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『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』

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BOY meets MUSIC ストーリーズ
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#80s

学校の机に好きなバンドのロゴを書いてしまったり。

学校の机に好きなバンドのロゴを書いてしまったり。

『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 中学生編 -2

人生初のライブ、それは最高の体験でしかなかった。と言うより他に表現のしようがなかった。

(ほ、本物だ…!)

(音、デカっ…!)

一人で来ていることなんて全くどうってことなかった。最初の一音が鳴った瞬間、全神経はステージに釘付けになり、遠く海を越えて演奏しに来てくれた彼らの一挙手一投足に、終始心を震わせた。

あえて言うならば

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If You Leave (君がもし去っていくのなら)。

If You Leave (君がもし去っていくのなら)。


『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -5

通学路のイチョウの木にはあざやかな緑が色づき、
夏への扉は、その入り口をもう開きはじめていた。

僕は来る日もひとり学校から帰ると、まっすぐ部屋にあがり、前にもまして狂ったように音楽番組を観あさっては、数少ないレコードを繰り返し回し続けていた。

小学生の男子に処理し切れない感情なんて、ぜんぶ音楽に向けるしかなかった。

そんな

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僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。

僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。

『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -4

「ほんと、クラスのみんな夜ヒットとかの話ばっかでやってらんないよなぁ〜」

「一応、確率論的に言えばそう定義せざるを得ませんね。(マタヒコくん、一体どの口が言っているのですか。)」

「やっぱ、吉岡しか話わかるヤツいないからな。なぁ、今日こんな天気だしさ、また兄ちゃんのMTV録ったビデオ観ようぜ。」

(これも後に判った事だが、彼

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珪藻土マットの様な吸い込み力で。

珪藻土マットの様な吸い込み力で。

『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -3

マタヒコ11歳、吉岡家での電撃的洗礼を受け、明らかな「音の目覚め」を迎えた僕は、それからというもの取り憑かれた様に洋楽を聴きあさった。

チェック柄シールの貼られたカセットテープがラジカセで走る事はめっきり減り、代わりに丸い塩化ヴァイナルが毎日、止まることなく回り続けた。
漆黒の円盤は表になり裏になり、毎晩、僕の部屋は宇宙になった

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