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燻製屋で毎日魚をさばいて気づいた 「つくる」ということ


大学休学して屋久島で燻製屋

みなさま、こんちには。
私は今、神戸大学を一年休学して屋久島に移住しています。


8月末から屋久島エコビレッジアペルイでスタッフとして滞在していて、畑仕事や子供達への五感教育や大工仕事などをしていました。当初は半年間いる気満々。

しかし色々あって1ヶ月限定滞在になり、屋久島で仕事も滞在先も、行く宛を失いまいした(笑)


そして、現在はご家族の元に居候させていただきながら、週5日「けい水産」という屋久島地魚の燻製屋で働いています。


くんせい屋「けい水産」

けい水産では屋久島地魚(メインはトビウオ)を、屋久島産のサクラの木を使い、低温でじっくりと燻すことで、生ハムのような食感の燻製を作っています。

私が観光で初めて屋久島来た時にも、一度食べたことがあって、ずっとファンだったお店だったんです!そして働き始めて感じたのは、社長の燻製へのこだわりと思いの強さ。
それは、できるだけ魚の生命を余すところなく最大限美味しい状態で頂こうとする、かつ環境に適した方法でつくることを目指す志
トビウオ漁の際、網の中にかかってしまい普段は除け者にされてしまう魚も燻製にしたり、捌き終わった骨はせんべいや出汁をとってお茶漬けにしたり、内臓類はスタッフさんのまかないにしてくれたり(笑)
燻製作りに化学調味料は一切使わず高くても社長が本当にいいと思ったものを、そして屋久島の桜の木を使って燻しています。

ぜひこの記事を読んでいただきたいです。

本当に、ここで働けてありがたいなあと感じています。


最初の壁

でも驚いたことに、当時の日記は弱音ばっかり(笑)。

最初は、先輩方の技術力や段取りの良さに圧倒されるし、自分のできないことばっかりに目がいくし、はたまた「自分は屋久島に来て魚が捌きたかったのか?」なんて自問自答すると見せかけ逃げようとしていたり。

ほんとダメダメでした。


でも、ある時気づいたんです。

「あれ?トビウオってみんな顔も身体も全然違う…。
今ままで私は、捌き方や燻し時間ばっかり意識して気づかなかった。
あ、そうか。どれだけ捌き方や燻し方を学んでも、魚はみんな違うんだから、一つの正解なんてないんだ...そりゃうまくいかないや!」

その時、私は技術不足に目が眩んで、本当に目の前のお魚のことを考えられていなかったことに気づきました。

それからトビウオに触れれば触れるほど鮮明にみんなの顔も身体の違いもわかってきて、どんどん愛おしくなってきて、、、
彼らに思いを馳せながら捌いたり燻したりしていくと、すごく楽しくなってきました。
技術的には、まだまだ下手くそだしスピードも遅いけど、それでもちょっとずつ掴めてきた気がします。

働き始めてはや1ヶ月

捌きや燻しの製造指導からしていただき、やっと接客まで一通りの仕事を覚えることができました。

(1日店長と言われ、はりきる図)


そしてある時また、ふと感じました。

本当にそうよ、、。

作り方の組み合わせも無限の広がりがあるし
トビウオ達の育ってきた自然環境も、今日の天候も、、作り手や食べ手の価値観や状況も、曖昧でブレるのが当たり前で

そんな不確実性の中で、目の前にいるお客様に「美味しい..!」っていってもらえるって、本当に奇跡だと思う。
その奇跡の瞬間に、またその瞬間を作るところから関わらせていただけているって本当に幸せだなって感じました。



「つくる」とは、”活かす場づくり”

それで、思ったのが「つくる」ってめっちゃ楽しい。

でも、そもそも「つくる」ってどういうことなんでしょうか?

「つくる」と聞くと、一見”自分の力によって”って言葉がイメージされて、今まで私は「つくる」は「技術」なのかなと思っていました。


でも実際、魚を捌き、燻し、お客様に売ってみてわかりました。

最も大切なことは、いかにトビウオ本来の旨味を引き出すアシストができるか、いかにお客さんが美味しいと感じる環境を作り出せるか。

つまり、「つくる」ことの本質は”活かす場作り”にあるということ。


この世界には、自然が生み出した奇跡の恵みで溢れています。
そこに人の手が加わり、活かせば文化や芸術となり、殺せば自然災害となる。
そう、全て作り手次第。


私はこの世界の自然(自然法則も動植物も)が大好きだし、その自然と人間が紡いで来た文化も大好きです。
そして、これからも共に生きたいと思っています。

だからこそ、私は自分も彼らも自然体で生きて、そしてその「生きる」過程が他の生命体の幸せに繋がるような、そんな「活きる場づくり」をしたいなあって。


ま、つらつらと、感じたことを書いただけでごめんなさい!

てか、そろそろ漁にもいかないとだわ!
では、また漁いったら報告しますー!!!!

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