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「日本語が難しい」と「日本語は難しい」の違いを尋ねた中国人日本語教師とのやりとりで感じたこと

どうしてなのか良くわからないことをしっかり考えることはとっても大切です。

昨日の夜10時過ぎに中国人の日本語教師から次のような質問がありました。

・わたしは 日本語が 難しいと 思います。
・わたしは 日本語は 難しいと 思います。

どちらが正しいですか?という質問です。

答えは「どちらも正しいが、場合により使い分ける」です。

でも、そのまま答えてしまうと、この先生はありがとうございます!と言って努力しないだろうなと思ったので「日本が難しい」と「日本語は難しい」の違いはなんですか?と聞きました。

皆さんならどうお答えになりますか?

ちなみに中国語にそのまま翻訳すれば「日语很难」(日本語難しいアルネ)です。(またもや偏見丸出しですいません・・・

中国人日本語教師の答え

「日本が難しい」と「日本語は難しい」の違いはなんですか?

この質問に対して、中国人日本語教師の返答は次のような内容でした。

强调的内容不一样(強調している内容が違います)
一前一后(ひとつは前を、ひとつは後ろを)

この時点でわたしはうんざりです。

「は」と「が」の違いを尋ねると、わたしの知る限りすべての中国人日本語教師は判で押したように「强调的内容不一样」と答えます。

それで「つまり、どういう意味でしょう」と質問しました。すると「わかりません。教えてください」と返信がありました。

つまりこの教師は本当は理解していないけど、教科書に書いてある説明をそのまま暗記して返答しました。「强调的内容不一样」は間違いではありません。でもそれがどういうことなのか説明できなければ理解できているとは言えないでしょう。

ただこの教師は素晴らしいと思います。なぜならほとんどの中国人日本語教師は自分がわからないことを隠す傾向があるからです。面子の問題なのだろうと思います。

さて「は」と「が」の使い分けについて論じ出せば切りがないほど奥深い問題です。それをたった8文字で説明できるはずがありません。でもせっかくですから本当にざっくり説明します。

「は」と「が」の使い分け

日本語の「は」と「が」の問題は一筋縄ではいきません。

いろいろな説明の仕方がありますが、わたしのお気に入りの説明は「助詞のは格助詞で、助詞のは取り立て助詞(係助詞)です。格助詞の が主題化すると係助詞の となります。」というものです。

主題とは「今話している内容の主人公」のことです。

つまり「日本語」について論じていることを明確にしたいとき、もしくはすでに話題に上がっているときは、助詞の「は」を使い、単なる事実として「日本語」について言及した場合は「が」を使います。

ですから例文の文脈も大事です。

もし「日本語は難しいですか?」という質問の問いであれば「日本語は難しいと思います」と答えます。しかし「何語が難しいですか」と質問されれば「日本語が難しいと思います」と答えます。

他にも従属節や名詞修飾節の主語には「が」を使うとか、まあいろいろなルールがあります。

日本語母語者はそういった様々な縛りがあるなか、正しい助詞を選ぶことができるわけです。それを外国人に教えるのはとても大変なことです。

だからこそ、絶えず資料を読み、情報を比較し検討し理解を整理することが大事です。そしてそれを背景知識ゼロの人にどのように説明できるかを考えて、教えることに成功して始めて習得したと言える思います。

中国人日本語教師にいくらかのヒントを送信して、考えた結果を教えてくださいとメールしておきました。返信が楽しみです。

説明できるまで深く考える習慣の大切さ

どんなことを学ぶにしても、わかりやすく説明できるまで考え抜くことが大切です。これは根気のいる作業ですし、すぐには答えがでない場合もあります。

答えがでないとき、わかりやすい表現や方法に頼りたくなる気持ちになります。でもそこをぐっとこらえて、さらに先に進もうとするときに成長があるのだろうと思います。

わたしも一教員として努力しなければなりません。また職務は教授法を教えることですから中国人日本語教師の理解を助けるようにしたいなと思っています。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。


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