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不正請求はなぜ起こるのか?

介護サービスではときどき「不正請求」なる問題がクローズアップされる。

介護業界における経済は、主に介護保険制度という国が主体となって介護保険といういわば税金で成立している。

これを経済と言って良いのかはさておき、国の運営と介護保険で成立しているものだから、請求に不正があると問題になるのは当然だろう。

では、なぜ不正請求が生じるのか?

それは「不正請求する事業所の問題」が挙げられる。つまり、悪意と意図をもった虚偽の報告によるものだ。

実際には行っていない介護サービスをさも行ったかのようにでっち上げたり、事業所の実状にあっていない運営体制として申請することで売り上げを伸ばそうとするなど様々だ。

これらは当然ながら罰せられるべきことである。民事か刑事事件のどちらに該当するか分からないが、悪意や意図があってやるならば、それは子供だって悪いことだと判別できる。 


 
――― しかし、不正請求は果たして不正を行う事業所だけの問題なのか?

個人的には別な側面にも原因があると思っている。

その1つは「不正請求ができるシステムになっているから」というものだ。つまり、介護保険制度および請求する構造(システム)に問題があるということだ。

コンピュータウイルスは、システムの脆弱性を突いて破壊活動や情報を奪う。だからシステムは定期的にアップデートする必要がある。

しかし、不正請求があるたびに思うのは、不正を行った事業所を罰することと業界各位への周知にとどまり、根本的な脆弱性はそのまま放置していることである。

罰することは必要だが、不正請求への再発防止として制度の脆弱性を分析し、適宜アップデートすべきではないだろうか? 



もう1つは「制度が複雑だから」ということもある。

介護保険制度に限らず、法律というものは複雑である。一朝一夕で理解することはできないうえ、介護事業においては常に国から通知文がどんどん案内される。

それらを把握することは理解しているが、そもそも法律は言い回しがくどい。構文やルールがあるのは分かるが、それを民間の事業者が理解できるかと言えば疑問である。

言い訳したり馬鹿にするつもりはないが、介護事業を営んでいる人たちの多くは現場には強いかもしれないが、「文章を読んで理解する」「自事業所の現状を把握する」「問題点を抽出して改善点を挙げる」といったスキルが身についていない場合が多い。

そのため、いくら国が運営基準や通知文や公示していても、それらが自分たちに該当することなのか分からなかったり、該当していると分かっていてもそれへの対策が適切か判断がつかない ――― その結果として不正請求といった問題になっている可能性もある。

こうなると、制度そのものをシンプルにするか、介護事業者のスキルを上げるかのどちらかになってしまう。


 
 何度もお伝えするが、不正請求は悪いことだし罰則も必要である。

しかし、根本的に「不正請求する側が悪い」というのは思考停止ではないかと思って、普段ぼんやり考えていることも交えて記事にしてみた。

最期にまた個人的な考えを述べると、不正請求の大半は「無知ゆえに」ということだと思う。

そして、そのような結果を生んでいるのは「制度が複雑」ということも原因になっていると思う。

さて、不正請求をゼロにするにはどうすればいいのだろうか?
答えは見えているが、実現は難しそうだ。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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