アカデミア人材が企業転職したいと思ったときに読むnote(3) 〜面接編〜

喋り慣れしてるアカデミア人材なら、
面接まで進めばむしろ強いと信じたいところです。
そもそも書類通った時点で、あなたのスキルセットに興味があり、そしてなによりアカデミア人材に一定の理解があるはずです。

なお、書類を通した人と面接官が違って、理解がない場合がありますがお断りしていいと思います。
基本的に面接官は直属の上長が出てくると思いますので、その人と一緒にやっていけそうか、というのは大事なファクターです。焦って早く決めたい気持ちもわかりますが、やはり長く勤められる場所を選択するべきかと思います。

中途の場合、二次面接か三次面接が最終なことが多いと思います。
僕が面接まで進んだ企業は4社ですが、
4社中3社が二次最終、1社は三次最終でした。
内訳は内定2社、最終落ち1社、途中辞退1社なのであまりN数は多くないですが、どこも同じようなことを聞かれています。
経緯はこちら↓

大前提として、しっかり職務経歴書の内容を自分の言葉にしておきましょう。例えば、各プロジェクトで行ったことや、スキルセットを得るに至った経緯などです。
職務経歴書の書き方についてはこちら↓

面接で必要なことは、職務経歴書に記載したスキルセットや経験を再現してもらいたいという面接官に対して、
正(ポジティブ)の再現性をより期待させること
負(ネガティブ)の再現性を想起させないこと
の二つです。

正の再現性をより期待させること

職務経歴書の内容について「詳しく説明してください」というオーダーに対して理路整然と必要な情報を付加して答えられるかどうか、につきます。職務経歴書盛り盛りで行きますと、聞かれたときに言いよどみます。
とにかく事前準備で職務経歴書の内容を頭に叩き込んでいきましょう。

特に大事なのが経験に基づく応答です。
これできますか?という質問に対して、ただ可能だということを言うのではなく、
●●という経験があるのでできる
というような感じの返事がよいでしょう。

さらには職務経歴書のスキルセットを持った人材を採用側企業は期待していますので、できるだけ職務経歴書の内容を補強するような面接を心がけるといいと思います。
逆に職務経歴書に書いてあるのにふわふわした応答ですと、真偽性が疑われてしまいます。

負の再現性を想起させないということ

過去の経験から採用しても再現して欲しくないこともあります。職務経歴書からは読み取れないことや深堀りされると出てくることがあると思います。
具体的な内容は次節に回しますが、例としては短期での転職の繰り返しなどがあげられます。
毎回1年で転職する人は、今回採用しても1年でやめてしまうかもしれない、
と思われるということです。
しかし、理由があり、その理由が採用先で再現しえないことであれば問題ないと思われます。例えば任期につき短期で転職することになった、というような理由があれば、これは企業には任期制度はないため問題になりえないと考えます。

具体的に面接で聞かれること

ここでは僕が面接の際に聞かれた質問の中から、
用意しておかないと特に返答に窮するものを抜粋します。
再現性の考え方で、これの回答を具体的に考えてみましょう。

〇大学で行っていた研究内容は弊社では使わないが、どう思うか。
〇脱アカの理由

です。

大学で行っていた研究内容は弊社では使わないが、どう思うか。

これは毎回聞かれました。
アカデミア人材は特徴的な技術(ごく狭い専門性ともいえる)を自分の研究活動の軸として集中してきた人も多いのではないのでしょうか。
「あなたの専門性を弊社で再現することはできないのでは?」
もう少し踏み込んでいえば、「弊社でその専門性を発揮できる場所はないかもしれない」ことを危惧しています。
せっかく高度人材が来たとしても持ち腐れてしまう可能性について心配していますので、どんな分野でもうまくやれることを伝えましょう。

