本屋ってしばらくいるとトイレに行きたくなるよね

 タイトルの現象は青木まりこ現象というらしいですね、それはともあれ新井十です。
 青木まりこが何者かと言えば、雑誌『本の雑誌』へ件の現象について投稿した人物の名だそうで。後世までこういった形で名が残るのが名誉なのか否かは私にはよくわかりませんが、本題はそこではないのです。

 最後に書店へ行ったのが一体いつのことか、あなたは覚えておいでだろうか。
 人によっては、「年単位で行っていない、何故ならネットで買えばいいから」とか言ってしまうだろうし、もっと拗らせると「わざわざ店頭に行く意味を見出せない」なんてことを言いやがるのだろう。いや、私は書店員ではないし、また何も全国書店協会(あるかどうか知らないけれど、もしあったら申し訳ありません)の手先ではないから、それを責めるつもりは毛頭ない。それどころか、私自身そんなに書店に行く方ではない。行っても2週間に1回、行かないときは数か月行かないなんてのはザラである。
 だからこの記事では偉そうなことは言えないし言うつもりもない。ただ、「少し余裕があったら、書店に行ってみませんか?」という提案をしたいだけだ。月並みな言説にはなってしまうものの、書店に行くと毎回新たな発見があるし、これからの書店というものを考えるきっかけにもなるのだから。
 例えば、投稿時点での今2019年8月5日は(私は暫くその恩恵にあずかっていないけれど)夏休み真っ只中だから、各出版社が中高生向けに文庫本のフェアを行っている。フェア対象作品を購入すると栞やらクリアファイルやらがもらえるといったものなのだけど、そういったおまけはどうでも良いとして(フェアのおまけ担当の方申し訳ありません)、重要なのは書店内で嫌でも目に入るフェア特設コーナーへの力の入れ具合だ。いつもは本棚の中で数多ある本たちの間に埋もれている作品が、この時期は名実ともに選ばれしものとして堂々たる姿で鎮座しているのだ。具体的な作品名については、是非とも実際に書店に行って確認してもらうことにして、文豪の名著から近年映像化された話題の作品まで、各出版社のオススメともいえる作品が選出されている。
 夏限定のこうした特設コーナー以外にも、書店に行けば必ずと言って良いほど何かしら面白げな特設を行っている。まるで薬局で処方される薬のような袋に収められて作品が並んでいたり、文学賞の受賞やノミネート作品のコーナーであったり。こうしたコーナーは近年増えてきているし、これからも頻繁に行われていくと思う。
 これらの特設コーナーは実に様々な楽しみ方ができる。ただぼんやりと凝った表紙を眺めてもよし、予算を決めて作品を見比べながらどれを購入するか唸ってもよし。後者は特に、お金に限りあれど時間に限りのなかった中高生の頃を思い出せるのが良い。ちなみに、私のオススメはそれらを眺めながら「ふーん、今はこういうのが流行りなのね」なんて通ぶって見せることだ。真の通に鼻で笑われること請け合いである。
 あとはそう、特設コーナーに限らず「テーマ」を決めて書店内をうろつくと面白い。先日の私は「年代と性別による作品の特徴」なんてテーマで本の海を巡ってみた。現代人らしくスマホ片手に「えーと、90年代を代表する作家と言えば……」なんて呟きながら、書店を歩き回ること2時間。そんな過程で出会った作品のうち、気に入ったものを購入するのが、私は兎角楽しいのだ。そうしてわが家の本棚に収まった作品は何処か愛着のわく、そして書店の特設コーナーにいるかのような堂々たる様を見せてくれる。そしてなにより、忙しさの中でも読んでやるかというモチベーションが沸くのだ、少なくとも私は。それは恐らくせっかく費やした2時間と数千円を無駄にはしないというドケチ根性によるものなのだろうけれど。


 なんて書いていたら、思ったより長くなってしまいました。ダラダラと書いたものの、結局は「書店って楽しいよね」という一言に尽きるお話でした。
それでは、また。お相手は創作集団 嘴の会長、新井十でした。
かなうならば、書店でお会いしましょう。

(新井十)


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