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【B-1-1】勇者さまっ!出番です!!

これは、選択肢によって展開が変わる
「なんちゃってゲームブック風物語」の一部です

▶ぼうけんをさいしょからはじめるばあい
https://note.com/kudotomomi/n/n9a641f1d1573

▶ぜんかいまでのぼうけんをふりかえるばあい
https://note.com/kudotomomi/n/n5aa03de8e175
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そして旅立ちへ…


勇者と魔導士・ミスティの二人旅が始まった。

まずは、クエストの依頼主であるエーデルムート国に向かわなければ。勇者はレンタルした馬車で、近場の村を目指すことにした。

馬車の中から、ミスティは勇者に尋ねた。

ミスティ
「エーデルムートへはどういうルートでいくつもりなんです?」

勇者
「紹介所で聞いた話だと、最短距離は、迷いの森を抜けて、アーガム湖に出る。そこから山道を進んで行って…ということなんだけど…どう頑張っても馬車でも2~3日はかかるらしい」

ミスティ
「そう…時間がかかるのね。でも…迷いの森を抜けるのは…あそこは最近モンスターが増えているから、抜けきるまでしんどいと思いますわよ」

勇者
「っていったって、別ルートは迂回ルートだからもっと体力が削られるんだぜ?」

ミスティ
「わかったわ。ちょっと魔力は使うけど”ビューン”が使えるの。わたくし」

勇者
「え!あの街から街へひとっとびできる呪文!?」

ミスティ
「もちろんよ。もしエーデルムートへ着いた後1日回復日をいただけるなら一気に魔法で飛びますわ。どうです?」

勇者
「ありがたい!!お願いします!」

ミスティ
「じゃあ、馬車ごと行きますわよ!しっかりつかまっていてくださいね!」

ミスティが瞑想を始めると、魔力があつまり、光のオーラが馬車を包み始めた。

ミスティ
「風の精霊たちよ、我に力を!!ビューーーーーン!!!!!」

ミスティが呪文を唱えると、衝撃が走り、竜巻のようなものが勇者たちの乗った馬車を巻き上げた。

勇者
「うえええええ!?この移動魔法、こんなに荒っぽい魔法なのかよ!!きいてねぇ!!」

テレポーテーションのような呪文を想像していたのだろう。あまりのことに馬も驚いて暴れている。勇者は必死で手綱を引っ張り衝撃に耐えた。

もうだめだ!と思った瞬間、体が軽くなり、勇者が目を開けると、そこはエーデルムート国の門前であった。

ミスティ
「無事着いたみたいね」

勇者
「死ぬかと思った…」

エーデルムート国の門番がふたりをみつけると、駆け寄ってくる。

門番
「お主たち、何者だ。わが国に何か用か」

勇者
「あ…ハイ…ハロワ神殿で、エーデルムート国の依頼を観てやってきたもので。これ…勇者のしるしと通行証です」

勇者はヘロヘロになりながら、ハロワ神殿でもらった通行証と、自分の身分証となる勇者の証を提示した。

門番
「はっ!ハロワ神殿からお知らせは来ております。あなた様が、勇者様でしたか。大変失礼いたしました。ささっ、こちらへ。大臣のもとにご案内いたします!」

勇者
「あ、はい…(腰打った…)」

勇者とミスティは、大臣と面会した。大臣は、現在のエーデルムート国が魔王によってかなり被害を受けていること、それが原因で王が心を病み臥せってしまっていること、また国民もみな不安な日々を送っていることなど、切々と勇者たちに語った。

大臣
「私たちは、魔物の影におびえております。この国を魔物から守っていただきたいというのが勇者様へのお願いでございます。謝礼は勇者様のご不満のない額をお支払いさせていただきますので、どうか我々をお救いください!」