ここで誤解がないように通訳が必要なのですが、アカデミア人材の専門性と企業での専門性はスコープする範囲が違うと思っています。
例でいえば、僕の場合はレーザーの特殊な空間モードを使った加工の研究をしていたのです。アカデミアでの私の専門は「特殊な空間モードによる加工に対する専門」でしたが、企業で重視すべき私の専門は「レーザーをはじめとした光学全般に対する専門」です。
アカデミア人材は職務経歴書、研究概要、面接からして自分の狭い専門(唯一無二であること)をアピールすることになってしまいます。企業は専門を軽視しているわけではなく、単純にみたい範囲が違うのです。

これに対しては、要素技術まで分解してこれが御社で貢献できる、と言い切ればいいと思います。
〇専門はその特殊モードだけでなく、レーザーや光学系設計、広い光学知識を包含していること
〇極端な専門に(必要とあれば使うが)こだわっていないこと
というようなことをアピールしました。

アカデミアに対する偏見と言ったら言い過ぎかもしれませんが、在野の人はアカデミア人材が専門と研究にこだわっていると思われてることがあります。脱アカを決めた時点で、おそらく別の分野に行くことも覚悟の上だと思いますが、面接の上では専門性を捨てるのではなく、広げて理解してもらう方向にかじを切りましょう
技術職から離れて別業種へ行きたい場合にも専門は広げて解釈したほうが良いと思います。

ちなみに僕の場合は、要素技術にしても企業の募集と被らないようでしたらむしろ応募は見送っていました。キャリアの軸として光学は維持し続けたいと思ったからです。
この会社に採用された後の履歴書を見たときに、一貫性が維持できるているかどうかも企業選定の一要素でした。

脱アカの理由

企業間の転職でも転職の理由は聞くと思いますが、アカデミア人材が転職する際には「なぜアカデミアという業界を離れて民間企業へ」という質問に代わります。志望業種によっては「なぜ研究を辞めてこの業界へ」という質問に変わるでしょう。
答え方を誤ると危険な質問です。
人それぞれ原因があると思いますが、
「PIとのトラブル」などの人間関係によるものはダメです。
これは企業においても起こり得ますので、負の再現性を想起させてしまいます。人間関係こじれると辞めるタイプと思われると損です。
「研究内容に飽きた」なんて返事をする人は少ないかもしれませんが、興味が離れると退職する人なんだと思われます。

一方で任期制度による雇用不安定、資金の確保に追われていて研究維持の不安がある、事務仕事が多すぎるがそれが評価に結びつかない、研究活動の時間がほとんど取れない、などアカデミアの現在の制度上の問題であれば面接のときに言っても問題ありません。

民間側は想像以上にアカデミアの現在抱える問題点についても、理解があります。制度に合わなくて活躍できない私を出せればいいと思います。あまり自分をよく見せようとキラキラした内容ばかりよりかは、正直にネガティブな感じを出してネガ3ポジ7ぐらいの感じでいいと思います。

一次面接と二次(最終)面接の違い

最後に面接が進むにつれて登場人物が変わる話をしておきたいと思います。
一次面接では現場の人が、面接が進むに連れて経営にかかわる偉い人が担当です。場合と企業規模によっては社長クラスがでてくることもあるでしょう。

現職の面接官は
一次面接:上長、現場リーダー、人事
最終面接:上記の方々に加えて部署の一番偉い方
みたいなかんじでした。
外資のときには一次面接が日本支社の上長、最終面接はレポートラインの本社上長でした。

面接が進むにつれて偉い人がでてきますので、過去の成功体験だけでなく、今後のキャリアへの質問が多くなります。

アカデミアから民間に行くということで、人それぞれ思うところはあると思います。ただネガティブな感情は一旦捨て置き、企業に行くことでどのようなキャリアを積みたいか、ということをイメージしていきましょう

せっかくならマネジメントやりたいとか、会社の中でもどんどん偉くなりたいんだと主張してもらいたいです。アカデミア人材は企業に行っても強い!活躍できる!ということを分からせてあげてほしいと思います。

ご武運を!!

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