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ヤクルト CREWユニ&TOKYO燕パワーユニ2023 【新ユニウォッチ2023】

プロ野球界では毎年新作ユニフォームが発表されている。
一体、誰がユニフォームを見張るのか?
一体、誰がユニフォームを“ウォッチ”するのか?

ということで、2023年シーズンに向けて新たに発表されたユニフォームを球団ごとに紹介する。

昨年は「ユニフォーム変更・追加一覧」というタイトルの記事をセパに分けて用意し、ユニフォームが発表される度にコメント付きでその記事を更新していくという形を採っていたのだが、出来るだけ短くまとめないといけないわ、記事の分量が増えて編集に時間はかかるわ、ゴチャゴチャして見にくくなるわ、そもそも編集自体の手間が煩わしいわで、結局最後の方にはうやむやな感じになってしまったため、今年は少し方式を変えようと思う。

という話は既にしているので、能書きはここまで。

因みに、個人的に「今年(来年)使用される企画ユニフォーム」を「新ユニフォーム」と称するのはあまり好きではないのだが、そんな細かいことにいちいち拘っていると(この前置きのように)ガチャガチャして伝わるものも伝わらなくなってしまいかねないため、便宜上「新ユニフォーム」という呼称を使用することとする。

今回ウォッチするのは、東京ヤクルトスワローズの「CREWユニ」&「TOKYO燕パワーユニ」

毎年の定番となっている、球団ファンクラブ「Swallows CREW」との連動企画である「CREWユニフォーム」。
そして「TOKYO燕プロジェクト」の一環である「TOKYO燕パワーユニフォーム」。

毎年共通している特徴としては、CREWユニでは従来のヤクルトのユニフォームデザインを脱構築したようなデザインが、燕パワーユニでは「応燕カラー」と称されるグリーンを基調としたデザインが、いずれも一貫した方向性のもとに採用されていることが挙げられる。

今回の2023年バージョンでも、ネイビーと赤を基調としたCREWに、グリーンを基調とした燕パワーと、その特徴は健在だ。

球界の最重要トレンド・「上下同色ユニ」

しかし、2023年バージョン最大のトピックは、何と言っても上下同色のカラーリングが採用されたことだろう。
CREWユニは上下ネイビー、燕パワーは上下グリーンとなった。

シャツのデザインだけで見ると、CREWユニは2016年モデルと、燕パワーユニは2016年モデルや2022年モデルと似たデザインとなっており、さほど目新しさはない。

ただ、その分だけ上下同色のインパクトがかなり目を引く。
おそらく、その辺も計算に入れてのことだろう。

以前にも言及したことがあるが、近年の野球界では上下同色のユニフォームというものがトレンドになりつつある。

MLBでは2021年から始まった「City Connect」シリーズでも多くの球団が上下同色のユニフォームを採用しているし、NPBを見ても2022年には巨人・西武・オリックスが上下同色のイベントユニフォームを採用した。

今回のCREW&燕パワーも、間違いなくその流れに沿った形でデザインされたものだと言える。

燕パワーに限って言えば、先ほど「似たデザイン」の例としてあげた2022年モデルは「グリーン基調のシャツ+ピンストライプのパンツ」という「上下柄入り」のデザインとなっていて、その流れとして今回の「上下同色」へと繋がった、という感じの雰囲気があったりなかったり。

それについてもこちらの記事で触れているので、ぜひ参考に。

パッと見はダサくても…?

先述した「一貫した方向性のもとに採用されている」という特徴は、各年のイベントユニの「縦の関係性」のみならず、通常ユニも含めた「横の関係性」にも当てはまる。

どの企画ユニを見ても、通常ユニで示しているデザインの大枠・テンプレート(赤白紺のトリコロール+グリーンの配色、ピンストライプ、ラインの構成など)から大きくは逸れてないため、トータルデザインの統一感がしっかりと演出されているのだ。

この辺りのディレクションの巧さは、やはり一重に長年ヤクルトユニのデザインを担当している大岩Larry正志氏の功績と言っていいだろう。

今回のような、パッと見て奇抜に感じるユニフォームに対して、一目見るなり脊髄反射的に「ダサい」と否定的な反応を示す人は多い(実際、SNS上や客席でもそのような声が多く見受けられた)。

しかし、今回のCREW&燕パワーに関しては、一見突飛に感じたとしても、冷静によく見ればユニフォームの方法論としておかしいことは何もしていないことがわかる。

「上下同色」は古から存在するものでかつ近年のトレンドであるし、ロゴやラインのデザイン自体は全く気を衒っていない、むしろ既視感すらあるオーソドックスなものだ。

プロ野球の新ユニフォームや新デザインのみならず、あらゆる場面・状況において「新しいもの」に対して否定的意見が巻き起こると、それに対するカウンターとして「そのうち見慣れる」という声がよく挙がることがあるが、まさにこのユニフォームのためにあるようなものだと思う。

「野球ユニフォーム」の大きな枠からはほとんど外れていない上、前述したように「ヤクルトのユニフォーム」としての基本にもきっちり忠実であるため、選手が実際に着てプレーするところを見ていけば違和感は減っていくはずだ。

もちろん、(特に燕パワーに関しては)色の好む/好まざるは人それぞれあるかもしれないが、それはあくまで各人の好みの問題であって、デザインそのもののダサい/ダサくないとはまた別問題なのではないか、というのが個人的な感覚である。

改めて浮かび上がる「着こなし問題」

とはいえ、言いたいことが全くない訳ではない。
何かというと、ユニフォーム発表の着用モデルに起用された高橋奎二、長岡秀樹両選手のユニフォームの着こなしに関してである。

上のシャツは極端にダバダバとした大きめのサイズ感であるのに対し、下のパンツは腰から腿、脹脛あたりまでは異様にピタッとしつつ、裾はクシャクシャと余らせている。正直、お世辞にもカッコいいとは言えない。

ユニフォーム発表の時に否定的なコメントが多かったのも、この着こなしが割と原因として大きいのではないか、とすら思ってしまうほどだ。

例えば村上宗隆選手や青木宣親選手のように、ユニフォームマニア的に見て「分かってる」着こなしをする選手がモデルであれば、もう少し印象も違っていたかもしれない。

ヤクルト屈指の「分かってる」2人。

シーズンを戦う中で各選手がどういう着こなしをするかに関しては、各々のパフォーマンスやモチベーションにも関わる部分だろうから、素人が個人的な好みで文句をつけるのはお門違いもいいとこである、ということは重々承知の上。

しかし、せめて「ユニフォーム発表」の場ではユニフォームが映えるような着こなしを優先してもらいたいものだ。
ベルトの色、ストッキングの色・ラインなど、そういう細かい部分も含めての「ユニフォームデザイン」なのだから、そこを無下にはして欲しくない。

おそらく、両選手がシーズンで着用するユニフォームを作成するための採寸データをそのまま使用して用意したのだと思われるので、選手には罪はないのだろうが…
ユニフォームが主役となる場でこのようなことになるというのは非常にもったいなく感じた辺りである。

以上、「新ユニウォッチ2023」ヤクルト CREW・TOKYO燕パワー2023編でした。ありがとうございました。


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