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香港アナフィラキシーショック事件①

これはわたしが人生で初めて行った、恐らく最後になるであろう海外で体験した出来事だ。

まず初めにわたしはディズニーが好きだ。看護師という職業はディズニー好きが多いように感じる。制服のポッケにはディズニーのペンが挿してあるそんな看護師を院内だけでも相当数みる。専らわたしも大のディズニー好きで、新幹線で2時間くらいかかるのにも関わらず年間パスポートを所持していた。

そんな私が海外に行くきっかけとなったのはあるブログを読んだからだった。

パジャマ姿のミッキーやミニー、ドナルドと写真が撮れるホテルがある。

衝撃の可愛さ。行きたい!どこなの。そこ!!

と調べた結果、香港ディズニーランドのディズニーランドホテルであることが判明した。そこからの私の行動力は凄まじかった。 

同じ職場の仲が良いディズニー好きの友達を唆した。海外で暮らしていた経験もあるその友達はあっという間に予約をしてくれた。パスポートを持っていなかったわたしはパスポートを申請しに行った。

休みの日には色々な人の香港ディズニーのブログを読み、イメトレしてどんどんと行きたい欲を高めていた。

そんな旅行が目前に控えたある正月。初詣で引いたおみくじは凶だった。旅行の欄にははっきりとは覚えていないが、行かないほうが良い、無事ではすまないといった内容が書いてあった。 

正直初めての海外旅行。おみくじを見てビビリにビビった。行っていいのか?死ぬんじゃないか、これ?

しかし、おみくじの結果が悪いからと目前に控えた海外旅行をキャンセルするなんていろんな意味で無理だった。

気をつけて行くしかない。と、チェーン付きの財布を買ったり、いろんな薬をかばんに詰めた。水が合わないと行けないからとでかいスーツケースに2リットルのペットボトルを3本も入れた。

準備を整えて、でかいスーツケースを抱えて私は職場に出勤した。当直明けでそのままフライトの予定だったのだ。今、思うとこれもいけなかった。

この年の正月明けはインフルエンザの患者で溢れていた。当直帯も何人もの発熱者が検査を受けに来てインフルエンザと診断された。大きな病院ではないため、看護師が検査を行い、そして処方を渡す。インフルエンザの患者の場合、うちでは院内でイナビルを吸ってもらう。

バイタルを測り、熱があれば綿棒を鼻に入れ、インフルエンザ検査をし、目の前でイナビルを吸ってもらう。何人繰り返しただろうか、ある患者に綿棒を入れたタイミングで顔面にくしゃみの飛沫をかけられてしまった。

まずい。と思った。もし、今インフルエンザにかかったら発症するのは香港。言葉も喋れない海外でインフルエンザなんて困る。

明けの日、そのまま自費でイナビルを処方してもらった。そう、予防投与しようと考えたのだ。 


これが、悪夢の始まりだった。




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