Xデザイン学校2022マスターコース|妄想とリフレーミング
Xデザイン学校マスターコース第6回目の授業で一番印象に残ったことは発想法と、アイディアの作り方のワークショップです。
発想法のワークショップとは「妄想スケッチ」を書くで、身の回りのものを題材にして、「◯◯のように見える」見立てを用いて妄想したスケッチを描くワークショップでした。
私は、目の前の椅子が、恥ずかしがり屋のおじさんの口元に見えました。
普段から、妄想を鍛える事で、柔軟な発想がしやすくなりそうだと感じました。
もう一つののワークショップは「アイディアの作り方」です。アイディアは何もない所から浮かんでくるのではなく、既存の要素を新しく組み合わせることによって生まれるというもので、今回は「新しい料理を楽しむ」アイディアを考えるワークショップでした。
料理を楽しむことを、家の中にある何かと組み合わせて新しいアイディアを考えてみました。
関係性が遠いもの(例えば、食べ物とは全く関係ないもの)の方が、新しいアイディアいが生まれやすいと感じました。
今回私は「食事」×「壁」で考えてみましたが、プロジェクター等で、壁の絵柄を変えれば実現出来そうだと思いました。
リフレーミングと新たな問い
今回の授業で一番学びが多かったのは「リフレーミング」でした。リフレーミングとは古い枠組みに新たな視点(枠組み)で状況を捉える事だそうです。
ワークショップの中で、「リフレームしてテーマを考慮した新しいサービスデザインを提案する」という課題があったのですが、ワーク中メンバーの1意見として「本当に移住者で良いのか?」という問いが出てきました。
確かに、チームメンバー全員が移住者サポートしたいと思っているかは疑問でした。最終的には、もう少し課題テーマの「近郊都市や地方の課題」について調べようとなり授業は終了しました。
しかし、近郊都市や地方の課題は無数に存在しており、再度いちから考え始めると時間がかかってしまうのではないかと感じました。
そこで、知り合いに相談したところ、「ビジョンやパーパス起点で、あなたたちが貢献したいユーザーはどういう人なの?」という質問をもらいました。
そして、そこを一致させる必要があるのではないか?とコメントをもらいました。
確かに、どの様な人をサポートしたいかは明確に決めていなかったので、そこがずれてしまうポイントだったかもしれません。
そこで、一旦個人でサポートしたいユーザーを設定して、もう一度一からやってみることにしました。
新たに考え直してみる
仮に、もし本当に自分がサポートしたい人は誰なんだろうか。
近い存在で考えてみると、地元の農家ではないかと思いました。
父が農家の息子だったことで、私自身も小さい頃からよく田んぼ手伝いをしていました。父の実家に行くことも多かったので、農家がどの様なことをしているのか、どんな課題があるのか、なんとなくは知っていました。
そこで、田んぼから課題を深ぼってみようと考えました。
フィールドワークからの気づき
私の地元は、何にもないですが田んぼだけはいっぱいある地域です。2000年の手前から、徐々に管理が難しくなった田んぼや収穫量が少ない山に近い田んぼから作付けをしなくなっていきました。
2022年になる頃は、日照条件が良い平地でも耕作を行わず、荒れた状態の田んぼが目立ってきました。
毎日お昼休みの1時間、4日間にわたり、近所の田んぼを歩いて田んぼがどの様な状態か、状態からどの様な課題があるかを考えてみました。
田んぼは作付けを行わなくなっても、すぐに荒れるというわけではなく、まずは空き地の様になります。田んぼたあった部分には雑草が育って土が見え無くなっていました。この時点では、大きな問題はない様に感じました。
数年が経過すると、徐々に背の高い草が育つ様です。町に近い田んぼだと、車道や歩道にはみ出してしまったり、電線などに絡みついてしまう事がありそうです。このような状態であれば、定期的な草刈りなどが必要になりそうです。
使用しない農地は20年ほど経つと、風や動物達が運んだ植物などで、背の高い木が育ってしまいます。こうなってしまうと、農地に戻すのは時間がかかりそうです。
また、草木で隠れる場所が多い為、猪など野生動物のすみかになってしまい、人に危害が加わる危険性もありそうです。
自分の家で使っていた畑に20年ぶりにみに行ってみましたが、本当にここで芋や大根を育てていたと思えないくらいに、大きな木が育っていました。
山に近いと、平地よりも早いスピードで自然に戻ってしまう様です。
次に農家の人や農業振興センサーの方に農地が荒れていくことについて、伺ってみました。
農家インタビュー
実際に自分の田んぼや畑も耕作を放棄している状態。
理由としては、父の代までは専業農家で米やタバコの葉、家畜の飼料などを作っていたが、自分の代になってからは会社勤めをしながら農業をしている為、できる範囲しか耕作できない。
耕作を止めるのに特に申請はないので、やめたくなったら止める。
農業委員会で、耕作放棄対策として何かしているようだが、対策らしい対策はしていないと思う。少なくとも自分は知らない。
ここの地域では、東日本震災で塩害被害を受けた農家が、一時期農地を利用してくれていたが現在はおこなっていない。
農業振興センターの方インタビュー
耕作放棄とはどの様な状態でしょうか
耕作放棄と言っても、大きくは、遊休農地と荒廃農地に分類されます。遊休農地は一年以上耕作されず今後将来的に農地利用予定が見込まれない農地や、地域の他の農地よりも利用程度が少ない農地ののことです。荒廃農地は、現在も耕作がされておらず荒れてしまい通常の農作業では耕作が難しいと思われる土地です。
単純に耕作放棄と言っても、さまざまな状況があります。
