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そもそもなぜSaaS(Software as a Service)というモデルが必要なのか説明できますか

「as a Serviceなら儲かるのか?」という広告に対する違和感

最近、スマートフォンでニュースアプリを見ていたとき
「あ!as a Serviceなら儲かるのか?」
というような趣旨の広告が何度も表示された。そして、それに対して何度も私は違和感を覚えていた。

いや、たしかにSaaS(Software as a Service)などといった、「サービスとしての」という意味の「as a Service」という言葉は、クラウドが世の中に広まった2010年代以降、耳にすることはよくある。

しかし、なんでもサービスとすれば儲かるかというとそういうわけでもない。それにもともとサービスとして提供されていることもたくさんある。

そもそもなぜ(Software as a Service)というモデルが誕生したのか。それを問われて答えられるだろうか。もともとはサービスでなかったものに対して、なぜサービスとして提供するのか。

そのことについて、とても良くまとまった文があったので紹介したい。

セールスフォース創業者が語るSaaS

2003年、まだセールスフォースが設立間もないころ、そしてクラウドという言葉も一般的でなかった時代に、セールスフォース・ドットコムの創業者であるベニオフ氏が語っていたという以下の文だ。

業務用ソフトウェアというのは膨大な初期投資が必要で、導入に手間も時間もかかるものというのが当時の常識だった。彼らはその世界を変えようとしていた。これからは、消費者がアマゾンで本を買うのと同様に、企業もインターネットに接続するだけでソフトウェアを利用できるようになる。導入したソフトウェアに自分で複雑な設定をする必要もない。セールスフォース・ドットコムが目指しているのは、ソフトウェアを便利な「サービス」として手軽に利用できるような世界。
ベニオフが「SaaS(Software as a Service)の時代がやってくる」と記者に対して熱く語るのを見ていた私は、「もしそんなことができたらすごいことだ。世の中が変わるかもしれない」という予感めいたものを感じていた。

引用元:福田康隆「THE MODEL」2019

すごいなと感じたのは、これは2003年ごろの話ということだ。セールスフォース・ドットコムが設立されたのは1999年。まだクラウドのクの字も一般的でなかったときにこのようなことを語っていたというのだから本当に驚きだ。

私個人、この時はまだ小学生~中学生ぐらいのときで、yahoo!のトップページを表示するだけで何秒もかかっていた時代に、すでにこのことを語っていたベニオフ氏はまさに先見の明があったのだと感じた。

また、この文を見たときに、なぜ私が「あ!as a Serviceなら儲かるのか?」という趣旨の記事を見て違和感を覚えたかがわかった。「手段から入っている言葉」だからだ。

対するベニオフ氏の言葉はまさに顧客起点。顧客に対して何ができるか、顧客にとって何が嬉しいのか、から始まっている。この言葉を見てすっきりした。

そしてベニオフ氏の言葉から、サービスとしての、as a Serviceという考え方の理解も容易になる。たとえばそれは、初期投資が大きく必要なもの、複雑な設定や運用の手間が省けるもの。as a Serviceという考え方を学んだ人からすると当然のように聞こえるかもしれないが、これから理解する人にとっては、as a service、サービスとしての、ということの意味がとても分かりやすい事例であると思う。

今ここで皆さんが読んでいるnoteもSaaS

私個人もカーシェアリングサービスを使うことがよくある。車をものとして買うのではなく、as a Service、サービスとして使うことができる。車を買うのにも、保有し続けるために車検などのメンテナンスや駐車場や保険などお金を多く払わなくても本当に必要な時だけに、アプリで予約するだけでそのまま乗車できるので個人的には便利だと感じる。審査が通ればだれでもすぐに始められるし、何より初期投資が抑えられる。

実際、この「note」というサービスもSaaSモデルである。もしこのような記事を書いたり公開したりといったシステムを一人一人が組むとなると、膨大な時間や手間、コストがかかってしまう。もちろん、Wordpress等、自分で組んで記事を公開することも問題は全くないが、noteというのは根幹にそのような考え方があって、そのうえにnoteが実現したい、より具体的な思想があるのだろうと理解している。

いずれにしてもこの記事でSaaSというモデルがなぜ顧客にとって必要なのか理解するきっかけとなれば幸いである。

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