刑務所での思いやりプロジェクト
"Compassionate Prison Project"
ご自身も幼年期に虐待を受け、その結果ドラッグを売ったり犯罪を犯してしまったというFritzi Horstmanさんが、カリフォルニアの刑務所で受刑者たちを「思いやり」を通して更生するプロジェクト(Compassionate Prison Project)を始めました。
子どもの頃の虐待のようなトラウマ経験が原因で犯罪を犯してしまう人が多くいるために、受刑者のトラウマを癒す活動を行っています。
ACE (Advised Childhood Experiences) とは「子どもの頃に受けたマイナス経験」のことですが、ここにリストアップされている項目の経験が多い人ほど深いトラウマを抱えます。
それは例えば、感情的な虐待(Emotional Abuse)のような、目に見えないものも含まれてきます。感情的な虐待とは、子どもが大人に言われる言葉で、「お前が悪い」、「あんたのせいで・・・」、「あんたさえいなければ・・・」、のような言葉も含まれます。このような感情的な虐待は、暴力や性的虐待のように「明らか」ではないため、それを受けている本人も、それを行っている大人たちも、それが感情的な虐待になると気づいていない場合があります。
トラウマとは、何か悪いことが起こった(または起こるべきだった良いことが起こらなかった)ために生じてしまう「内的な変化」のことを言います。
内的な変化とは、神経系などの生理学的な変化のことです。その結果、キレたり暴力的になったり、過覚醒になったり、フリーズしたり、鬱になったりという症状が出てきますが、それが「なぜ」起こるのか、トラウマを抱えている本人は、ほとんどの場合、認識していません。
この子どもの頃に受けたマイナス経験(ACE)が多いほど(トラウマが大きいほど)、心や体の病気になりやすく、早く亡くなる可能性も高くなり、犯罪者になる確率も高いということが、残念ながら調査で分かっています。
(興味がある方は、こちらのリンクに日本語で説明がありました☞ ACE 日本語)
アメリカカリフォルニア州での「刑務所での思いやりプロジェクト」は、受刑者が更生し社会に復帰した際に同じ過ちを犯してしまわないように、受刑者たちのトラウマを癒す活動をしています。
犯罪というと被害者もいるわけなので、被害者やその家族のことを考えると受刑者へのヒーリングにはピンと来ないかもしれません。でも彼らが刑務所から出た時に、自分たちの心の傷に無意識であることによって、再び同じような被害者を作ってしまう可能性があります。受刑者の心の傷を癒すことで彼らが生まれ変わって社会復帰できること、そして結果それが再犯防止に繋がると信じ、この活動は続けられています。
また人種差別や社会文化・歴史的な要因で連鎖するトラウマがあり、肌の色で投獄される確率も変わってきます。Fritziさんが、自分は悪いことをしても白人だから免れた罪があると言うように。
それぞれの文化の社会背景により、理不尽に引け目を感じながら生きている人たちがいます。トラウマに社会背景が関わっていることも、見逃してはならない点です。日本はどうなのかと立ち止まって考える必要があります。多くの人が家から出られず孤独に引きこもる日本は、どうなのかと。
取り組める最初の場所は、自分の心の傷を癒すことかもしれません。自分の心の傷に気づいていかないと、他者(子どもも含めて)を利用して、無意識に自分の心の穴を埋めようとしてしまいます。それが、自分が受けたトラウマを、次の世代に連鎖させる、世代を超えたトラウマとなっていきます。
Compassion Prison Projectへのリンクはこちらになります。
"Step Inside the Circle"
この動画は英語のみになりますが、英語字幕もあるので、英語が少しでも分かる方は見てみてください。
Fritzi Horstmanさんが、「一歩前へ」と叫んでいます。
そしてすべての受刑者たちが、必ず一歩前へ、進んでいます。
私は涙が止まらなくなってしまいましたが、Fritziさんは、「彼らの中に自分を見る」と語っています。
「あなたたちの本来の姿は悪ではなかったはず。素晴らしいものだったはず」
18歳より若い頃、親に罵られてたり、侮辱されたりした経験が頻繁にある人、一歩前へ。
家族によく押されたり、掴まれたり、何かを投げつけられたりした経験がある人、一歩前へ。
親や家にいた大人にあざができるほと強く殴られた経験がある人、一歩前へ。
家族に愛されたり大事にされた経験がない人、一歩前へ。
極端に貧困な中で育った人、一歩前へ。
一歩前へ。
一歩前へ・・・。
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