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保険満期?どうしよう怖い怖い・・・・から始まる回想。キャリアなんて言葉、知らなかったなぁ。

12年くらい前に加入した、外資系の養老保険。おばさはちょっとした思い込みから、半年前に満期が来たと思い込んでいました。というのも、さらに半年前、「ご連絡ください」というハガキが来ていたから。。

おお、そうか、そうか、掛け替えか、解約か?
と思いながら放置
すっごく気になるのに・・放置
お知らせの封書も開封しないまま・・放置

なんだろう、わたしは「投資」とか「保険」とか「証券」とかがなんだかとっても苦手。「銀行ローン」とか「携帯電話の契約」とか、お得な電気料金パックとか、サブスクとか、ありとあらゆる契約事項が苦手・・なのです。

ということで、ワタクシの自宅には、未開封あるいは「チラ」とのぞき見ただけの口座引落しのお知らせや通販のキャンペーンハガキなどが、銀色の丹波黒豆おかきの缶に溜まっております。

意を決して数か月に一度、一気に開封、確認、処分するんですけども・・

こんなんだから、絶妙にお得なキャンペーンが昨日までだったり、連絡締切が今日までだったりして、よく後悔します。

世の中には「根拠のない自信」というものがありますが、ワタクシの場合、「根拠のない自信」と「根拠のない警戒心」が一体化。
今中を見なくてもなんくるないさ~という自信と
今これを開けたら、悪いものが飛び出して騙されるぞ~みたいな警戒心

時々しんどくなりませんか?
今だけお得!
特別なアナタに!
え?まだ、乗り換えてないの?

そんな強気な言葉を掲げた様々なお知らせ類が、
金を使え~、使え~、と誘ってくる
ワタクシを無駄遣いの闇へ、1円でも高価な契約へ、サブスクの沼へ・・

なので、怖くって、自分でアプローチしておきながら、各所からくるお知らせ類をなかなか開くことができず、冷たく放置・・となるのです・・

自動引き落としの電気、ガスの請求書でさえも、なんだか見るのが怖い・・

いかんよ。ガムもろたら!

可憐な20代。卒業から2年後。
ワタクシは、みきゃんの王国から船にのって夕波小波~・・とばかりに、大都会に出てまいりました。

当時、みきゃん王国のワタクシの周囲では、乙女の仕事は両親とか親戚縁者からあてがわれるものあって、乙女自らが仕事を探すなんて
まあ・・あまり推奨されることではなかった気がします。
どうせ2年くらいでお嫁に行くんじゃけんねぇ・・
みたいな、昭和の空気感。

自分で探すにしても、役場か農協か、堅いとこにせないかんよ、と。
親元から通勤できない女子は、コネクションがないと雇ってもらえない、と言われておりました。

ところが、何を血迷ったか、そこを踏ん張って、自力で社員5人のちっさな事務所(職種は秘する)をみつけて就職してしまった若き日のおばさ。
いやはや、何にも考えていませんでした。
ただただ、周囲の友人に出遅れず、親の紹介ではない仕事を求めた結果
まぁ見事な成り行き任せの就職活動でした。

いや、職場は良かったんです。きちんと成果を上げている事務所で、ワタクシ以外の方は、みなさん、専門的技能もありまじめ。
ただただ、ワタクシがどうしようもない、おバカ

成り行き就職のアホな新入社員、おばさ
所長のカムリを運転して、路肩に乗り上げパンクさせたり
ミニバイクで営業に出かけて、タクシーにぶち当たり、地方紙の「今日の救急車出動」に名前が刻まれたり
所長の奥様に「がんもどき買ってきて」と頼まれて、「がんもどき」が何かわからず、スーパーを2時間さ迷って呆れられたり・・

そんなこんながあり、結局新入社員おばさは、たった1年で退職してしまったのでした。こら、あかんわ。と思って。
あかんわ。ワタシ・・・
ああ、働くってなに~

そして、仕事を辞めた日の夜から、38度の熱。3日くらい寝込んでしまったのですが、今思えば、所長もおなじくらい発熱したのでは。
申し訳ない。いやぁ、ひどい。
今時のアホ新人!と、さぞかし苦しまれたことでしょう。

そう、あの頃は、キャリアっていう言葉なんて 知らなかったよね~

と、脇道にそれましたが、ガムの話。

「いかんよ。ガムもろたら!
どこに連れていかれるかわからんのじゃけんね」


これは、卒業後1年で挫折した後、大都会でやり直そうと荷物をまとめて出ていく娘の背中に、母が投げかけた餞別(はなむけ)の言葉だったのです。
はなむけ、とうか、注意喚起ですね。

おとろしいことばっかりじゃ!


