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クボタマサヒコ
2020年7月15日 19:51
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 中学生編 -2人生初のライブ、それは最高の体験でしかなかった。と言うより他に表現のしようがなかった。(ほ、本物だ…!)(音、デカっ…!)一人で来ていることなんて全くどうってことなかった。最初の一音が鳴った瞬間、全神経はステージに釘付けになり、遠く海を越えて演奏しに来てくれた彼らの一挙手一投足に、終始心を震わせた。あえて言うならば
2020年7月1日 22:33
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -5通学路のイチョウの木にはあざやかな緑が色づき、夏への扉は、その入り口をもう開きはじめていた。僕は来る日もひとり学校から帰ると、まっすぐ部屋にあがり、前にもまして狂ったように音楽番組を観あさっては、数少ないレコードを繰り返し回し続けていた。小学生の男子に処理し切れない感情なんて、ぜんぶ音楽に向けるしかなかった。そんな
2020年6月28日 23:15
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -4「ほんと、クラスのみんな夜ヒットとかの話ばっかでやってらんないよなぁ〜」「一応、確率論的に言えばそう定義せざるを得ませんね。(マタヒコくん、一体どの口が言っているのですか。)」「やっぱ、吉岡しか話わかるヤツいないからな。なぁ、今日こんな天気だしさ、また兄ちゃんのMTV録ったビデオ観ようぜ。」(これも後に判った事だが、彼
2020年6月22日 23:02
『僕はきっとこの温度を忘れることはないだろう。』 小学生編 -3マタヒコ11歳、吉岡家での電撃的洗礼を受け、明らかな「音の目覚め」を迎えた僕は、それからというもの取り憑かれた様に洋楽を聴きあさった。チェック柄シールの貼られたカセットテープがラジカセで走る事はめっきり減り、代わりに丸い塩化ヴァイナルが毎日、止まることなく回り続けた。漆黒の円盤は表になり裏になり、毎晩、僕の部屋は宇宙になった