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のどこしの良いうどんのような文章がつづられている本に出会った

『夢に迷って、タクシーを呼んだ』

燃え殻さんの最新刊を私なりに一言で表してみると、このようなタイトルになった。

使われている言い回しやリズムが心地よく、するすると入ってくる。消化がよい。


内容は、不条理な世の中で這いつくばって日々なんとか生きてます感であふれている。
(たぶん比喩になることなく本当に這いつくばっていると思う)


表面をなぞる文章ののどごしの良さと、実となる内容部分に漂っている悲壮感のギャップが芸術的。



読んでいるうちに、まるで神様のような視点になってくる。
七転八倒しながら奮闘する人間の姿を、天から面白がって見ている感覚。

著者に失礼だとわかっていても、つい上から目線でクスッとなってしまった。



毎朝、掲示板に学級新聞を貼っては不良に破られ続けた子供時代を送り(でもめげない)、

頼まれて参加した派手なパーティー会場のトイレで、美女とディープキスをしているおじさんに「見てんじゃねーよ、じじい!」と怒鳴られ(おじさんにじじいと罵られる)、

活発でタウリン多めな感じの雰囲気にどうも馴染めない著者。



ほろっと来る話も含まれていて、いつまでも読んでいたくなる本だった。


どんな精神状態でも読める本を必要とする私にとって、この本はそれに当たる。

良い本に出逢えたな。

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