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中国で不条理な内部競争が起きる理由をエリート中国人に聞いたお話

昨日は35歳定年説について中国人金融アナリストであるDさんに聞いたお話を書きました。

そのDさんから、聞いたもう一つのお話を今日はご紹介します。

それは内巻、つまり不条理な内部競争にすべての中国人がどうして巻き込まれるのかという問題です。

Dさんは、優秀な方で名門大学を卒業し、大学院の修士も習得しています。専門は金融です。

ご存じの通り、金融に関わる資格はたくさんあり、どの資格も努力なしには取得できないものです。

Dさんは将来を見越して、大学生時代に習得すべき資格はもちろんのこと、普通であれば挑戦しない難度の資格も得たそうです。

資格には会計に関するものはもちろん、法律なども含まれます。また不動産取引に関することも徹底的に学んだと言います。

その努力は大学院に進学した後も続け、これだけの資格を持っていれば就職活動も順調に進むだろうと思っていたそうです。

でも、Dさんの思惑は外れます。

なんと、自分と同じような進路を目指している学生のほとんどが、自分とほぼ同じ資格を習得していたんです。

努力できる人たちの思いつくことは、ほぼ同じなのはわかります。

しかし、資格取得のための勉強はつらく自制心が求められるものです。

Dさんは、辛く苦しい作業をやり遂げられるのは自分くらいだろうと思っていたら、そうではなかったことに危機感を感じたそうです。

この危機感が、その後のDさんに大きな影響を与えます。

競争に負けないために、出し抜かれないように、考えコツコツと努力する毎日を過ごすことになったそうです。

このようにしてDさんは自ら内巻(競争のスパイラル)に巻き込まれていきます。

この渦は想像しているよりも広く、しかも勢いもあり、渦から抜け出す、つまり勝ち抜くのは本当に難しい。しかも努力しても、渦を抜け出せるとも限らない。

でも、努力をやめると今までのすべてが水の泡になる気がする。

だから、不条理な内部競争に巻き込まれているとわかっていても、努力することをやめられなかったし、今も続けているとDさんは言います。

加えて、当人の能力にまったく問題がなくても、渦の中にとんでもないカリスマがいたり、ちょとしたイレギュラーに巻き込まれることで、あっけなく浮上のチャンスを失うこともあります。

Dさんに、つらくないですかと聞くと、つらいと言うほどではないけど、もう少しリラックスして暮らしたいなと笑っていました。

このような状況に自分が置かれ、さらに勝ち抜くことが期待されたとしたら、僕の場合は心が折れるか、そこまでいかなくても情緒に影響を受けるだろうなと思います。

さて、このような競争に子供が参加することを望まない親がいることについては、先日書きました。

しかし、ほとんどの親は、子供に大きな期待をかけていますし、教育費を投じてもいます。

親世代は、大学を卒業すれば、さらにもし博士とかを持っていれば、間違いなく成功できた時代を過ごしてきました。

わずか一世代の間に、大卒が天下御免の免状だったのが、ないよりはまし程度の影響力になってしまったわけです。

そのことに、もし親が気づいていないとすれば、子供は親と相談してもかみ合わないだろうなと。

そして、本人の希望、そして親の希望も叶わなかったとすれば、どうやって生きていけば良いのだろうかと悩みはしないかと心配してしまいました。

Dさんは、若いうちは体力がありますから、頑張りますよと笑っていました。

わたしはDさんに、弱音をはいても頑張れと言わずに「わかる~」って言ってくれる友達がいるといいねと言いました。

すると、Dさんはちょっと笑った後、それは中国的ではないですねと言います。そして少しの沈黙のあと、「でも、そういう友達は貴重です」と付け加えてました。

僕もそう思います。

競争が避けられない現実なら、また努力しても勝者になる可能性が低いなら、結果ではなくて過程を理解してくれる友や家族の存在は貴重です。

そういう友人たちを大事にしたいと思いました。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日!

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35歳定年説に関する note はこちらです。

子どもの将来について語ったFさんについて書いた note はこちらです。


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