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中国の35歳引退システムは本当なのか、中国人金融アナリストのDさんに聞いたお話

素晴らしい学歴と経歴を持っている中国人に日本語を教えています。

Dさんとしましょう。

Dさんは、大手不動産デベロッパーでアナリストをしていましたが、業務上閲覧できる資料をみて、これは不味いことが起きていると気づき自主退職。

退職してから1年以内にデベロッパーはデフォルトを出したので、Dさんは自分の決定は良かったと笑います。

その後、大手銀行に転職して、そこでも投資に関する分析をするお仕事をしています。

Dさんが話す現在の中国の就職とか、転職に関するお話はいつも興味深いので、皆さんにもおすそ分けしたいなと思います。

今日は「35歳定年は本当か」という話題です。

そもそも35歳で定年とはどういうことでしょうか。

日本的な言い方をしますと、中国では35歳でほとんどの人がリストラされるということです。

IT企業だけではなくて、銀行だろうが不動産デベロッパーだろうが、貿易や教育だろうが関係なく、35歳になればリストラされる。

これが常識だそうです。

でも、35歳になってもリストラされない人もいます。

それは、役職に就いた人たちです。

部門長として人を動かす才能がある人、また突出した成果を出せる人であれば企業に残ることができます。

それで、35歳になるまでにすべきことは、役職に就くことです。

しかし、ポストは限られています。つまり、社内で熾烈な競争が始まります。

22歳で就職できたとしたら、13年間というわずかの間に成果をだし、上に認められて昇進しない限り、リストラに遭うのがわかっていれば、必死で働くのも当然です。

ちなみに35歳でリストラされた場合、退職金などもないそうです。

もちろん、退職に伴っていくらかの保障はされるようですが、日本のようなまとまった金額を受け取れると言うことはないとDさんは言います。

では、35歳でリストラされた人は再雇用の道があるのかという疑問があります。

Dさんは、基本的にはないと言います。

それで、車を持っていればDiDiのドライバーになれるけど、車も持ってないならデリバリーの配達員になるしかない。もしコネがあれば、そのツテで再雇用もあるかもしれないけど、大企業で働くことはないとを言い切ります。

ただ、若くして役職に就いていれば話が違います。

転職して、待遇を変化させることも可能ですし、転職しないにしても社内に残れますので必要な所得を得ることができます。

それで、大学受験に成功した人は、就職競争に飛び込むことになり、就職できたら出世レースに強制的に参加することになります。

35歳になるまでに、ある程度の道筋が見えてくるそうです。

それで、わたしはちょっと意地の悪い質問をしてみました。

Dさんが最初に就職した大手不動産デベロッパーで競争に生き残った人たちは、企業が倒産もしくは規模を縮小した場合、どうなるのかと。

Dさんは首をかしげ、倒産したのは会社であって、個人ではないので関係ないと。

別の企業に転職すればいいので問題ない。もし45歳とかになっていれば、それなりの財産も持っているからアーリーリタイアもあり得ると言います。

なるほど、35歳までに競争を勝ち抜けると、社会的にも経済的にも余裕をがっちり掴むことができるのだと思いました。

でも、そのようなポストをつかめるのはごくわずかなので、熾烈な競争が続くそうです。これを中国人は内巻と表現しています。

みんな、このスパイラルから抜け出そうと必死になってるのですが、渦はどんどん大きくなっており、圧力は増すばかりです。

そこに身を投じなければならない人たちは、覚悟もいるでしょうし、辛いだろうなと思います。

Dさんは、まだ35歳になっていません。

Dさんは、金融アナリストとして十分な能力と経験を積んできたので、今は日本語と中国語の資格を取りたいと言います。

どうしてって聞くと、何がどこで生きるかわからないし、語学は好きだからと、流暢な日本語で説明してくれました。

Dさんも大丈夫な人なんだろうなって思いました。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日!

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