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中編

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少し長めの怪談です。
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#幽霊

A家にて【怪談】

A家にて【怪談】

大学構内にある食堂で、友人のAが突然
「うち、幽霊出るっぽいんだよね」
と訳の分からない事を言い出した。
幽霊だか妖怪だか、はたまたUFOだかの類いは全く信じていない私には、冗談の中でもかなりランクの低い冗談だとしか映らなかった。
「ふぅん」
と適当に相槌を打つと、Aは続けて
「それで最近凄く困ってて……全然夜眠れなくて」
などと付け加えた。顔を見れば確かに目の下に大きなくまが出来ているし、全体的

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線路脇の廃屋にて

線路脇の廃屋にて

 ある路線のすぐ脇に一件の廃屋がある。周りにある家々には住人がいるが、そこだけは長いこと誰も住んでおらず、解体される事もなくただ建っている。市や町が解体しようと試みたが、何故かことごとく失敗してしまうと言う。
 そこにはある女性の霊が出るのだそうだ。
 その霊は決まった時間になると二階の窓際に現れ
「ぎゃーーーーーー!!!!!」
 と叫び声を上げて倒れこむ。それから暫くして階段を這って降りて来て、

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その息遣いを私は覚えている【後編】

その息遣いを私は覚えている【後編】

「何してんの!!!」
 言葉を聞き終わる前に襟が私の首をキュッと締め、更に後方へと引っ張る力によって体が持ち上がり、勢いそのまま今し方すり抜けて来た柵にぶつかった。
 私の行動を口汚く罵りながら消えていく車と、それに対して似たような罵声を浴びせる人影が、痛みに耐える私の面前にあった。
「ちょっと大丈夫!? あいつ全然前見てなかったしさ、ほんとじじぃはクソばっかだよ、まじで。次会ったらバンパー凹ませ

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その息遣いを私は覚えている【中編】

その息遣いを私は覚えている【中編】

 まともに見れた物では無かった。
 いや、例えまともだったとしても多種多様な花に彩られ、毎日欠かさず見ていた寝顔と何ら変わらない穏やかな顔をしているリクを、どうして私が面と向かって虹の橋へと送り出す事が出来るだろうか。
 どうにか直してくれたのだと言う。今見えている顔の反対は、飛ばされてコンクリートの上を滑ったせいでとても見られたものではなかった。
 様々な手続きが終わり、家に戻ってお気に入りの玩

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その息遣いを私は覚えている【前編】

その息遣いを私は覚えている【前編】

ハッハッハッハッ…

 枕元で聞こえる荒い息遣いが私の眠りを妨げる。
 頭だけ動かして見ようとしても、そこには暗闇が広がるだけで何もいない。
 1度母と一緒に寝て貰った事があったが、母には何も見えていないし聞こえてもいないようだった。無論、私にも姿は見えてはいない。幻聴だと思い込もうとしても、余りにはっきりとしたその音が私の心を大きく揺さぶり、震わせる。
 聞こえなくなる様にと布団を頭から被ると、

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巷で噂のエスカレーター【怪談】

巷で噂のエスカレーター【怪談】

12、エスカレーター

近所に幽霊が出ると噂のエスカレーターが存在する。そのエスカレーターはJRの駅に直結する比較的新しい物で、幽霊が出そうには微塵も見えない。しかしながら、噂は近隣に住む子供から大人まで知っているし、実際に出くわしたと言う人が後を絶たない。
その噂の内容は多少の差異はあれど、大まかにはこうだ。
「雨の降る日に、時間の遅い電車を利用しようとすると霊が現れ、あの世に引きずり込まれる」

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