【イベントレポート】Chatworkのセールスチームが語る、PLGにおけるセールスが実はとてもおもしろい理由
こんにちは!Chatworkで中途採用を担当している渡辺です!
今回は、2022年9月15日に開催した『「PLGにセールスは必要?」Chatworkのセールスチームが語る、PLGにおけるセールスが実はとてもおもしろい理由』のイベントレポートをお届けします!
近年注目されているSaaSの成長戦略であり、プロダクトを通して顧客獲得をおこなうPLG(Product-Led Growth)戦略。Chatworkは、PLGという言葉が生まれる前からPLG的な成長を遂げてきており、中期経営計画における重要戦略の1つとしても掲げています。
一方、「PLG=プロダクト主導ということは、セールスって必要なの?!」という疑問をお持ちの方も、多いのではないでしょうか。そこで当イベントでは、セールスとカスタマーサクセスを管轄しているセールス&サクセス部のマネージャーとメンバー3名が登壇し、事例や組織について、そして、PLGにおけるセールス・カスタマーサクセスの醍醐味やおもしろさについてお話ししました。
昨今、注目されているPLGについて深く知ることができる内容になっているので、ぜひご覧ください!
登壇者(4名)の紹介
【第一部】PLGにおけるセールスの役割・ミッションとは
「Chatwork」のユーザー属性に対する役割
飯田:「Chatwork」のユーザー属性は、利用範囲が限定的なフリープランユーザーや、1契約あたりの規模が小さい有料プランユーザーが多いというのが特徴です。
「Chatwork」は誰もが簡単に使えるサービス設計で、フリーミアムモデルの導入やオープンプラットフォームなどを導入し、成長しています。
一方で、「取引先に言われてChatworkを登録してみたけど、どう使ったらいいか分からない」「特定の利用目的のみで使っている」「とりあえず使ってみたけれど、戦略的に使っているわけではない」といった、利用範囲が限定的であったり、規模が小さいユーザーが多いという状況となっています。
飯田:そのため、「Chatwork」を使い出したユーザーに対し、プロダクト×コミュニケーションの力で活用方法やその価値を早期に認識いただき、「Chatwork」の組織的な利用を促すことでより多くの価値実感を実現しています。前提としてプロダクトがまだまだ発展途上だと捉えており、それを補完しながら圧倒的なスピードでユーザーへの価値訴求やフィードバックループを実現させること、早期の課金化を実現していくこと、LTVの向上を実現していくことが事業にとっての価値発揮として重要だと考えています。
PLGモデル導入(試行錯誤と戦略検証)
飯田:PLGの導入・検証を繰り返してきている中で、今までどのようなことがあったのか。まず、昨年度の9月(FY21・3Q)までは、SLG(Sales-Led Growth)モデルにおけるコミュニケーション能力の向上を研鑽してきました。具体的には、リード獲得からその後の各CV数、CVRの引き上げに注力しました。そして、有料化後の領域を担うカスタマーサクセス(以下、CS)組織の立ち上げや、カスタマーサクセスプロセス構築を実施。一定の新規ライセンス獲得や追加ライセンスの獲得が見込めるようになり、10月(FY21・4Q)からPLGモデルの立ち上げに着手しました。
立ち上げ・試行錯誤期を経て、ある程度、仮説の精度が高くなってきたのでオペレーション化に着手し、まずはPQL(Product Qualified Lead:フリーミアムを通してプロダクトの価値を体験したユーザー)の再定義と、サインアップ時のユーザー情報の取得を開始しました。
というのも、これまではメールアドレスのみで「Chatwork」を利用開始できる設計だったため、取得しているユーザー情報が少なくその後のコミュニケーションに活かすことができないという状況でした。しっかりとユーザー情報を取得し、コミュニケーションに活かしていこうと考えたのです。
そして、現在は有料化前の領域の仕組みを有料化後の領域へ転換・検証を開始し、フィールドセールス(以下、FS)・CS領域でのユーザーコミュニケーションの研鑽を実施しています。
SLG×PLGの統合モデル「Chatwork流PLG」を構築
飯田:上記画像はアプローチ概観図です。上段はSLGモデル、下段はPLGモデルとなっており、Chatworkでは両者を掛け合わせた「統合モデル」を構築しています。サインアップ数を最大化させた中で、ユーザーオンボーディングやアクティブ化をテックタッチでのコミュニケーション手法も用いてPQLやCSQL(Customer Success Qualify Lead:カスタマーサクセス活動によって生み出されたリード)を生み出し、インサイドセールス(以下、IS)が有料化に向けた商談の設定やライセンス追加に向けた商談を設定。その商談をFSやCSが進展させていき、有料化に向けた提案や利用人数拡大の提案をしていくという形で進めています。
