最近面白かったテレビ番組・小説紹介〜面白がり方〜
どうすれば受動でなく、コンテンツをおもしろがれるか?
コンテンツを語れる人になりたい!
そう思うのであれば、点数をつけてしまうことだ。
差異に気づくことこそが洞察の始まりになる。
なんちゃって。
さてさて。最近お世話になったコンテンツを0〜5点で評価しているのですが、見事5点を獲得した面白かったコンテンツを紹介していきます。
これを参考にやってます↓
とその前に
0〜5点で出来事やコンテンツを評価してみるの、すごいおすすめです。オススメ度5です笑
放っておくと、出来事を「ああよかった」「最悪」の2種類くらいでしか考えなくなっていくのが我々人間のさが。
0〜5の6段階で評価してみることによって、自分にとって何が面白いのかをより解像度高く説明できるようになるんじゃないかと思います。
評価するときのポイントみたいなのをいくつか持っていないとなかなか6段階に分けた理由を説明するのは難しいですからね。
人に「どうだった?」って聞かれるときにも「〇〇よりはマシなんだけど、〇〇よりはダメだった」と比較表現を使って言える方が断然伝わりますよね。
ぜひお試しくださいな。
それではお待ちかね(?)、おもしろかったコンテンツ紹介です。最初の二本はテレビ番組、続いて小説を二冊紹介しています。
お好きなところから、どうぞ!
☆面白かったこと〜テレビ番組編〜
沖縄の実家に帰ってきてから、テレビをけっこう観るようになりました。
おもしろくないのも多いですが、中にはやっぱテレビってすげえなとなるものもあります。
今週特に面白かったのは『関ジャム 完全燃SHOW』と『ねほりんぱほりん』でした。
ではでは、紹介していきます!
嵐のライブってそんなにすごかったの⁉️〜関ジャム 完全燃SHOW〜
毎週日曜よる11時に放送している音楽バラエティー番組です。その内容がかなりマニアック。
関ジャニ∞と古田新太とサバンナ高橋が固定で、そこに音楽業界のプロを招いて毎回音楽話をします。
具体的な楽曲をあげて、ここがすごいとコード進行の話をしたり、作曲家ばかり集めてどんな抽象的な依頼から曲を作っているのかばかり話したり、クラシック界の人を呼んでJポップを分析してもらったり、そんな感じです。
話がいつもマニアックで、雰囲気で付いて行ってる節はあるのですが、それでもめちゃくちゃ面白いです。ちょくちょく視聴者を置いてけぼりにする勇気が好物なのです。
関ジャニ∞は全員楽器ができるようで、それぞれが音楽のセンスというか変態的な部分を持っているようでそこも魅力です。
その『関ジャム 完全燃SHOW』が、今回初のゴールデンということで2時間枠で放送されていたのですが、まあ面白かったです。
テーマは「ジャニーズライブ」なのですが、半分以上は嵐のライブ演出について松本潤が話すというものでした。松潤て嵐のライブ演出担当なんですよ、知ってましたか?僕は初めて知りました。
嵐のライブなぞ、気にしたこともありませんでしたが今回の放送で「すげえな」となりました。
まず、嵐のライブに使っている技術は世界のライブエンタメの最先端らしいです。嵐がやった後で他のジャニーズグループやドリカムとかがアレンジして使っていくと。ライブの映像をちょこちょこ流していたのですがほんとにすごい。今の音楽ライブって相当中毒性高いんでしょうね。
それから松潤のプロデューサーとしての視点ですよね。
ジャニーズのライブは、最前列も最後列もチケット代がおんなじなんだそうです。だから絶対に、「前だったらよかった」と思わせない工夫を何重にも仕掛けているというんですね。さすが一流アイドル。
全席のお客さんを楽しませるために最新のエンタメテクノロジーを使うというポリシーを貫いているので、高い機材を使うにしても一瞬しか使わないこともあるそうです。「なんじゃあれ!?」は一瞬じゃないと面白さが減るということらしい。
すごくないですか!?(語彙力)
ライブの準備はコンサート8ヶ月前から始まり、いろんな業者のトップで集まって舞台演出を決め、実際に作り上げながらすり合わせ、使用許可を取るのに何ヶ月もかかったりしながら、歌とダンスの練習をし、どの順番で歌うかをすり合わせ・・・といった膨大で大変そうな過程が山積みです(他人事)。
こんなことをしながら、ドラマの主演もしてますし、番組MCやCMとか雑誌の撮影までしていると考えるとほんとすげえよなと思うわけです。それでいてクールですからね。えげつないなあと。
惚れるってすげえ〜ねほりんぱほりん〜
続いてねほりんぱほりん。
これは今回初めて見ました。実は前から気になってはいたんですけど、いつやってるのかわかんなかったんですよね。
どんな番組かというと
顔出しNGの
ゲストはブタに、
聞き手の山里亮太とYOUは
モグラの人形にふんすることで、
「そんなこと聞いちゃっていいの~?」という話を
“ねほりはほり”聞き出す新感覚のトークショー。
番組公式ホームページより
です。なかなかきわどい話が出てきて面白い。
なるほど、NHKでも人形にふんしてならこんなきわどい話もできるのかと膝を打つものすごい番組なのです。いいでしょ?
