学歴とキャリアのジレンマ：中国人お母さんFさんの視点から気づいたこと

中学生のお子さんを持つ中国人のお母さんたちとおしゃべりしてきました。

主なテーマは進学に関してです。

中国においても大学を出ていなければ仕事にありつけないと考えている親は多くいます。これは日本も同じですね。

しかし、今日お話ししてくれたお母さんFさんの考え方は、さらに一歩進んでいましたのでご紹介したいと思います。要点は3つに分けられます。

1）大学に進学してもしなくても進路が狭くなる
2）学歴があってもなくても苦労する
3）学歴が生きるかどうかは運次第

では、中国人お母さんFさんのお話を詳しく説明したいと思います。

大学に進学してもしなくても進路が狭くなる

日本も同じですが、そもそも大卒以上の学歴がないとエントリーできない職種や企業があります。

そして、大卒だからどの企業にでも挑戦できるというわけでもありません。これも中国も日本も同じです。

それでFさんは、子どもの選択肢の幅を広げるために、子どもが望むなら大学へ進学させたいと考えています。

しかし、絶対に子どもたちを大学へ進学させたいと思っているわけではありません。なぜなら学歴があっても単純に進路が広がるとは思えないからだそうです。

Fさんは、学歴や学歴の投じた教育費に縛られて、子どもの選択肢が狭くなるといいます。

つまり、苦労して得た学位を活かせないような仕事に就きたくないと、子どもたちが言いだすリスクがあると話します。

さらに、すでに大学生ばかりなので、大学生が望む仕事のポストは埋まっているし、企業も毎年新卒採用することができないので、高学歴が無駄になる可能性があるといいます。

もちろん、学歴がないとエントリーできない仕事もあります。

でも学歴があるがゆえに、子どもが学歴関係なく採用してくれる企業に見向きもしなくなるリスクがあるとFさんは考えます。

さらに、学歴が関係ない企業に就職するくらいなら、高卒で仕事を始めても同じじゃないかとも思うそうです。

お話を伺っていて、Fさんにとって高等教育は仕事を得るための身分証明なんだなと感じました。

学歴があってもなくても苦労する

大学をでて、理想の仕事を得るとひと安心とはならず、次の苦労が始まるとFさんは言います。

知的労働者は996（週6日12時間労働）のような環境で働くことになります。身体的に疲れるだけではなく、精神を病むことになりかねないと不安を感じるそうです。

初任給は良いわけでもなく、転職による待遇改善が常識なので、就職できたら、どのタイミングで転職すれば有利になるのか考えるのはストレスだといいます。

では、高校をでてすぐに仕事を始めればよいのかというとそうでもありません。

高卒であれば、体を使う労働がメインになるでしょうし、搾取されているという気持ちは知的労働者と違いはありません。

ですから、どっちに転んでも辛いとFさんは言います。

幸せになるかどうかは運次第

Fさんは、良い大学に入れたとしても、入れなかったとしても幸せに暮らせるかどうかは運次第だといいます。

良い出会いがあるか、目の前にチャンスが転がり込んできたとき、それをつかめるかどうか、すべては運だと言います。

わたしはFさんに、運ではなくて心の持ちようじゃないのかと聞くと、そうかもしれないけど、高学歴で引きこもりになったり、低学歴で時給20元で働くことになったら気持ちだけでは解決できない問題もあると言います。

確かにお金がなければ一人前と認められず、結婚などのステップに踏み出せなかったり、親族などの前で面子を保つこともできなかったりする中国です。

まずは経済的な成功をつかめるかが最初のステップと考えるのも無理はありません。

そして、高学歴でもそうでなくても、仕事を見つけるのが難しくなってるので、チャンスをつかめるのは運だとFさんは考えたのでしょう。

ここまでお話を伺ってきて、高卒で社会に転がり出したにもかかわらず、中国で先生と呼ばれる仕事をしている自分は、単ににラッキーだったのかもと思えてきました。

それで、Fさんに私はラッキーでしたねと話すと、Fさんは「そうよ、あなたは運が良かったのよ」と笑います。

Fさんの笑顔を見て、確かに自分はラッキーだったと思います。

Fさんは「良い出会いがあるか、目の前にチャンスが転がり込んできたとき、それをつかめるかどうか、すべては運」だと言いました。

自分にも良い出会いがあり、仲間に助けられてきました。またびっくりするようなチャンスもあったりして、結果的にここまで何とか生きてこられたに過ぎません。

それでFさんに「あなたのお子さんもラッキーに恵まれて、それに感謝できる人になれたら良いですね」と言うと、「その通りです」とFさんは満足げに笑ってました。

なんだかFさんの家族は大丈夫な気がしました。理由はわかないけど。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日！

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