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西武 2023年新ユニフォーム 〜これくらいが“ちょうどいい”?〜

2022年11月23日、西武が新ユニフォームを発表した。

ここ数ヶ月、アレやコレやと考えを巡らせてきた西武の新ユニフォーム予想だが、ようやくその成果が問われることとなる。

正直に言うと、今回の新ユニフォームは私が事前予想していたモノとかなり近い、というか見ようによってはほぼ「予想のまんま」なデザインであったため、言ってしまえば「前に書いた記事を読んでください」という感じではあるのだが、流石にそんなのはないだろうと自らに鞭打ちながら今キーボードを叩いている。

因みに「前に書いた記事」はこちらから。
今回の記事はここで触れている内容を前提として話を進める部分がかなり多くなるので、ぜひ目を通していただければと思う。

新ユニフォーム概要

まずは、新ユニフォームの概要をおさえておこう。

引用:埼玉西武ライオンズ

主な変更点は以下の通り。

①ラケットライン廃止、パイピング風のラインへ
②袖、帽子&ヘルメットのツバ縁にライオンズブルーのライン
③左袖、帽子&ヘルメット側頭部にレオマーク
④背番号・背ネームの書体を変更(胸番号追加)
⑤デザイン変更はホームユニのみ(④はビジターユニにも適用)

パッと見ではそこまで変わっていないようにも見えるが、細かいところを見ていくと結構変更点が多い。

いつもなら、ここから一つ一つ順に詳しく解説していくところだが、今回は予想記事を書いているので、まずは「答え合わせ」という形で見ていこうと思う。

答え合わせ

とりあえず、ごちゃごちゃと言う前に見てもらうのが手っ取り早い。

こちらが今回発表された新ユニフォーム。

引用:スポーツ報知

そして、こちらが私が事前に予想していたデザイン。

細かい違いはあれど、控えめに言って「予想のまんま」である。
「前に書いた記事を読んでください」で済ませてしまいたくなる気持ちもわかっていただけるだろう。

私がどういう経緯でこの予想に行き着いたかを振り返ると、まず「ユニフォーム変更があるかも」という噂を受け、色々と理屈をこねて「デザインの大幅変更はない、あってもマイナーチェンジ程度」と結論付けた後、それに則り、マイナーチェンジの例として「ラインの仕様変更」「ビジターユニのみ変更」「ライオンズブルーを部分的に採用」という3点に絞ってデザイン案をご紹介した、という形。

そして、その結果がこのイラストである。

簡単に言えば、「デザインの大幅変更はない、あってもマイナーチェンジ程度」という結論、そしてマイナーチェンジの例3点のうち「ラインの仕様変更」「ライオンズブルーを部分的に採用」の2点を的中させた。

●あってもマイナーチェンジ程度

「デザインの大幅変更はない、あってもマイナーチェンジ程度」という予想は、以降の解説の前提となるのでまずここで簡単にでも触れておきたい。

この話も何度目かという感じだが、レジェンドブルーというチームカラーや現行の球団ロゴなどは単に気まぐれで持ち込まれたものではなく、球団の持つ歴史を踏まえて作り込まれ練り上げられたもの。

文字通りの「ブランド」であり、そうそう簡単に変えられるモノではない。

その他「ライオンズブルーの“完全復活”はない」と予測できる根拠に関しては、この辺を参照されたい。

①ラケットライン廃止

「ラインの仕様変更」について。

見た目で言えば、ラケットラインがなくなったことが一番大きく変わった点かもしれない。

「西武のラケットライン」についても今まで何度となく語ってきたが、主な問題点は3つ。

昇華プリントのユニフォームにラケットラインをあしらうことの変さ。
ラケットラインそのものの古臭さ。
そして、歴史的に西武のユニフォームにラケットラインを施す必然性が薄い故、ラケットラインの持つ歪さばかりが目立つこと。

こういう点を踏まえて「ラケットラインはいらないのでは」と言ってきたのだが、見事予想的中となった。

しかしその代わりに採用されたのが、まさかのまさか、ラケットラインよりも古い「パイピング」風のライン

こういうやつ。

ライオンズの正統の歴史を象徴する「Legend Line」というものらしく、例によって「西鉄の黒+西武の青+埼玉西武の紺」を表しているとのこと。

ビジターユニや70周年ユニのような歪なグラデーションが採用されてしまうのではと薄ら危惧していた中で、ライン一本に押し留められたのはまだよかったと言えなくもないが…