飯田:現在は、3軸でPQLの条件を作っており、その具体例というのが表にあるPQLやCSQLです。それぞれ100種類以上あるのですが、IS/FS/CS/が一気通貫で、高速に検証を進めています。
飯田:KPIとしては、商談実施数や有効商談化数を置いており、SLGモデルへのリソース配分をコントロールしながらPLGを伸ばしていけている実感があります。
一方で、ライセンス数は少しずつ積み上がってきているものの、まだヒットはしていないという状況。今後の最重要課題として捉えています。
戦略推進のための組織・体制
飯田:上記画像はビジネスサイドの組織体制図です。マーケティングがサインアップ(フリープラン登録)数を最大化させ、そのユーザーをマーケティングの力とセールスとCSの力で有料利用開始、利活用、拡張まで進めています。
飯田:セールス&サクセス部の体制の特徴として、それぞれの役割・目的をもった12個の小チームを形成しており、相互連携をとりながら主体的にPDCAを高速に回しています。この体制によって、100種以上のリードソースの検証が可能となっています。
【第二部】Chatwork社員によるパネルトーク
テーマ1:それぞれの役割において、PLGを促進するために重要なこととは?
野田(IS):現在フリープランでご活用いただいているユーザーに、どうすれば有料プランにアップグレードしていただけるのかを考えるにあたり、まずは、どのように「Chatwork」を活用しているのかをヒアリングしました。
ヒアリングすることで、元々どういった期待で「Chatwork」をご活用いただいたのか、より良い活用方法はあるのかなどの情報を言語化・パターン化できていると感じています。
例えば、「Chatwork」を導入して、業務を効率化したいというユーザーもいるのですが、割合として多いのは、「何か便利かもしれない」「ビジネスチャットならDXという観点で比較的簡単に導入できるのではないか」といったユーザーが多いように感じます。基本的には「Chatwork」への期待というのが言語化されていないケースが多いです。
まずは、「ビジネスチャットで何ができるのか」という悩みをもったユーザーに、事例を紹介させていただくようにしています。
五十嵐(FS):FSは、顧客組織におけるChatworkの利用人数拡大やそのスピード感、利用の幅を広げていくことが大きな役割です。PLGは本来、何もしなくても拡大していくことが理想だと思うのですが、FSが介在することによって、拡大スピードを早めることや拡大の幅を広げることができると思っています。
「Chatwork流PLG」の観点でお答えすると、ターゲットとなるユーザーが中小企業メインなので、ITリテラシーの観点で広がりのスピードが遅く、そうしたところのサポートや、ユーザーの課題を抽出し、ユーザーにあった提案をするということが大事だと思っています。
情報共有が全くできていないユーザーであったり、経営層と現場の意見の食い違いが起きていたりなど、様々な業種、職種のユーザーがいらっしゃるので、課題も様々です。ユーザーの状況であったり、課題や将来どういった姿を目指しているのかというヒアリングから始めて提案する、という流れで動いています。
林(CS):PLGは、プロダクトがプロダクトを売っていくという概念なので、プロダクトを通じて優れたユーザー体験を感じてもらうことが大事です。
僕らが一番強みとしているのが、ユーザーの生の声を数多く聞くことなので、その「生の声」をプロダクトとマーケティングコンテンツという形で別部署に波及、還元していくことによって、優れたユーザー体験が作れると思います。CSはユーザーファネルの一番最後を唯一知っている部隊です。知っているからこそ、周りを巻き込んで、再現度の高い施策や戦略を構築できるのではないかと思っています。
一定、活用イメージがついているユーザーへのアプローチとしては、FSと似ているのですが、「何のために使い始めたのか」を有料化したタイミングで改めて振り返ることを大切にしています。無料で使い始めたタイミングと有料化したタイミングでは、利用目的が変わっているので、思考整理や言語化を一緒に行い、「Chatwork」でどこまでのことができるのかをお伝えした上で、伴走することが重要だと考えています。
テーマ2:仮説・検証を繰り返してきた中で感じた課題とは?
