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08|主役の在りどころ


Void|2020

Title|Void
Date Created | 2020
Art Supplies|木版画
Size| 297 × 210mm

Concept| どんなものでも環境や装飾さえ整えばそれなりに見えるものだ。 絵で言えば額縁と美術館。歌手ならばマイクとステージ。俳優なら衣装と映像。その他にも様々な要素が主役を決めるのだ。では額縁を主役にした作品はどう見えるのか。主役という概念は視点によって切り替わるものだ。 Explanation| この作品は前回同様木版画で作成した作品です。 木版画の技法に関しては、「 07|出会い 」をご覧ください。

この作品を制作する前、私は学内で行う展覧会をしていました。その時初めて自分の作品が額縁に入り、作品の魅力がさらに引き出されました。本当にそれなりに見えたのです。実際制作した時点では、いい感じという手応えは感じていましたが、額縁に入り初めて作品として認められたような感覚でした。そんな背景があり、作品というものの価値を向上させる魔法のような額縁が、作品として昇華されるとどうなるのか興味が沸いたのです。そんな作品が『 Void 』になります。日本語に訳すると、「虚」や「空所」という意味になります。額縁の中には無造作に掘られた痕跡。その意味のない行動に対して額縁がつくだけで作品として成り立つのです。この作品を見た方には、「額縁」という装飾があるからこそ成り立つことを理解してほしいのです。これを見ていただいている方々が何を生業にしているかは知るよしもありませんが、きっと仕事でも、趣味でも、あなたを引き立てる大切な要素が周りにあることを感じて欲しいのです。自分にとって当たり前なことほどその要素に気付くことは難しくなります。しかし、今一度周りを見渡してみてはどうでしょうか、あなたの好きなものがいっぱいあると思いますよ。きっとその要素達は自分を作り上げた大切な環境であり装飾なのです。何かを引き立てるための要素。その概念は人それぞれ違いますが、本人にとっては当たり前でも、他人から見ればその人のアイデンティティは鮮明に見えるのです。それはモノでも人でも感じ取れる一つの個性なのです。
あなたを引き立てる大事な要素。
見つけましたか?
それではまた。

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