そんな”ねほぱほ”の今回のテーマが「羽生結弦に出合って人生が変わった人」でした。3名の熱狂的な女性羽生ファンが根掘り葉掘り聞かれるのですが、彼らの生活が本当に面白いんです。
まず3名ともに、稼いだお金は自動的に羽生くんのために使う羽生口座に振り込んでいるそうです。そっから、ギリギリ生活できるだけのお金を別の口座に移して自分のために使っていると。なんじゃそら。
彼女たちにとって羽生くんを拝むために使うお金は「生命維持費」なんだそうで、何百万使おうと後悔しないんだそうです。おそるべし羽生結弦。
それから、なんでも一つだけ願いが叶うとしたらというトークが三人で盛り上がるのですが、「羽生くんが生まれる1ヶ月前から彼を応援したい」とか「羽生くんが4回転アクセルを成功させる試合を間近で観戦する」とかまず叶えたい夢の最優先が羽生くんの夢なんですよね。愛だなあ。
番組を観て思ったのは、周りから見れば彼女たちは明らかに変人だけれど、とても幸せなんじゃないかってことです。
はっきりとした夢がない人は誰かの夢を応援するというのも豊かな人生を送るためにはいい方法なのかもしれません。
ではこれくらいで小説編へ。
☆面白かったこと〜小説編〜
最近小説は読んでいなかったのですが、誕生日に後輩に贈られた『明け方の若者たち』と弟に読書感想文用として勧めた『コンビニ人間』が6段階評価の5点なので紹介します。
あんまり共通点のない二冊ですが、短いけどすごく考えさせられるという点では似ています。主人公はむしろ対照的ですね。
『明け方の若者たち』は大学生〜三十代社会人あたりには刺さるものがあるかと思います。「自分の人生、こんなハズじゃなかったのに」と思ったことのある方はぜひ。
『コンビニ人間』は第155回芥川賞受賞作品でもあり、けっこういろんな国で翻訳されていて人気なんだそうで、ご存知の方も多いかもしれません。まだ読んでいない方は、ぜひ。
明け方の若者たち
作者はTwitterのフォロワー数が14万を超える人気ウェブライターのカツセマサヒコさんです。僕は知りませんでした。
安達祐実さんとか、尾崎世界観さんとか、村山由佳さんとか、紗倉まなとか、帯のコメント陣がすごく豪華で羨ましい限りです。
この小説は恋愛ものに見せかけてはいるものの、恋愛ものではありません。おそらくこの小説にもっとも心をえぐられるのは「こんなハズじゃなかった人生」を歩んでいる気がする若い社会人の方と、就活中の大学生と報われない恋に苦しんだことのある方なのではないかと思います。
あらすじとかはほっといて、好きな部分を引用します。
※ごく微妙にネタバレになりますので注意
まず出だしが好きです。
「ごめん、携帯無くしちゃったみたいで。番号言うから、かけてくれない?」
それが彼女から届いた最初の言葉だった。場所はこの公園からすぐ近くの沖縄料理屋。十畳ちょっとの半個室は、とにかく下品で騒がし方のを覚えている。
これだけでいろいろ推測できますし、物語の予感がします。
若い社会人か大学生かわかりませんが、複数人でどんちゃん騒ぎをしている飲み会で初めて出会った二人が、一気に連絡を取ろうと思えば取れる間柄になるシーンですよね。短い文章でうまくそれをわからせていますね。上手い。
もちろん、物語に銃が出てきたら必ず発砲されるように、連絡先が交換されたら連絡を取り合うようになるわけです。
先に居酒屋を出て行った彼女が「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」というあざとい16文字を送りつけてきて一気に話が展開します。すごくテンポがいい。
続いて。
合っていたんじゃなくて、合わせてくれていた。長く時間を共にするほど、それに気づかされるシーンは増えていった。
だいぶ後半の方の文章です。切ないですよね。自分にこんなにぴったりな相手はいないと夢中になって始まった関係なのですが、時が経つほどこういうことに気づいていくものなんですかね。
この部分を含む137ページは一番好きなページです。個人的にめちゃくちゃ刺さる言葉がひたすら並んでいました。ネタバレが激しいので引用しませんが。
社会人としての心の動きや、起こる出来事もすごくリアルで生々しくて、ちょうど社会人向けの記事のライターをしている僕としてはとても興味深かったです。
何者かになろうと必死でもがきながらも、妥協と惰性で生きていて、こんなハズじゃなかったとなんとなく毎日思う、そんな様子が胸に迫ってきました。
主人公たちと同じ世代の人たちにとっては、当時の社会の様子や、流行りの歌やイベントが再体験できて、タイムスリップ感もあるかと思います。BUMPがよく登場しますよ。
