽になった
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昼食は会社近くのタバコが吸えるパスタ屋さんに入った。
いつもなら、食べる前に1本。
食べ終わってから2〜3本は吸うのだけれど、その時はタバコに火をつけては消し、またつけてを繰り返し合計7本もムダにしてしまった。
(風邪かな。風邪のときのタバコはまずいな)
とりあえず今日を乗り越えれば週末だ。
とは言えやはり調子は悪く、オーダーしたミートソースパスタも半分以上残してしまった。
粗めにひかれたひき肉とコクのあるトマトソース。
細いけれどしっかりとした歯ごたえのあるパスタ。
ピリリとした黒こしょうも最高においしいパスタなのだが、どうにもこうにも受け付けなかった。
(あぁ、だるいだるいだるい)
そう思いながら席を立った…あたりまでは覚えていた。
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『オエェ』
聞こえた瞬間口から真っ赤なものが飛び出して来た。
「あらあら、しんどいかな。ここに出して」
誰かがそう言いながらバケツを差し出してくれた。
背中もさすってくれているようだ。
とにかく私はムカムカとして、胃の中のものをすべ吐き出してしまいたかった。
『オエェ。。。ボッ、ボエェ』
涙が溢れ、喉が焼けるように痛かった。
『ボエ。。。』
ひとしきり吐き出し、少しだけ楽になった。
「はい、これで口をゆすいで。水もこのバケツに出しちゃって」
その人は水の入ったコップを差し出してくれた。
「ずびばぜん。何から何ばでありがとうございばす」
涙と鼻水と吐瀉物でべちゃべちゃになりながらお礼を言い、口をゆすいだ。
「はい、これも使ってね」
真っ白く清潔そうな腕にタオルがかけられていた。
そこで初めてこの人が女性だと気付き、顔を見上げた。
「あっ、ありがとうございます。」
とても白く美しい女性だった。
しかし、安いキャバクラのイベントのような、ナースのコスプレをしていた
「じゃぁ、先生を呼んでくるわね。待ってて」
(えっ、本物のナース?)
改めて周囲を見回すと確かにこじんまりとはしているが、ここは病院らしかった。
「はい、こんにちは。きみはね。。。」
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つづき
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