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読む本に迷ったら、「ジャケ買いリレー」やってみて!

本好きのみなさん、本屋さんで「なんか、どれもピンと来ないぞ」ってときありません?

今日の記事は、私が「この表紙好き!」ってなった本のイラストレーターさんを調べて、その作品をたどっていったら、ふだん見つけられないような作品に出会えた話をしたい。

いつも何気なく見ている本の表紙が、予想外の素敵な出会いを生むことがあるのです。私はこれを「ジャケ買いリレー」と名付けます。いざ、めくるめくジャケ買いリレーの世界へ!

はじまりは、好きな作家さんの新刊だった


私の好きな作家さんに、柚木麻子さんという作家さんがおりまして。柚木さんの作品には、今年2021年、水川あさみさん主演でドラマ化された『ナイルパーチの女子会』なんかがあります。

柚木さんは、女同士の付き合いにひそむモヤっとした感情をすくい上げて、読者の胸をチクチク刺す表現で言語化するのが上手い。

でね、ある日本屋さんに行くと、この柚木さんの新刊『デートクレンジング』が発売されてたんです。さっそく買いました。

柔らかいイラストに、優しい色使いの表紙。可愛い女の子たち。このときは「わー!好み!」くらいにしか思ってなくて、読み終わってそのまま本棚にしまってた。

本筋からはそれるけど、ちょっとだけ本の紹介しとく。

「女を縛る呪いをぶちやぶれ!」がテーマの作品。仕事、結婚、妊娠、出産というステージ変化のなか、ステージが異なる女たちの仲を引き裂こうとする「何か」に抗いたい!と、もがきながら生きる親友同士を巡るお話。

アラサー婚活女子、しんどくなってる人にはぜひ読んでほしい。婚活で迷走してダークサイドに落ちかけていた私は、すごく元気をもらえたよ。

ちなみに「デートクレンズ」という言葉は、アメリカで生まれた造語なんだと。恋人を探して色んな人とデートして。そんな毎日に流されて気持ちだけが焦るときは、あえてデートをせず、自分を取り戻す時間を作るんだって。へぇ~。

数ヶ月後、本屋の新刊コーナーにて


『デートクレンジング』を買った数か月後、また本屋さんをプラプラしてたら、ある本に目が留まって。「あれ?どっかで見たことあるイラストだなーかわいー」ってなったのがコレ。

柔らかいイラストに、優しい色使いの表紙。可愛い女の子たち。そこで気づいたのです。

「これはッ!もしや『デートクレンジング』のイラストレーターさんと同じ方が書いたんじゃあないかッ?」ってテンションが上がり、気づいたら買ってました。

辻村深月さんの『嚙み合わない会話と、ある過去について』。辻村さんは直木賞作家だし、最近では『かがみの孤城』で本屋大賞も受賞した人なので、存じ上げてはいたものの、一度も読んだことなくて。

「怒りは消えない、それでいい」ってテーマで、4つの短編が収録されてるんだけど、どのお話もガツンとくる。読んでて「ぎゃー!」ってなるのよ、特に2話目の『パッとしない子』は、かなり心をえぐられる作品だった。

ふだん、「怒り」とか強いテーマの作品はあまり選ばないので、これはジャケ買いしてよかった。このイラストじゃなきゃ買わなかったと思う。

ついにイラストの作者をネットで調べてみた


『嚙み合わない会話と、ある過去について』のジャケ買いに味を占めた私、もっとこのイラストレーターさんが装画を担当された本が読みたくなった。

カバー裏に書かれた北澤平祐さんのお名前をヒントに、さっそくHPを検索。するとそこには可愛いイラストがたくさん。はわわ……。

画像:PCPWEBホームページより ※クリックでサイトに移動します


これまでのお仕事まとめにあった作品集から、特に気になった装画の文庫本を買ってみました。ジャケ買いリレー、『嚙み合わない会話と、ある過去について』のバトンを受け取るのは、昭和の小説家・獅子文六の短編集『断髪女中』と『ロボッチイヌ』

没後はほとんどの作品が絶版になっていた作家・獅子文六


獅子文六なんて、ジャケ買いリレーでもしなければ永遠に知らないままだったと思う。調べてみたら、昭和44年に亡くなってからは、その作品のほとんどが絶版になってたみたい。Wikiで調べた。

でね、2013年に『コーヒーと恋愛』という作品が復刊してから、ほかの作品も今のイラストレーターさんの新しい表紙で続々と発売されるようになったと。

『断髪女中』と『ロボッチイヌ』もその流れに沿って発売されたものなんだが。これがねっ!めっちゃ良くて!!獅子文六を紹介したいがために、この記事を書いたといっても過言ではない。

ジャンルはなんだろ、SFではないけれど、星新一のショートショートが好きな人にはハマるんじゃないかしら、と思います。あえて内容紹介はしないので、ぜひ読んでみてほしい。

獅子文六については、これをきっかけにめっちゃハマって色々読んだので、また別の機会にまとめたいな、と考えてる。

あー、すっきりした


もうね、ずっとこのジャケ買いリレーで獅子文六にたどり着いた感動を誰かに伝えたくて。すっきりしました。

このジャケ買いリレーのススメが、誰かの素敵な読書体験につながりますように!

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