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モビリティトレーニング QOM=動作の質ってなんだろう?

動作の質

反応やバランスが衰えてきた。持久力がなくなり疲れやすくなった。疲れではなく痛みを感じるようになった。運動器の痛み・不具合から生活の利便性に助けられ それまでの日常生活で行われていた基礎動作(歩く しゃがむ 拾う 持ち上げる 押す 引く 伸ばすなど)が減少していませんか?こうしたことから私たち自身が最初に気づく変化の一つに 姿勢の変化があります。使わなくなって(動かさなくなって)使えなくなっている(動けなくなっている)ことを 私たち自身に姿勢の変化として伝えてくれています。この運動機能の低下は いつから始まったのかはアクシデントが起点になっていなければ 通常はわかりません。緩やかに始まり 何かをもって気づきます。自分自身で自分の変化に気づくことは難しいものです。家族や友人からの指摘・比較から感じることが多いのかもしれません。介護予防などで椅子からの片脚立ちなどのテストがあります。出来た・出来なかったの判定だけに終わることが多く その動作に着目はされていません。立つことはできたけれども 動作としては × だった優良者にとっては大変不幸なことかもしれません。気づきや改善のチャンスを逃してしまった訳ですから。身体動作は連動連鎖したものです。力わざではいけません。使い方です。簡単なこととして 椅子からの立ち上がり動作から姿勢の変化(重心の偏位)に気づくことができるかもしれません。こうした身体の衰え・退化をマニュアル化したテクニック・トレーニングで何とかできるものではないのです。 

1. 不良姿勢からの立ち上がり

第一動作で上体を前傾し 第二動作で立ち上がる。


2. 良姿勢からの立ち上がり 

トライポッド姿勢を通過し 一回の動作で立ち上がる。


3. 良姿勢からの立ち上がり(かかとの位置は膝の直下)

第一動作で上体を十分に前傾し 第二動作で股関節・体幹の活動性をより高めて立ち上がる。


椅子からの立ち上がり 1.2.3.

1. 3. の立ち上がり動作で二動作が必要な理由は バランスをとる 連動性を得る ために まず上半身と下半身の重心位置を合わせなければ立てないし 動けないからです。この 1. 3. の座位姿勢では 身体の重心位置は前後で言えば後方にあります。この姿勢からでは 反動をつけなければいくらの筋力の猛者であっても一動作では立てません。 

1.ではさらに 下肢筋力に依存して体幹筋群を上手く使えません。連動性が劣るので立ち上がりの際に バランスに気をつけなければいけません。(骨盤後傾姿勢のため 身体重心が後方に移動していて 各関節にかかる負担を分配・分散できず 膝関節の活動性がより必要です) 

3. では 座位では上体・下肢は安定 していますが 力の分配・分散=連動性が偏っていて 上体を起こす際には股関節と体幹の活動性がより必要です。(スクワット動作などでは 下腿の前傾が不十分な場合 荷重量(負荷)が増えると腰椎の前弯が強制されやすくなります 膝関節 = 膝蓋靭帯や前十字靭帯への負担も強くなります)

2. では 特に下肢の各関節に対する力の分配=連動性ができていて 上体が安定し 身体の前方重心・バランスがとれています。(各関節にかかる負担を分配・分散できています) 重心移動の無駄がなく 一動作で立ち上がれます。(下腿の前傾がとれていて かつ過度な腰椎の前弯が見られていないので股関節の活動がより発揮できます)

動作の質  =  機能的

機能的 と意味を調べると 「目的を満足させるのに十分な機能を備えて 無駄がないさま」 (三省堂 大辞林)とあります。上記の椅子の立ち上がり動作において 無駄がない様は 一動作で完結することです。条件を同じくして 椅子に腰を掛ける動作 としてみても同じ答えです。姿勢の変化は身体の重心位置を変えます。各関節に掛かる力の分配・分散(負担)に差がでます。運動器への痛みやエネルギー消費に差がでます。連続した動作であってもひとつひとつの動きに求めるものは同じです。スタート リスタートの際に 無意識に行う小さな重心の乗り換えが 反応の遅さ・動きの不確定さの一つです。方向転換であればなおさらです。パワーポジションからでも座位姿勢同様に後方重心の傾向があれば 第一動作で足部重心を無意識に前方に移動し 第二動作で地面を蹴りだす(押し出す)ことになります。反応が遅れるということは バランスが悪いということでもあるので 単純なコンタクトスポーツでも 体重の優位性だけでは結果はわかりません。動作が始まってから身体の重心位置を動かす・探すこと(バランスをとること)は無駄があり 動作の質が高いとは言えません。自分自身がこうした二動作が必要な姿勢であることに気づいていない あるいは身体が特有の局面でそうした姿勢をとってしまう。こうした動作の質の低下 そのリスクとともにスポーツや運動・日常生活を継続しているかもしれません。椅子に腰かける時立ち上がる際に 今のその姿勢は一動作で完結できるものなのかを意識して日常で繰り返し行う動作でも試してみて下さい。姿勢の変化や利便性や運動器の痛みから使わなくなった動作が使えなくなっていたことに気づくかもしれません。その他にも色々なことを身体が教えてくれるかもしれません。 

安易に筋肉の出力を高めるトレーニングだけでは改善できないので 運動・トレーニングを動作として認識して行わなければ変わりません。モビリティを改善することでフレキシビリティも備わり 各関節の動作域の広がりから重心の移動(力の分配・分散 = 連動性)を理解できるはずです。無駄の少ない動作を習慣化できます。 

モビリティトレーニングでは基礎動作の身体能力を改善・向上することが目的です。 モビリティトレーニングから身体の使い方(各関節に対する力の分配・分散=重心移動・連動性)を知ることで 競技スポーツの動作に限らず 私たちが日常生活で繰り返し行う基礎動作 「歩く しゃがむ 拾う 持ち上げる 押す 引く 伸ばす など」の中で その使い方を実践できます。 動作の質を改善し疲れにくい身体を目指すことができるはずです。


*座位姿勢の条件

・一律 浅く腰掛けた座位。

・床につく足の位置は上から床を覗きこんで膝頭から足のつま先が見えない位置。(かかとを椅子側に引いた位置)= 1 . 2

・足幅の位置は腰幅。

・床についた足部の位置は動作中動かさない。

・両上肢も大腿に触れたまま動作に関与しない。

・反動は使わない。

*身体の重心位置

・上半身の重心は 胸椎の第 7 胸椎~第 9 胸椎のあたり。       (みぞおちの少し上あたり)

・下半身の重心は 大腿骨の1 / 2 と大腿骨の1 / 3 の中点あたり。    (大腿骨の1 / 2 ~下2 / 3 あたり)

・身体の重心は 上半身の重心と下半身の重心の中点あたり。      (臍下3 寸=指 4 本下=丹田)

*よく丹田と聞きますが 丹田を理解するには上半身と下半身の重心を理解することからです。


モビリティトレーニング~QOLはQOMから~             モビリティトレーニングの実践 MOB1からMOB10  も

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「ちょっとやってみようかな、マネしてみようかな」というところからカラダの使い方に興味をもってもらえれば嬉しいです。