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何故か1泊することになった釜山 その3

 何故か想定外に1泊することになった昨年の釜山の旅。まちの歴史を見ておこうと、色々と廻ってみることにして、やって来たのが釜山鎮の街。
釜山鎮までの様子はコチラに。
https://note.mu/ktnh/n/n402bfbf9a2b7
https://note.mu/ktnh/n/n8865b22ca28a

さてこの釜山鎮の街は、紡績工場の立地だけでなく、鉄道のターミナルでもありました。

(聯合ニュース記事より画像引用)

 朝鮮を南北に貫き大陸へと続く朝鮮鉄道の釜山鎮駅に隣接して、私鉄のターミナルがありました。東莱温泉へ向かう旧釜山軌道の鉄道線と、後に敷設された釜山市内電車の接続駅であり、鉄軌道3路線が揃う「ターミナル駅」でした。
 朝鮮鉄道はKORAIL京釜線となり釜山鎮駅は移転、温泉軌道は市内電車へ統合された後に市内電車もろとも廃止され、往時を窺い知るものは何もありません。しかしここは、確かにターミナル前の市街地だったはず。そう思って歩くと、景色もまた、違って見えます。

 さてここからは、東莱温泉への釜山軌道をトレースするように開通した、地下鉄1号線で郊外へ。1980年代開業の駅ですが、全面スクリーンドアが付き、近代的になりました。

 地下鉄は少々走ると、地上へ出て高架を走ります。

 車窓から見えるのは、東莱の街、そして東莱温泉。東莱は、釜山が大都市になる前からの、小さな城郭都市。朝鮮王朝時代には東莱府が置かれ、日本が朝鮮への関与を高めるまでの、この辺りの拠点地域でした。とはいえ今ではすっかり「近代釜山」に呑み込まれ、特段の拠点性を感じないエリアになってしまいました。とはいえ道路の区画などに邑城(城郭)の面影が残るようですが、地下鉄の車窓からは、見えず…。

 私はここからちょっと寄り道ということで老圃のターミナルを経て蔚山に向かい、釜山にまた戻るという行程を…。途中は端折って、断片だけ少し。

迫り来る老圃!

老圃駅では名物なのか、オデン屋に人だかりが出来ていました。

ワタシもつられて、つい一口。醤油ダレが美味しい…

 ということで、老圃は釜山市が計画的に設置した「ターミナル」で、釜山市を代表するバスターミナルを地下鉄とセットで未開発の郊外に一体整備し、地下鉄を「バスターミナルから都心までのエレベータ代わり」に使ってもらうという考え方で作られています。なので、乗り継ぎ待ちの間にちょっと一口…、という人が多いのでしょうね。

 ということで私もここでバスに乗り換えて蔚山へ向かいましたが、この道中は今回の趣旨に外れるので省略。ご興味があるようでしたら、コチラを…
【釜山の都市近郊私鉄を妄想する】
 https://togetter.com/li/1151721

 さて蔚山への寄り道を済ませて戻ってきたのは、釜田駅。ここには、大きな市場があります。

 釜山鎮市場と並んで釜山を代表する、もうひとつの市場である釜田市場。かなり大きな市場なのですがここの歴史は意外と浅く、朝鮮戦争後から。
 朝鮮戦争により南へ、南へと逃げた人の多くが目指したのが釜山の港町。しかし元々の釜山の街は、日本への航路が多く発着するとはいえそんなに大きな街ではなく、また山あいで居住可能な平地も少ない街。大量の避難民を受け入れる余地はありません。続々とやって来て、休戦による国土分断で郷里へ帰れなくなった人たちが、どうにかして「生きていこう、暮らしてゆこう」として生み出した勝手市場が、この釜田市場の起こり。逞しく生きる、市民の、証です。今もしっかりと、市場をやっています。

 ここから私は、地下鉄に乗り継いで次の街へと。

 徳川駅。釜山の西部近郊にある街です。亀浦と呼ばれる街の一角で、ここは洛東江の舟運や渡船の船着き場が市街化したのが起こりで、いわゆる港湾都市としての釜山や、その元になった東莱府の存在などとはまた別の、自然発生的な市街地です。渡船場があれば人だけでなくモノも集まり、ここには古くから市場が出来ていたそうで、その市場が少し内陸に移転したのが、ここ徳川。ちょっと覗いてみたくて、やって来ました。

 「情のある亀浦市場」と書かれたアーケードの中に入ると、あら意外と庶民じみた店が並びます。ここは大規模な市場ながらも、普段の生活に根付いた、いわゆる商店街という一面もあるようですね。

 市場で一杯引っかけて…というわりには酒瓶多くないですかアジョッシ(苦笑)。

 このとき既に夜の9時前、さすがに大半の店は閉店しています。奥へ行けばいくほど、ディープ感も高まりますが、それは、そう。この市場には、「新鮮な」食肉コーナーが、あるのです。

(これについては、また別の機会に…)

 さて、そんなディープなエリアで「夏の滋養食」をいただき、釜山1泊の前半は終わり。あとはまた、バスに乗って釜山駅前の宿へ戻ります。スイカおいしそうでした。

旅の後半は、また改めて。
つづく。

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