マガジンのカバー画像

読書感想文

1
運営しているクリエイター

記事一覧

重松清が描く毒

重松清が描く毒

重松清の描く物語は、毒だ。

 小学五年生のとき、初めて読んだ子供向けでない小説が、重松清の『きみの友だち』だった。もう十年前になる。単行本の表紙は端っこがボロボロになっていた。

 重松清は優しい言葉で、優しくない現実と向き合う人々を描く。その痛みの全てを経験したわけではないけれど、それぞれの主人公の痛みはどこか身に覚えのある痛みで、きっとこの感覚は私だけではないはずだ。

 学校のクラスという

もっとみる