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ボクはやっと認知症のことがわかった


先日、『ボクはやっと認知症のことがわかった』を読みました。
認知症介護の経験がある方なら必ず知っているであろう、長谷川式スケールを考案した長谷川和夫先生が出版した本です。
長谷川先生ご自身が認知症になった後に出版した本、ということでとても気になっていました。


内容は、認知症の歴史や、長谷川先生ご自身のこれまでの活動、あたたかいお人柄について重きをおいた編集でした。内容的には、以前NHKスペシャルで放送された『認知症の第一人者が認知症になった』の方が、強く印象に残っています。
これから認知症と向き合う人には、認知症というものを知る良い本であり、母の介護を終えてから読んだ私は、復習のような答え合わせのような、そんな読後感でした。

以前、このような記事を書きました。

長谷川先生の著書の中で、
"認知症は、死への恐怖を和らげてくれる存在のような気がするのです"
と綴っています。

まさに私の母の時も、認知症が死への恐怖から救ってくれたように感じていました。

痴呆と呼ばれていた頃よりも、認知症に対して、周りの理解やサポートは進んできたと思います。しかし、認知症の根本治療薬は未だ開発されておらず、今、この時も認知症や介護で苦しんでいる人はたくさんいます。

以前読んだ、有吉佐和子さん著 『恍惚の人』は、1972年に出版されましたが、これだけの年月が経っていても色褪せることなく、今と殆ど変わらない実態に衝撃を受けました。
認知症は歳をとれば誰でもなる可能性がある病です。治療薬がなくても、周りの理解、サポート体制が進めば、長谷川先生がおっしゃっていた、脳の障害ではなく暮らしの障害という言葉の通り、認知症になっても安心して暮らしていける世の中になるのでは、と思います。
そしてやはり、自分が認知症を心配する歳になるまでには、治療薬が開発されていますように、と願うばかりです。

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長谷川先生の著書と同じタイミング(2019年12月)に、私も認知症介護の経験をもとに書いた短編をAmazon Kindleにて出版しました。こちらの短編集は、家族・記憶をテーマにした短編集となっております。Kindle Unlimited読み放題対象にもなっておりますので、よろしければ。

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