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Xデザイン学校2022マスターコース|近郊都市や地方課題についてのインタビュー(2)

前回の「近郊都市や地方課題についてのインタビュー(1)」で地方に移住した方、行政の担当者にインタビューを行いました。Xデザイン学校の5回目の講義では、各自持ち寄ったユーザーインタビューをテキストに書き起こし、出来事を「KAカード」にまとめて行きました。
先生から、出来事は事実を書くが、ユーザーの心境は想像しても良いということなので下記の様にまとめてみました。

また、ネガティブな出来事であっても、そこから出来事の背景にあるポジティブな価値を見つけてあげた方が良いと教えてもらいました。

上記の様なKAカードをグループメンバーがそれぞれインタビューした内容を元に作成し、グループワークで価値分析表を作成ました。
そこで最も共通の価値が高かった点が下記4点でした。

  • 他者と関わることで自分のペースを乱されたくない

  • 新しい土地でも寂しくならないように交友できる人がほしい

  • 初めて会う人との会話のきっかけがある

  • 知らない土地での生活に新鮮さを感じる価値

個人的に前回「近郊都市や地方課題についてのインタビュー(1)」で新たに出てきた課題を踏まえ、もっと多くの方に伺いたいと感じ、さらに4名の方にインタビューを行いました。
今回のインタビューでは、2点に気をつけてインタビュー候補を設定しました。

  • 移住先で仕事や活動をおこなっている方(テレワークだけだとあまり移住先の人と関わる事が少なそうなため)

  • Uターンや、家族の地元に戻るのではなく、新しい土地に移住した方

私の周りにも移住された方はいらっしゃるのですが、ほとんどがテレワーク移住や、Uターン移住だったため、もう少し広く募集しようと思い、Facebookで聞いてみたところ多くの方からご紹介をいただけました。感謝!

ご紹介頂いた方の中から6名にアンケート、4名にユーザーインタビューを行いました。
今回、1週間程で4名の方にインタビューを行ったのですが、正直仕事をしながらスケジュールの調整が大変でした。
そこで初めてスケジュール調整サービスを利用してみました。
Googleカレンダーでの調整ができ、無料でも十分に使えるサービスという事でSpir(スピア)というサービスを利用しました。自分の空いている日付を設定して、インタビューを行って頂く方に送るだけで、自動的にGoogleカレンダーに日程と、zoomのURLを設定してくれ、楽にスケジューリングができました。

移住者インタビュー

S.Oさん(女性:夫、子供1人)


  • 移住をした経緯は、2016年当時、東京マンションに夫と子供と暮らして居たが、子供の1学年上の子供がマンションそばの交差点(青)で横断歩道を渡っている時に交通事故に遭うという事があり、子供の安全を1番に考え地方に移住を決めた。

  • 移住自体は2011年頃から考えてはいた。2011年当時は子供も幼くバカンス気分で数年好きな場所で住みたいと思って考えて居た。

  • 東京近郊での移住も考えたが、当時は東京都内に会社(自社)があり通勤が問題となった。そこで思いっきて地方に移住を考えた。

  • 移住先の絞り込みは気候面、次に教育、医療、介護施設は何件あるか、医療整備の状況を考慮し、石川県金沢市か宮城県仙台市で移住を考えた。

  • 金沢と仙台には、知り合いが住んでおり住んだ雰囲気が想像できた。

  • 三連休の休みを利用して夫婦で金沢を見に行った所、街の雰囲気が気に入り移住を決意。

  • 移住後、1年間は夫は東京出張が多かったが、夫婦の間では子供が安全である事が最優先だった。

  • 移住10年程で引っ越すと思っていたが、家族全員金沢が気に入ってしまった。

  • 移住後2、3ヶ月で地域グループに企画者として参加し、そのグループは現在では大きな組織に成長した。

  • 金沢の景色が良いのでマラソンを始めたが、地域の人と挨拶を交わす様になり、知り合いが広がった。


S.Sさん(プログラマー男性:妻、子供1人)