また、遊休農地、荒廃農地共に、再生利用をはかっていますが、農地にもどす事が難しいと判断されれば、非農地判断が行われ、農地でなくなることもあります。
耕作放棄を防ぐ為どの様な取り組みをしていますか
遊休農地、荒廃農地になることを防ぐ為、定期的に地域の農業委員が、農地パトロールし、農家に利用調査を行なっています。
農地パトロールは、遊休してしまう農地がないか、荒廃農地に問題が起きていないか、違法な農地の使い方をしていないかなど、確認したり地域の農家に声がけを行う事で、様々な困りごとに対応しています。
農家のどの様な問題に対応しているのでしょうか
助成金などの質問に答えたり、情報周知したりしています。また、それぞれの農家で困っていることを聞いて調整しています。例えば、農地を手放したい。農地を貸したい。収穫の時だけ手伝って欲しい。急な病気等で自分が働く事が困難になってしまったなど、農家ごとに相談は様々です。
そう言った問題に対して、地域の農業委員会がまずは、その地域の他の農家に相談をして解決を試みます。
農地を譲りたい、貸したいなどは、どの様な基準で行なっているのでしょうか
まずは、近隣の農家に相談をする事が多い様です。農地を手放す事に抵抗がある方が殆どですので、少しでも農地を理解しており、手放しても同じ様に活用してもらえる近隣の農家の方にお話を持っていきます。
農家が農地を手放す事に抵抗があるのはなぜでしょうか
農家の殆どは何代も続く農家です。少なからず先祖代々受け継いだ土地を手放す事に罪悪感がある様です。
しかし、後継者がいない場合などは手放すしかないようです。
農家が減ってしまうと、引き取りたいという周りの農家も少なくなると思いますが、外部から新規に農業を始める方に譲られたりしないのでしょうか
県外の方や企業から「農地を買いたい」という相談も多くあります。しかし、農業は片手間でできる程楽ではなく、未経験者がちゃんと暮らしていけるだけの作物を得ようとしても難しいのが現状です。
また、未経験で補助金をあてにする方もいます。補助金がなくなると農業をやめてしまう方もいるので、農業大学などを出られた方や、雇用関係で農業をされていて独立を考えている経験者などに営農計画を提出してもらい、農業を続けられそうな方だけ貸したり紹介する形を取っています。
話を伺うと、農家1つ1つが経営者という事でしょうか?
はい。農家は個人事業主になるので、どの様な作物を栽培するか、土地を耕さないかは、個人の判断になってしまいます。
経営方針には口を出せませんので農業委員もやんわりと見守る感じになります。
農家同士のつながりはないのでしょうか?
地域によると思います。比較的横のつながりがある地域は、病気などで耕作ができない農家がいる場合、一時的に地域の農家で農地を分担して耕作を行う所もあります。
しかし、あくまでも余力がある農家だけです。殆どの農家は高齢の方ができる範囲で農業をおこなっていたり、兼業農家で別の仕事をしながら出来る範囲で農業をしている場合などが殆どです。
個人の判断となると、耕作を放棄してしまうのも個人判断でいいのではないでしょうか?
農業を続けるか続けないかは農家の判断となるのですが、行政が農業の生産性を高めるために、税金を投入して農地の基盤整備を行ってきました。
せっかく税金を投入して整備した農地を、活用しないまま遊休農地や荒廃農地にしてしまうことは、非常に無駄であり単純に自分の土地だから荒らしていても良いという考えでは困るのです。
引き取り手のない農地はどうなるのでしょうか
農地は条件の良い農地から借り手や買い手がつくのですが、日照条件が悪い土地や痩せた土地は買い手がつかないものもあります。
そういった場合、農地を諦め農地転用をし、太陽発電パネルを設置する農家もあります。
営農型太陽光発電という太陽光パネルの下を農地として使い、農地転用を行わない方法もありますが、実際に農業をおこなっているかは分かりません。
インタビューからの気づき
農家は自営業だが、農地が活用されない問題は地域の問題になる
農家をサポートできる様に農業委員が居るが、農家の細かい要望全てには対応できない
新規就農者は増えてほしいが、簡単に受け入れられない事情がある
農業に従事する人が減っている為、人手不足の農家を手伝える人が減ってきている
リフレーミング
インタビューをもとに既存の枠組みからリフレーミングしてみました。
定説:「農地は農家個人が守る」
→代々受け継いだ土地、農家は何がなんでも守らなければならない。守れない場合は自分達でどうにかするしかない。
逆説:「農地は企業が守る」
→農地は集約し企業が大規模に作付け収穫する。
組み合わせる:「農地は地域が守る」
→農業を守り育てていくのは地域の人1人1人の使命。伝統文化の様に農業も守り受け継いでいく。
9コマシナリオ
前回授業で教えていただいたインタビューからの発想する方法で9コマシナリオを再度作成してみました。
コンセプトをリフレーミングで生まれた「地域が農地を守る」にしてみました。高齢化や人手不足を理由に農業をやめてしまう農家と、地域や他地域の農業や地域に関わりたいと思っている人を繋げます。
1年を通じて、田畑に興味を持ってもらえるように、簡単なIoTにより田畑の状況を共有する仕組みを入れてみました。
リーンキャンバスに書き出してみる
9コマシナリオだといまいち具体的な流れが形にできなかったので、良いツールが無いか探してみた所、リーンキャンバスが紹介されていました。
そこで、試しに書き出してみました。
俯瞰してみれるので無理がありそうな所、重要度が低いことなどが分かりやすくなりました。
下記はブラッシュアップしたものです。まだまだブラッシュアップする必要があるのですがとりあえず現時点での内容です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?