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人手不足の現代、経営や働き方の考え方はこれまで通りで良い?

■ 人手不足と経営視点


最近、人事体制を見直している。

そこで改めて「人手不足とはどういう状況か?」を考えるようになった。

人手不足とは、職場全体で必要な業務量に対して、そこで働く労働者1人あたりの業務量が過剰な状態として捉えられている。

介護業界に限らず、現代において国内ではどこも人手不足である。

そして「業務負担が大きい」「過重労働である」という不満をあちらこちらで耳にする。一部では「日本は終わった」などと言われている。

――― ここで思考をストップしてはいけない。

まだ考えようがある。

業務負担の大きさや過重労働が問題ならば、その職場における労働者1人あたりの業務量が過剰ではない状況、つまり業務量が適正であると言えるのは、どのような状況かを考えるべきではないか。

さらに、個々の業務量が適正になったと仮定して、職場全体の業務量はどのような状況になるのかも考える。それは業務量の適正化により「事業として成立するのか」という経営視点である。

というのも、私たちはこれまで事業として数値目標を設定し、それを達成すべく業務プロセスを構築してきた。その業務プロセスに対して「このくらいのスタッフ数がいるな」と算段してきた。

しかし、それだと少子高齢化の時代においては、労働者1人あたりの業務量が多くなるのは当然ではないか?

また、数値として目標をゴールとすることは大切であるが、それだと事業目的を果たすために人材を募るのではなく、数値という1つの目安をクリアするために人材を募っている状態となる。何だか本末転倒だ。

何が言いたいのかというと、現代の労働者人口をベースにして考えるならば、数値目標を起点に業務量や人員を考えてもうまく適合しないのかもしれない、という話である。


■ 働き方が同じだから人手不足なのかも


一方、業務負担や過重業務に対して不満を言っている人たちの働き方にも、根本的な問題はあるように伺える。

例えば、「誰よりもたくさん働けば報われる」「単純労働をたくさんこなすほど給料が上がる」といった思い違いである。

私が運営している介護施設においても、誰よりも動いていながらも、一方で「いつも忙しい」「人手が足りない」と不満を口にする。

しかし、傍から見ていると「別にそこまでやらなくてもいいのに」と思うことばかりバタバタと取り組んでいる。工夫もしているようだが、あくまで個人の考えでやっているので、最終的に職場全体が非効率になる原因になってしまうこともある。

頑張っているスタッフに対して「そこまでやらなくていいよ」とは言いにくいが、思い切って提言したときには「何が悪いって言うんですか!」と、中高年のスタッフが半泣きになりながら感情的になって食って掛かられたこともあった。

これは仕事への責任感やプライドがあるだろうが、単純に自分自身を否定されたということだと思う。仕事の改善を求めているだけで、その当人を否定しているなんてことはないのに・・・。

このような受け取り方をするスタッフは少なくなく、そのため業務改善を検討しようにも、今まで頑張ってやってきたことを否定されたように受け止めるのか、頑なに現状の業務フローに固執してしまう。

ようやく改善するも、しばらくするとまた元に戻ってしまうこともある。

どんなに良い備品や最新の業務改善ツールを導入しても、「自分たちには自分たちのやり方がある」と言ってこれまでのやり方を続ける。

職場とは経営者や役職者のものではないが、声の大きいスタッフ主導の職場環境になってしまうと、一体誰が統括しているのか分からなくなしまう。

しかし、労働者人口が減っている中において、今までどおりの働き方や業務フローを続けようものなら人手不足になるのは当然だ。

たくさん働いたり、単純労働を多くこなしても、それが成果につながるような時代ではない。そもそも、モノやサービスを購入する人口だって減っているのだ。「たくさん」「多く」に固執した働き方は疲弊するだけだ。

人手不足や業務負担の大きさを嘆いている暇があれば、これまでの働き方や業務フローなんて、とっとと手放してしまったほうが良いと思う。


――― なんだか愚痴っぽい感じになって締まったが、結局のところ労働人口が減っていることは事実なのだから、そこから各業界が人手不足なのもまた自明の理であることは誰もが分かっているはずだ。

それなのに「数値目標を達成するために」とか「働き方はこれまで通り」なんて考え方をしているからどん詰まりになるのではないか。

私も事業者である。このあたりの考え方の変革を、常に自身に課さなければいけないと肝に免じている。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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