野田:有効なPQL条件を見つけることが課題でした。仮説立てして、アプローチし、結果どうだったのか振り返るのですが、かなり試行錯誤したなと感じています。
五十嵐:フリープランで元々活用されていて、問題なく活用できているユーザーに対しての有料化や、利用範囲の拡大は苦戦しております。「今の活用方法で問題なく使えているから大丈夫だよ」という声も多くある中、そういったユーザーに対しても丁寧にヒアリングし、課題を見つけ、提案するというのが重要だと思います。
丁寧にヒアリングや深掘りをしていくことで、ユーザー自身が認識できていない潜在的な課題を見つけることができます。
林:ユーザー理解とターゲティングに課題を感じています。具体的に言うと、フリープランでご活用いただくユーザーがたくさんいる中で、明確な意思や目的で利用している方を探し出すことが難しくなっていると感じています。そのため、「Chatworkのユーザー像」というのを明確にして、その中でCSがタッチしなければならないユーザーはどんな方なのかを決めています。
また、CSの肌感だと、ビジネスチャットがどんどん普及し当たり前になっている方も多く、ユーザー像がかなり変化してきています。そのため、様々な角度から先入観なく、選定とターゲティングを繰り返していきたいです。
テーマ3:PLGにおけるセールスの面白さ・魅力とは?
野田:一言でまとめると、「チームワークの必要不可欠さ」だと思います。「Chatwork」は様々な活用方法がありますが、必ず共通項があるので、それをいち早く見つけるために、チームでの密な情報共有が重要です。今の組織は一人ひとりが真剣に意見交換ができるところが面白く、魅力的なところだと感じています。
社内でも「Chatwork」を活用してコミュニケーションをとっているので、日々、架電業務をしながら気づいたことや疑問などをリアルタイムでチャットで発信し、その発信に対して誰かがリアクションしすると、そこから新しい示唆が生まれ、新しいアクションプランを実行できる、といったことを実践しています。今までの社会人経験の中で今が一番密にいろいろなメンバーとやり取りをする頻度が増えているなと感じます。
五十嵐:私が思う魅力は、先週取り組んでいたことが正解ではなく、日々正解が変わっていく中で、トライ&エラーを繰り返し、PDCAを回していけることだと思っています。取り組む内容によって、拡大の範囲が変わってくるので、毎日いろんなことを試しています。
うまくいった取り組みに関してはIS、CSにも共有し一緒に高め合っていけるように試行錯誤しています。
林:五十嵐の説明と似ているのですが、これだけ大きなことにスピード感を持ってチャレンジできる機会というのはなかなかないので、そこが魅力的です。正解がない中で、自分で正解を見つけにいけることや、0から作りにいけることのやりがいはとても感じています。また、やりたいといったことに関しても、筋道が通っていればやらせてもらえる環境なので、とても魅力的で面白いと思っています。
チームでPDCAを回すにあたっては、コミュニケーションの量や頻度をとにかくたくさん取って、一つでも多くの意見を収集するよう意識しています。1週間前に違うと思ったことが、1週間後には正解になるかもしれないので、どんな意見でも拾い上げられるように小さい意見でもストックすることが大事だと思います。
QAセッション(一部抜粋)
野田:「Chatwork」はコミュニケーションツールなので、コミュニケーションツールならではのPQL条件になるかと思います。活用度が高いだけでは有効ではなく、活用範囲が広がったタイミングでアプローチすることが有効PQL条件でした。