  • 夫婦で自然が大好きで、最終的にはニュージーランドに移住を考えている。

  • 2011年に東日本大震災があり、移住を考えていたが移住したいと思っていたニュージーランドでも地震があり、海外移住は一旦見合わせ、日本での移住先を探した。

  • 移住で重視したことは、仕事ができるか。自身はプログラマーなのでインタネットがあればどこでも仕事は可能。

  • 現在の離島に移住するまでに、2つの地域を転々とした。夫婦揃って移住先の景色が重要だった。妻は海が見えること、自分は山がある事。

  • 現在の離島は景色もよく、また山を自由に歩いても怒られない(山全体が国定公園)

  • 2011年に東日本大震災時に福島での原発事故があり不安を抱えていたが周りには相談できなかった。

  • 地域の人と活動をする機会が移住前には無かったが移住後には増えた。消防団、草刈り、ゴミ拾いなど。仕事をしていない時は地域の事をしている。

  • 移住先では、夫婦で学童保育をおこなったり、地域の活動を行うグループを立ち上げて、小さなイベントを多数島内でおこなっている。現在では行政も予算などサポートしてくれるようになった。

  • 移住前には何度も島に通い、島を歩き地元の人を話したりする機会を自主的におこなった。地域の人と話し、家なども見せてもらった。

  • 地域の人は知らない人が突然くるとびっくりしてしまう。何度も島を訪れるうちに、「XXさんが引っ越してくるらしいよ」という話が島内に広まるので、引っ越しの際には、手伝ってもらえた。

  • 現在は、賃貸で借りていた家を無償で頂いたので、修理し住む予定でいる。


M.Uさん(宿泊施設経営 女性)

  • 10年以上東京都内の飲食店で働いていた。独立を考えている時に、地域おこし協力隊の制度を知って、地域おこし協力隊として移住し起業した。

  • 移住先は、出身県だが高校から他県に出ていたので、あまり地元という感じは無かったが、少なからず縁を感じていた事と、インバウンド向けのサービスを考えていたので、ピッタリだった。

  • 移住後1年間はギャップがあった。自治体の下に住民組織があり縦社会が残っているので、引っ越しの挨拶に行く順番など外から来た人間にはわからないルールが多くあった。

  • 行事が多く月1回は何かある。必須参加ではないが、あまり参加しないと良い顔をされない。

  • ご近所は挨拶をよくする。散歩をしていると仲良くなったり。周りは10軒くらいしかないので、自然と仲良くなる。

  • 東京に居た時は持ち家でないと隣の人とも関わり合わなかった。地方に行くと5キロ圏内の人とは関わらないといけない。自分の気の合う人、合わない人に関わらず付き合いをしなければならないので、年配の人などと付き合うスキルは上がったと思う。

  • 市の中でゆるく繋がっている。買い物にいっても何となく知っている人がいる。どこに知っている人がいるかわからないので、愛想よくしている。辛いとは感じていない。構ってほしい人間なので良い。辛い人もいるのかもしれない。

  • 地域が気に入っていたので、地域おこし協力隊の2年目位から、普通にそのままここで暮らしていこうと思っていた。

  • コロナ期間中は期待していた海外の方が全く来なくなった。しかし、丁度ジビエ料理を地元の猟師さんと検討していたので、ジビエ料理の宿として近県からのお客さまが来てくれ忙しかった。

  • 移住で困るポイントとは、気候や自然が多いので虫の多さなど。また、地域の人は距離が近く、干渉していく事がある(例:昨日見かけない車が止まってたけど誰か来たの?)田舎でのんびりしようと思っても、地域の役が回ってくるので、そんなにゆっくりできない。

  • 地域の人と環境がとても気に入った。元々自然が好きな訳ではなかったが、こちらに来てなれてしまうと、都心の生活に戻りたくないと思う様になりました。ちゃんと地域に入れば自宅の心配はいらない。※時間をかければ安く譲ってもらえる。 お米や野菜も安く譲ってもらえる事も多く、そんなにめちゃくちゃ働かなくても生きていけると考える様になった。

  • 農村の文化を守りなが、それを観光資源にするというビジネスをしたい。 加工せずに見せ方を変えてお金にしたい。


S.Kさん(地域おこし協力隊 女性)