これが僕が二十代最初に読んだ小説となったわけですが、この先も繰り返し読むのだろうなという感じがします。
個性とは何か?〜コンビニ人間〜
先ほどの小説ではいわば「普通」の青年が主人公でしたが、こちらは「異常」なあるいは、「稀少」な女性が主人公です。
主人公はサイコパスっぽい感じで「普通」をつかむことができません。サイコと言っても、悪意に満ちているわけではなく(サイコパスはそういうものらしいです)、共感性が低く、それは人としてやっちゃいけない気がするという感覚がないという感じです。
最初の方でざっと明かされる主人公の生い立ちを追ってみましょう。
幼稚園の時には見つけた小鳥の死骸をお母さんに持っていき、「これ、食べよう」と提案。
小学生の時、取っ組み合いをする男子二人を沈めるためにスコップを取り出して頭を殴る。
同じく小学生の時、ヒステリーを起こした女の先生を黙らせるためにスカートとパンツを勢いよく下ろした。
といった具合です。こういうことを起こすたびに両親が謝罪に回るのですが、主人公には何がいけなかったのか全く理解できません。
とはいえ、両親を悲しませるのが本意ではない主人公は以降、みんなの真似をするか、誰かの指示に従うか以外のことをやめます。
そんな主人公の働けるところは、マニュアル通りに動けばよく、すべてがパッケージ化されて整っているコンビニしかありませんでした。「私は人間んである以上にコンビニ店員なのだ」という胸中のセリフからもそれが伺えます。
僕はこの本を『吾輩は猫である』みたいだなあと思いました。猫から見ると大して違いのない人間たちの、いらない「常識」に囚われているさまを皮肉っぽく描くのがあの作品ですが、まったく同じ構造です。
サイコパスの目で見る世界は、おかしなところだらけで、そこに馴染むために主人公の鋭い観察眼が光ります。真似して生きるしかないので観察が細かいのです。
「普通」を理解できない主人公は実際、妹の赤ちゃんと知り合いの赤ちゃんの違いはその辺の野良猫と大差ないと思っていますし、すったもんだあって同棲させた男性についても「動物」と表現し、毎日「餌」をやっているという感覚で「飼って」います。
個性といえばこの主人公ほど個性的な人間はいません。マニュアルに沿ってしか行動できない人間を没個性と見る向きもありますが、この本を読めば違うとはっきりわかるはず。
社会には「普通」の人が許容できないレベルで外れた感覚を持っている人たちが一定数いて、彼らには彼らの場所が必要なんでしょう。
主人公のように野心も、強い欲望もない(食欲も性欲も薄い)賢いサイコパスにとっては徹底的にマニュアル化されたコンビニがすごく居心地が良いように。
野心あるサイコパスはホリエモンとかメンタリストDaiGoとかですかね?
失礼、脱線しました。
社会には、普通がわからない、わかってもついていけないという人にも居心地の良い居場所を残すゆとりが必要なのかもしれません。
好きな箇所を引用します。
たとえ本当にそうだとしても、皆が言うようなわかりやすい形の苦悩とは限らないのに、誰もそこまで考えようとしない。そのほうが自分たちにとってわかりやすいからそういうことにしたい、と言われている気がした。
思い当たる節は、ありませんか?
終わりに 〜みなさん7月はどうでしたか?〜
ここまで、二本のテレビ番組と二冊の小説を紹介して参りました。
いかがだったでしょう?
実は今まで、テレビ番組を見ている時間ってけっこう時間を無駄にしている感があって落ち着いて見ていられませんでした。
でも、それって逆にもったいないんですよね。楽しみを得られていない。
むしろ見方を工夫して全力で楽しんで見ればいいことに気づきました。
0〜5点の6段階で評価して、なんでその点数なのかをあえて説明するようにして(弟にしゃべって)、こうやってあとでアウトプットすると思えば全然いいじゃんと思って集中して見られるようになったんですね。
ついやっちゃう行動に罪悪感があるならこんな風に転化するのもアリかもしれませんよ。指示されずともやれてしまえること、好きなことは才能の種なんですから。
そんな感じで、7月の投稿はこれでおしまい!
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
来月またお会いしましょう!ではでは〜
この記事が参加している募集
サポートいただいたお金は、僕自身を作家に育てるため(書籍の購入・新しいことを体験する事など)に使わせていただきます。より良い作品を生み出すことでお返しして参ります。