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【取次制度黙示録①】なぜ普通の書店は減り続けて、シェア型書店は増えるのか??

話題のシェア型書店

最近、シェア型書店が話題となっている。
書店自体は減り続ける中、『書店が減る』『書店の無い地域、自治体が増えている』という話題は各種記事で語られ続けて、依然として注目度は高い。
特に最近は以下のシェア型書店が注目を集めている。

それぞれ著名なフランス文学者、書評家と時代劇小説家がそれぞれのセンスを活かして主宰しており、一般的なの書店とは運営形態も品ぞろえも大きく異なる。
上記以外にも、全国各地でシェア型書店は拡がっており、note上でもこの盛り上がりを実感できる。

書き手が『シェア型書店』という形態に初めて触れたのは、書店関係者内では良く知られたブログ記事がきっかけだ。

5年前の記事になるが、シェア型書店がここまでメジャーな存在になるとは当時は想像もつかなかった。
こんなに真摯に本好きで斬新なアイデアを携えて、書店を増やすために挑戦している人がいる。
当時の書き手は未だ現場の書店員として日々本とお客様に向き合っていたが、とても励まされた感じを受け、勝手に勇気を貰ったつもりでもいた。
そして何より、この取り組みに対して多くの反響があり、様々な本好きの方が存在することに改めて気づかされた。
そう、現在のシェア型書店の流行は決して一過性のものではなく、本好きの多くの人々の多様性の発露なのではないか??

いままでの書店は、本好きの読者の欲求を満たせていないのではないか?

地上波TV vs YouTube?

さて、シェア型書店の何が多くの人を引きつけているのか?
シェア型書店では一棚ごと別々の棚主、箱主が存在し、それぞれの視点、拘りでのおススメ本を陳列していく。
棚一つ一つが異なるロジックで品揃えされていて、様々な角度からの選書、品揃えを愉しむことが出来る。
さながら書店の集合住宅か、書店という窓が穿たれた長い通路のような中からお気に入りを棚を見つけたり、何なら自分で一棚書店を運営するも良し。
シェア型書店とは、双方向性を備えたメディアにも似た存在であり、
無数の価値観、チャンネルをもつYouTubeにも似ている。

一方の既存の書店。
多くの書店は取次が日々委託配本する新刊をランキング順にならべて、流行りで売れている、新聞広告に掲載される新刊本を重要視する。また季節に合わせて需要のありそうな本のフェアを同じように展開する。
※いまの季節なら、子供の夏休み用の課題図書と自由研究本、夏の文庫フェアが鉄板だ。
販売最大化を至上の命題とし、存在するはずのない最大公約数の人向けの売り場を目指した結果、だれのニーズにも応えることの出来ない無味無臭の金太郎飴品揃えに帰結する。
まるで、同じ時間帯に同じような内容のニュース、ワイドショー、バラエティを流し続けている地上波TVのように。
いま数を減らし続けているのは、こんな書店だ。

どちらが今の時代の本当の読者に愉しんでもらえて、支持されるのか?
改めて記すまでもない。

取次は、無人書店の夢をみるか?

現在のシェア書店ムーブメントを既存の書店、取次はどのように捉えているのか?
大手書店は今のところは目立った対応は見えず、静観というか何もしていない。
取次は、立ち位置がやや異なるが新しい業態を試している。
『無人書店』だ。

別に大した工夫や慧眼があるわけでもないので、詳細は省くが既存のフツーの書店が、無人営業&24時間化しただけで、いままでの諸問題が一挙に解決するはずもない。
小手先だけの本質的な改善には程遠い、上辺だけの改善策にどんな意味があるのだろうか?
比較的、好意的なスタンスに扱ってもらえるはずのWEBメディアのレビューでさえ『新たな本との出会いはありませんでした。』と断言されてしまう程度の状態だ。

そもそも、無人で24時間ってコンセプト、聞いたことありませんか?
その辺の需要はAmazonですでに十分に満たされているのでは?(笑)
利便性でAmazonに対抗するなど愚の骨頂。
相手は世界一巨大で優秀、お値打ち価格で何でも売ってる最強の自動販売幾なのだから。
でもどんなに便利でも、人生の買い物をすべてを自動販売機で済ます人生なんて味気ないとおもいませんか?
この『味気』の部分にリアル書店の商機があるのだけど無人書店の『味気』ってどこにあるのでしょうね?
取次は、そこまで考えているのかな?

シェア型書店は人による拘り選書を武器に、読者の共感を呼んでいる。
取次は、人に関する経費を削減して既存のシステムの延命を図っている。
さてどちらが、これからの世の中に必要とされるのかな?


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