おばさが海を渡って、大都会で仕事をみつけ、いよいよ出ていくぞという日
母が神妙な顔で言いました。

「こないだ、近所の〇〇ちゃん(母のお友達)から聞いたけん。
都会でな、道を歩きよったら、男の人がきて ”ガムあげる” いうんじゃと。受け取ったらどこかに連れていかれるんじゃと。あんた、絶対にガムなんがもろたらいかんぞな!」

・・うん。ガム・・・。わかった。

とりあえず、素直に返事をする20代のムスメ。

そこに父が険しい顔つきで追い打ちを

「お前の住むとこなんか、ガラがわるいん、父ちゃんはよう知っとる。アパートの人らも信用できんのじゃけん。そんなとこに行くんじゃけん、何があっても知らんぞ。おとろしいことばっかりじゃ!絶対に騙されるんじゃ!

・・はい・・・

もうちょっと、ムスメの旅立ちに温かい励ましはできなかったのだろうか・・とも思いますが
当時は女性がクリスマスケーキに例えられていた時代。
親や親類縁者が選んできた職場に勤め、料理やお茶、お華、裁縫などの腕を磨き、遅くとも3年もしたらお嫁入り・・という、世間の常識コースをぶち壊して、都会に出ていくという暴挙を許しただけでも(事後報告でしたけどね)良しとしないと、バチがあたるというもの。

女の子が自分のお金で大きい買い物するなんて、なにをいよるんぞ!

という、よくわからない叱責をうけ、結局、新生活に必要な家電は両親がそろえてくれる、という、今思えば、大変ありがたい旅立ち
「明日から出社するけん」と、田舎と大違いの狭くて、電車がうるさい一人暮らしの部屋から電話した際に、母は改めて注意を促しました。

いかんよ!ガムもろたら!

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ぴんぽーん。大家です~。


三つ子の魂百まで、とはよく言ったもの
ワタシの、隙あらば騙されるんじゃけん。。と内容がわかっている請求書さえなかなか開封できない気の弱さと、ツンデレな態度は、両親譲りだったのかしら。。

もう、今となっては、野良ヤギもいるのどかな田舎よりも、大都会生活歴の方が長くなっているというのに、なぜか踏み出せないその一歩。それは、請求書や各種お知らせが来たら、速やかに開封して、速やかに処理すること。

ところで、母の警告のような「ガムを配る男」には遭遇しませんでしたが、父の預言は一部、ニアミス。
ワタシは、ざっくばらんな都会の下町の感覚に、大いに振り回されることになるのです。

とってもいい大家さんだったのですが(推定年齢70歳のおじいちゃん)

日曜日の早朝

ぴんぽーん。大家です~

と花束をもって現れたり

土曜日の午後

ぴんぽーん。大家です~。カラオケにいきまへんか~

と誘われたり・・

おはようさんです!大家です~

と平日の朝に声をかけられ
駅まで徒歩5分にもかかわらず「駅まで送ってあげまひょ」と軽トラを横付け。「右よーし、左よーし、はっしん、ごごごごごごご・・・」と、とっても危なっかしい運転をして、10分くらいかけて送っていただいたり。

でも、家賃もまけてくれてたし、7年住みました。
大家さんの奥さんは、上品で、時々卵やお野菜をいただいたりと。

おとろしくはないけど、ちょっと、まあ、困惑の日々ではありました。

あ、そのときに勤めた会社は、バブル崩壊とともに、見事倒産。
「女の子が何回も仕事を変わるとはなにごとぞ!」と言われる人生を順調に踏み出した、若き日のおばさでした。

結局は自己肯定感?


さて、意識高い系に憧れつつも、高くなれず、田舎では「きゃりあうーまんぞね」と言われつつ、キャリアなんてこと、欠片も考えたことのなかったワタクシ。

人生周回遅れながらも、サラリーマン引退期まで結局働いてこれたのは、この気の弱さゆえ、ある意味自己肯定感の低さゆえ、かもしれません。全然冒険できなくって、キャリアなんて後付けでしか考えたこともなかったけれども、「とにかく正社員じゃ」と、そこだけは死守できたのですからね。

ところで養老保険は


ところで、放置に放置を重ねた養老保険
思い切って連絡をしてみました。
ああ、何を売りつけられるだろう。何か怖いこと言われるのかしら、とひとりで妄想しつつ。

結論から申し上げますと、満期はまだ先で、定期的な内容説明ということ。
そして、そこそこいい保険だと理解。

とーっても安堵し、安らかな気持ちで、心が軽~くスッキリ。

気分が軽くなった勢いで、次回は、虎の皮の敷物があり、熱帯魚を買ってて、おばさちゃんを結婚させる会ができてしまった、倒産した職場のことを振り返ってみたいな、と思ったおばさでした。

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