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アンビバレンス

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どんな形容詞も邪魔だ。
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#短編小説

サングリアに沈む果物が欲しいならご自由にどうぞ。

サングリアに沈む果物が欲しいならご自由にどうぞ。

あまりに穏やかに会話が弾んでしまうから、自分史上最高の孤独を伝えようもなかった。今後告げることもないだろう。

東京に住んだ二年間、バーカウンターで泣きじゃくった晩もあったような。粗大ゴミの方が余程ましだったろう。

数ヶ月の間であったが、自分がバーテンダー側に立って、客の色々な光景を目にした。
昨晩見たカップルは別れ話をしているようだった。割り勘した後、不自然極まりない距離をあけてその男女

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