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息子とショッピング。この小さな幸せが、自分を、そして周りを、そして世界を幸せにする…。

気温がぐんと下がり
秋らしくなったある日のこと。

「明日着て行く服がない!」
息子が言いました。

「えっ?!
 たくさんあったよね」

「うん。そう思ってたんだけど…
 これ、小さくない?」

お気に入りのパーカーを着て
現れた息子を見て驚きました。

「た、たしかに…。
 ジャストサイズと言えば
 ジャストサイズだけどね…」

ついこの間まで
Tシャツとハーフパンツで
過ごしていた息子。

そろそろ秋物をと思い
引っ張り出してみたところ
ほとんどの服が
小さくなっていたよう。

中には
まだ着れそうな服も
ありましたが
色が褪めていたり
首元がヨレヨレしていたりして
どれもこれも
何だか心もとない感じで。

今日明日と、
友達と出掛ける予定があると言う息子。

「今日は取りあえず
 何とかなりそうだけど…
 明日何着て行こう…」

おお、これは緊急事態だ。

今日は
お昼過ぎには戻るとのこと。
そこで、帰ったら、
服を買いに行こう
ということになりました。

「おれさ、服のこと
 全く分かんないから、
 お母さん教えてね」

これまで息子は、
それほど服に興味がありませんでした。

部活を引退し
友達と私服で会う機会が増えるにつれ
少しずつフッションのことが
気になり始めた様子。   
まぁ、年頃ですしね。 

先日、
友達とGUに行った時
「◯◯さ、こういうの似合うんじゃない」と
勧められたのだそう。

でも
息子には
よく分からなかったようで…。

「とりあえず
 パーカーかトレーナーは1枚欲しい」
息子は言いました。

「着回しできるシャツや
 カーディガンが1枚あると便利だよ」
主人のシャツやカーディガンを
ちょっと拝借して
お母さんのコーディネート講座。

「なるほどね」
母の話を真剣に聞く息子。

こんなダメダメ母さんでも
まだ息子の役に立てることがあったのね
そう思ったら
何だか嬉しくなりました。

さて、その日の2時過ぎ。
友達との予定を終えて
戻ってきた息子と
早速買い物に出掛けました。

こんな風に
2人で出かけるのは
久しぶりのような気がしました。

目指すは、GU。
そしてユニクロ。
まずはGUへ。

GUの駐車場には
思いのほか
たくさんの車が停まっていました。

急に寒くなって
みんなも慌てて秋物を買いに来たのかな
ふと、そんなことを思ったりしました。

まず最初に
息子の希望の
トレーナーやパーカーのコーナー。

一通りざっと眺めてから
息子は言いました。
「やっぱりトレーナーがいい。
 色は…グレーかな」

少し大きいサイズを
選んでみました。

鏡の前で合わせてみると…

「えっ、いいじゃん!」
思わず2人で叫びました。

シンプルだけれど
少し大きめのサイズが
おしゃれ度をアップさせていました。

「じゃ、まずはこれを買おう。
 次は…そうねぇ…
 インナーもいくつかあるといいね」

白と黒の
シンプルな長袖Tシャツを2枚
ささっと選び…

それからそれから…

「この上に羽織る
 デニムのシャツを1枚買おう!」

うわぁ、楽しい!
はしゃぐ母。

デニムシャツは
ライトブルーと
インディゴカラーの2色がありました。

息子は最初、
「普段なら選ばない方をあえて…」
そう言って
ライトブルーのシャツを手に取り
鏡の前で合わせてみました。

うん、なかなか似合ってる…

その後
インディゴブルーも合わせてみました。

「やっぱりこっちだね!」
一目瞭然でした。

デニムシャツは
インディゴカラーに決まりました。

「実際に着てみると
 なんか違うなって思うこともあるから
 とりあえず全部試着してみよう」

私はそう言って
息子を試着室へ案内しました。

試着室は空いていて
順番を待たずに
すぐに入ることが出来ました。

カーテンの前で立ち止まった私に
息子が突然言いました。

「(お母さんも)入って!」

えっ?!中学生にもなって?
部屋じゃないんだから、
入ってって…

一瞬戸惑いましたが…

でもまあ、
裸になるわけでもないし
いちいちカーテンを開けて
一着一着確かめるよりも早いよね。
息子が入ってって
言ってるんだしね。
それにここの試着室はかなり広いし…

