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忘れて花束

悲しみが足りなくなると、あの日の君を探した。

あの子は悲しい歌ばっかり聴いてた。

忘れてるはずの記憶を無理やり呼び起こして、

幸せに怯えたわたしを、切なさで包む。


花束を持ってきてくれた君に、もう何も感じなかった。

あの時、君が今くらい愛してくれたら、きっと幸せは続いてた。でもいつの間にか居場所は入れ替わって、わたしは君じゃダメになった。君じゃなくなった。愛そうとした時から分かってたよ、離れてしまう景色も、入れ替わってしまうこの気持ちも。忘れてって言うしかなかった。わたしの代わりに、どうか綺麗に。


2019って数字に違和感を感じられなくて、なんか面白かった。隣に君がいないことを信じられないように、まだ今年が始まっていないみたいだった。もう半年も経っているのにね。多分こうして歳を取るんだねって幼なじみと笑った。


自分を評価してくれる人が増えると、何故かあの子を手放してしまう。そんな人にはなりたくないと思っていたのに、そんな人の隣で笑っている。今の私に、あの子が必要ない存在になっただけなんだよね。あの時、あんなに好きだった人はただの過去の人で、今のいままで思い出すこともなかった。


緊張しいだからドキドキしたけど、なんでも始めちゃえば意外となんとかなるんだね。だって君と会ってからもう、五時間経ってるよ。こんなぶっ通しで話せるなんて思ってなかった。それに、こんなにも簡単に元彼のことを忘れちゃうなんて、案外私は冷たいんだなあって。


あのYouTuberを初めて見た日から、もう6年以上経ってるの面白すぎない?いや、やばいでしょ。おかしいでしょ。私あの時から6年分成長してるのかな。あぁでも、なりたいと思ってた自分には、十分近づいた気がするな。


大した出来事ではないけど、初めて手を繋いだ時の匂いを今でも覚えてる。嬉しくて、幸せで、君さえいればいいと思ってた気がする。忘れないうちに、幸せを書き留めたっけな。


最後は、ああ言うしかなかったけど、

初めて手を繋いだ日の二人を、

忘れないでいて欲しいよ。


コンビニまでのあの道を、

ずっと続いて欲しいと笑ったあの時間を

どうか忘れないでいてよ。


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