  • 地域の工芸に興味を持ち、地域の工房に弟子入りした。

  • 初めは通いで修行をしていたが、自身のキャリアを活かせる事、修行後に地域とのコネクションを作れると思い「地域おこし協力隊」として移住を決意した。

  • 元々半年ほど定期的にその地域には通っていたので、移住自体は不安は無かった。

  • 移住自体は10年以上前に一度考えた事があるが、「移住し何をするのか」目的が明確にはならなかった為、その時は移住しなかった。

  • 地域おこし協力隊自体は、3年で終了するが、修行は続くのでできる限り地元や近県で仕事を探したいが、自身のキャリアが活かせる仕事先が似つからなければ、リモートなどで働くことも視野に入れている。

  • 地域として移住した先は好きだし、骨を埋めるかもと思う事もあるけど、土地に愛着があるわけではない。工芸や仕事を通じて繋がったコミュニティに関しては本当に濃い人間関係を築いていると思う。でも移住者として地元との関係はあっさりしていると思う。

  • 地域の工芸についてもっと地元の人に知ってもらいたいと思い工芸祭りを企画して開催した。


移住者インタビュー内容から感じた事

  • ふと移住を考えてもなかなか行動には起こせない。実際移住を決定するのは子供の安全や、新しいチャレンジ(起業や学び)など、ある程度の覚悟をした時。

  • 移住後の満足感が高い人は自然自体が好きな人

  • 友人や知人が住んでいる事が移住を後押しする強い味方になる

  • 移住前に何度も移住先に通う事で、移住後のギャップを減らす事ができそう

  • 移住先の人と一緒に活動をすることで、ただ引っ越しただけでは得られない新しい楽しみを得る事ができる

  • その土地が好きで移住するのと、その土地で学ぶ為に移住するのでは意識が少し異なる

  • 地域にちゃんと入る(受け入れられる)と、衣食住はなんとかなり暮らしていける感覚になるようだ


ユーザーインタビューからの発想9コマシナリオ

Xデザイン学校の5回目のワークショップと宿題で、9コマシナリオの作成が出ました。
9コマシナリオ自体の作成も初めてだったのですが、発想方法としては下記の3つの方法があると教えていただきました。

  • 価値分析標で出た共通の価値から発想する

  • フォーカスする人をペルソナとして発想する

  • インタビューの気づきから発想する

インタビューを7名の方に行い、気づきから発想する方法で3つほど考えてみました。

アイディア1:自分の得意な事で他者を助けるサービス

移住をすると得意な事で地域の人と繋がる事がある。例えばIT系の仕事の人にパソコンの操作を習うとか。このサービスは自分から「これだったら教えられる」逆に「これを教えてもらいた」をつなげるサービス。
行政が中央に入る事で、料理教室なら地区の公民館の施設利用を同時に予約を取れるなどする事で、行政と地域住民とをつなげる事もできる。

アイディア2:散歩から始まる、ゆる〜いコミュニケーション

その土地の気候や施設などはインターネットを調べて得る事ができるが、地域に暮らす人の情報は調べる事ができない。一番気になるのはその土地にどういう人が暮らし、どのような価値観を持っているのか。
そこで、毎日の散歩の記録を取りながら、同じように散歩をしている人のログや、写真などから、どういうところに感動したり面白いと思っているのか、人間らしさを知る事ができるアプリを考えました。
現在はTwitterやInstagramのようにインターネット上でコミュニケーションが取れるものがいっぱいありますが、このアプリでは一歳コミュニケーションをさせず、あくまでも人間らしさしか知ることはできません。
興味を持ったら、ぜひ散歩中にリアルで話しかけてみてください。

アイディア3:移住で起こる問題をゲームで気軽に学ぼう!

移住をしたいと思っても実際移住を実現するまで、ハードルがあると感じました。そういったハードルをゲーム感覚で乗り越える為の移住クエストゲーム。「移住後の挨拶はどこから?」「地域の行事にはどの位出ないとNG?」など様々な問題にクリアして、移住先で夢を叶えましょう!


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