具体的には、社外の方からの紹介で「Chatwork」を活用している、かつ一対一のコミュニケーションをメインにご活用いただいているケースなどです。そのユーザーが社外だけでなく、社内でも「Chatwork」を活用できるのではないかというところに着目し、社内で活用を始めようというタイミングで、他のメンバーを招待していただいて、2〜3名で活用されているのが確認できたタイミングでアプローチすることが有効なPQL条件だと気づきました。
林:「Chatworkだとこんなことできますよ!」と伝えないことです。例えば、「Chatwork」を使い始めたばかりのユーザーであれば「ちゃんとログインできましたか?」であったり、「TOでメンションできましたか?」「メッセージ送れましたか?」のようなステップバイステップで階段を登っていただくことが重要だと思っています。また、説明会のような形で「Chatwork」の活用方法をユーザーの活用度合いに合わせて実施することもやっています。
林:行動データをみてアクションを決めているのはCSだけでなく、カスタマーマーケティング部や事業企画部もデータをみて意思決定をしており、データはかなり取れている状況なので、どんなデータを基幹システムに入れるのか、どのように活用していくのかというのを話しています。
飯田:社内の体制として、プロダクトマネージャーとマーケターなどが集まった「PLG推進部」という部署を設置しており、その部署に情報を集約して全社で意思決定していく形を取っています。PLG推進部の中にデータアナリティクスの役割を担っているメンバーもいるので、ビジネスサイドとプロダクトサイドで密に連携しながら進めている状況です。
五十嵐:一番シンプルでわかりやすいのは、情報共有が全くできていないユーザーかなと思います。ただ、それだけですと「Chatwork」である必要性は無いかと思うので、しっかり課題をヒアリングしてユーザーにあった提案をすることが必要だと思います。
野田:おっしゃる通り、フリーミアムのユーザーですとアプローチのしやすさはあるかと思います。長期的にアクティブにご活用いただいているユーザーというのは、プロダクトが使いやすいからこそ長期間ご活用いただけているので、どこに魅力を感じてご活用いただけているのかを丁寧にヒアリングすることで、有料化に繋がると感じています。
最後に
いかがでしたでしょうか?実は私(渡辺)も、モデレーターとしてイベントに参加していたのですが、イベントを通じて、PLGにおけるセールスの面白さは、「変化が大きく、そのスピードも圧倒的に早い環境で、正解にたどり着くためにトライ&エラーを繰り返し、高速でPDCAを回していけること」だと改めて感じました。だからこそ、ユーザーヒアリングを大切にし、得た情報を最速で社内共有して次の施策に活かしていくことが重要になるのだと思います。
イベントでもお伝えしましたが、PLG戦略をこの規模で成功させた企業は日本にほぼ存在しません。だからこそ、正解を自分達で見つけるために仮説・検証を繰り返し、試行錯誤しています。難しいように感じるかもしれませんが、PLGを実現できるサービスとして、オープンプラットフォームやフリーミアムといった特性を活かして圧倒的に成長させることができる可能性も秘めています。
私たちはそんな大きいチャレンジに対して、一緒に戦っていける仲間を探しています。
「規模の大きい事業に携わりたい」「変化の大きい環境でチャレンジをしたい」「自分の市場価値を高めたい」などどんな理由でも構いません。少しでもチャレンジしたいという気持ちがある方は、ぜひご応募ください。
もっとChatworkのことを知りたいよ!という方は、会社説明資料もぜひご覧ください!
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