一人問答の末
私はさっと
試着室の中へ入りました。

おかげで
次々に試着がすすみました。

試着してみたところ
案の定
トレーナーは
裏起毛が熱すぎるとのことで
息子には不評でした。

普通のがいいなというので
トレーナーは
ユニクロで探すことにしました。

試着を終えた後
パンツも1枚欲しいと言うので
パンツを選びに行きました。

息子はジーパンが苦手です。
普段は、
軽くて動きやすいチノパンを
好んで履いています。
色は、主に、カーキ、ベージュ、紺。

今日も、
ジーパンを手にとってはみたものの
やっぱりこっちがいいと
チノパンに。

今日は少しワイドなチノパンを
選びました。

「冒険して茶色にしてみる!」

初挑戦の茶色。
息子によく似合っていました。

「うん、いいんじゃない!」

「さっき選んだ
 グレーのトレーナーにも
 デニムのシャツにもぴったりだしね」

息子もすっかり気に入ったよう。

「あっ、お母さん、
 カーディガン買ってない!」

そうだった。そうだった。
私がおすすめしたんだった。

ただ、ここでは見つからず…。
ユニクロで探すことにしました。

ということで
GUでの買い物はここまで。
会計を済ませ
いざ、ユニクロへ。

お目当てのグレーのトレーナーは
すぐに見つかりました。

カーディガンは、
あるにはあったのですが…
イメージと違って…

そんな中
ふと目に入ったデニムジャケット。

さっき買ったデニムシャツより
明るめのインディゴカラーで
トレーナーやセーターの上からも
羽織れそうなゆったりサイズ。

しかも、
ちょうど期間限定価格!
ラッキー!

「これいいんじゃない?!」
私がそう言うと
息子も興味をもったようで
その場で袖を通してみました。

「いい!いいね!」
息子は目を輝かせました。

こういう服が
自分に似合うということが
息子にとっては驚きでもあり、
発見でもあったようです。

でも、本当に
よく似合っていました。

いつの間にか
主人と同じサイズの大人服を
着こなせるようになった息子。

たとえユニセックスデザインであっても
私とはサイズが違い過ぎて
シェアは出来なくなりました。


余談になりますが
先日主人が、
こんなことを言いました。
「◯◯さ、小さい頃
 バケツに入って
 水遊びしてたんだよな」と。

ほんと。
バケツにすっぽり入るほど
小さかったんですよね。
今ではきっと、
片足を入れるのがやっとでしょうね。


さて、GUとユニクロで
秋物服、総額13000円のお買い物。
これでしばらく何とかなるでしょう。

大満足で帰路につき…
家に帰って
早速ファッションショー。

「うん。いいねいいね」
 そう言いながら…

「これって、
 お父さんのファッションだよね」

「本当だ!」

2人で顔を見合わせて笑いました。

私たちが
いいねいいねと言いながら
買ってきたそれらの服は
色も、組み合せも、
主人の恰好そのものでした。

間もなく
釣りから帰ってきた主人が
おもむろに
息子の買ったデニムのジャケットを
羽織りました。

「そう言えば
 こういうの、前に持ってたな…」

確かに…。

それは20代の頃に着ていた
お気に入りのデニムジャケット。

数年前に久しぶりに羽織ってみた時
何だか似合わない感じがしたのと、
やっぱり少し形が古い感じがして
手放したのでした。

今日、息子が買った
デニムジャケットは
やっぱり主人が持っていた
それとは少し違って。

主人にも似合ってはいましたが
息子に合わせて買った
そのジャケットは
やっぱり
息子によく似合っていました。

それでも、
今日買った服を眺めながら
私たちは
好きな物も趣味も
バラバラだと思っていたけれど
案外似てるんだな…
そう思って、
何だか嬉しくなりました。

思いがけない出費でしたが
そんなことは全然気にならなくて
むしろ心は満たされていました。

おしゃれ心が芽生え始めた
息子とのショッピング。

何でもないような
今日という日が
とてもかけがえのない日に
思えました。

幸せはきっと
こんな風に
ありふれた日常の中に
たくさん溢れていて…。

そんな小さな幸せを味わうことが
自分を、
そして家族を
まわりまわって世界を
幸せにするのかもしれないな…
そんなことを思いました。

そして
いつの日かまた、
今日の日のことを思い出して
あぁ、私はずっと幸せだった…
そう思って
胸がいっぱいになるのだろうなと。

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