勇者
「わかったよ。魔王をぶっ倒せばいいんだろう?」

大臣
「え…?魔王を倒す…?あ、いやいやそこまでの依頼では!!魔物を追い払っていただくだけで十分でございます」

勇者
「なんでだよ?魔王を倒せば平和が来るんだぜ?俺は魔王を倒すつもりでここまで来たんだ」

大臣
「しかし…魔王はかなりの強敵…いままで何人もの勇者様が魔王に挑んでは命を落とされました…国王はそのことにとても心を痛めているのです。わが国王は優しいおかた、そしてこの国は農業を中心とした、優しい風と光が包む国でございますため、国民も争いごとには慣れていないのです。ですからこれ以上被害が出ないよう、ハロワ神殿には【平和維持】という依頼を出させていただいたというわけで…魔王を倒すなど…滅相もない」

勇者
「おい、寝言は寝て言えよ。魔王はあちこちの国で悪さをしてるんだよ。それで多くの人間が死んじまってるんだ。商売人はおちおち仕入れの旅だってできないんだぞ。魔王の存在はな、この国だけじゃなく、この世に存在するみんなに恐怖を与えてるんだ」

大臣
「ですが…しかし」

勇者
「俺はやってやるぜ、魔王を倒して、この国を、みんなを守ってやる」

熱くなる勇者と、煮え切らない大臣の間にミスティが割って入った。

ミスティ
「大臣様、ご心痛お察ししますわ。ですが、国の平和は国王の願い、そして国民の願いであるはずなのです。ぜひわたくしたちにお任せください。悪いようにはいたしませんわ」

大臣は、幼女にしか見えないミスティをみて、あからさまに不安な顔をした。その不安をミスティもはっきりと感じ取ったのだろう。ちょっとむっとして続けた。

ミスティ
「わたくし、大魔導士の血筋 ”マクミラン家” の出身でございますの。100年に一人生まれるという、”電光の大魔導士”と言われていますのよ」

大臣の顔色が変わり、態度が軟化した。

大臣
「なんと!!あなた様はマクミラン家の”電光の大魔導士”であらせられるのか!これはこれは大変失礼をいたしました!マクミラン家とエーデルムート王とは切っても切れないご縁と伺っております…”電光の大魔導士”様が勇者様のお仲間とあれば、100人力!きっと魔王も青ざめることでございましょう!!」

勇者
「決まりだな。俺たちは、魔王をぶっ倒しに行くぞ」

ミスティ
「大臣様、必ずいい知らせを持ってまいりますわよ」

大臣
「かしこまりました。魔王討伐にあたって、なにか準備が必要であればお申し付けください。大したお構いもできないとは存じますが、最大限、勇者様のご希望に叶うようにいたします」

勇者
「まず、体力を全回復させてから魔王の城に向かうから、宿を用意していただきたい。ミスティは何かあるか?」

ミスティ
「そうですわね…もし薬草や魔法水のような回復道具があれば、お願いしたいですわ」

大臣
「承知いたしました」

勇者とミスティは、その後エーデルムートの城下町にある高級な宿に泊まることになった。勇者が魔王討伐をしに来たという噂が、数日前から国民の間で流れており、ふたりは国民からあたたかい歓迎を受けた。国民たちのやさしさに触れ、勇者は魔王討伐への思いを強くした。

勇者
「ミスティ、俺は絶対にやるぜ。命に代えてもな」

勇者は闘志を燃やしていた。その表情には、ハロワ神殿で見せていた「伝説を更新」という自己顕示欲はみじんも感じられなかった。そんな勇者を見て、ミスティは微笑む。

ミスティ
「あら、命に代えるだなんて縁起でもない。勇者様の隣にはこのわたくしがおりますのよ。マクミラン家の名にかけても負けるわけにはいきませんの。かならず倒しますわよ…魔王を」

体力を全回復した二人は、翌朝出発した。
国民に見送られ、勇気百倍だ。

勇者
「お、おい。さすがにもう”ビューン”はつかわないよな?」

ミスティ
「ヘレンクヴァール王国には結界がはってあるのです。なので、”ビューン”を唱えても、おそらく手前のエリアにしか移動できませんけど…つかいます?」

勇者
「あ、いやいやいや。使わなくていい…(腰痛めそうだから)」

さあ、いざゆかん
最果ての国、ヘレンクヴァール王国へ…

最終章へ続く…
https://note.com/kudotomomi/n/ndcf5380afd6f

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