しかしながら、古いからという理由でラケットライン廃止を提言していたら、余計に古くなってしまったのは完全にお笑いだ。

②ライオンズブルーのライン

次は「ライオンズブルーを部分的に採用」について。

前モデルが「かなり西鉄っぽいロゴ+かなり西鉄っぽい濃い目の紺」になっていたことを「西鉄成分強過ぎ」問題と称し、かねてからライオンズブルー成分を取り入れてバランスを取るのがいいと提言していた私。

また、レジェンドブルーを変えることはできないとしてもそこにライオンズブルーを足すことは可能だし、そういう難しい話を抜きにしても「紺+水色」というカラーリングは単純にカッコいいのでオススメ、と思っていたら割とその通りになった。

厳密に言えば、袖ライン、帽子の天ボタン&空気穴、パンツ脇ライン、ストッキングと、かなりふんだんにライオンズブルーをあしらっていた予想版と比べるとかなり控えめな感じにはなっているが、見た感じの印象は「予想通り」と言って差し支えないだろう。

これによってどれほどライオンズブルー派を納得させられるかはわからないが、レジェンドブルーがどうのライオンズブルーがどうの、というイデオロギー的な話を抜きにしても「紺+水色」という配色はカッコいい。

コンセプトがどうのこうのと難しいことは考えず、単にカッコいいユニフォームを志向するというのはどうか、それが結果的に「レジェンドブルー+ライオンズブルー」になった位が“ちょうどいい”のではないか、と思っていた私としてはそこそこ好印象である。

袖ラインは「Legend Circle」というコンセプトによるものらしいが、正直あまりよくわからない。
というか、「ライオン」に「サークル」と来たら、ジャングルの大帝よりもサバンナのキングが思い浮かんでしまうが…

因みに、マジェスティックロゴからファナティクスロゴへ変更された件に関しても、一応予想的中という形にはなった。
ただ、両者間でのブランド移行が決定的であった以上、予想的中して当然と言えば当然なので、あえて「因みに」程度の言及に留めておく。

想定外の事案

ここからは、「そこまでは想定していなかった!」的な部分について。

③レオマーク復活

まさかのレオマーク復活。
コンセプトは「Leo with Us」(←これいる?)。

コアなライオンズブルー派ではなくても、喜んだ西武ファンは多いのではないだろうか。

予想をする上では流石に盛り込めなかったが、「ライオンズと言えば」な代表的なデザインであるため、ユニフォームデザインとしては非常に見応えのある要素と言える。

ただ、少しシンプル過ぎる嫌いも。過去に採用されていたレオマークは、ビジターの青地や緑の円など、レオマークがしっかり目立つような工夫がなされていた。
その点、今回は白地にそのまま白のレオマークを付ける形であり、しかも昇華プリントであることから、かなり薄っぺらい印象になってしまっている。非常にもったいない。

また、レオマークは左袖だけでなく、帽子・ヘルメットの側頭部にもシルエット化されたバージョンのものがあしらわれている。
この「シルエット化されたレオマーク」はファンクラブ特典のグッズなどでよく使用されているもので、個人的に少し気になってはいたもののユニフォームとはあまり関係ないと思っており、まさかの形となった。

これについては後述。

④背番号・背ネームの書体を変更

ヒューストン・アストロズ型の背番号・背ネームフォントはデザインとしても美しく、視認性の高さも含め完成度が高かっただけに、変更するのはかなり意外だった。

「Lions number/Lions name」という名称で、ロゴマークとの相性を重視したオリジナルフォント。
ロサンゼルス・エンゼルスやピッツバーグ・パイレーツのような飾り文字風になっている。

西武のオリジナルフォントと言えばあの「NAAAHAAA」がまず思い浮かぶが、それに比べるとかなり視認性を意識したデザインだ。

NPBでは近年、癖の強いオリジナルフォントは粛清される傾向にあるが(現に西武がその代表例であった)、あまりに似たり寄ったりのフォントが増え過ぎているのが少し不満だったため、その流れに逆行する挑戦的な変更で非常に好ましい。

ただし、背ネームに関しては必ずしも好印象とは言えないのが正直なところ。
例えば現在の日本代表ユニなどもそうだが、背ネームまで飾り文字フォントにすると、丸っこいシルエットのために小さい文字になると視認性が極端に悪くなる上に、全体のバランスとして少しくどく感じてしまう

実際、エンゼルスもパイレーツも背ネームはブロック体だ。

あくまで個人的な感覚だが、あまり好みではない。

⑤デザイン変更はホームユニのみ

「ホームもビジターも変更しないこと」及び「マイナーチェンジとしてビジターユニのみ変更すること」に関しては想定していたが、「ホームユニのみ変更すること」は完全に想定外

正直、私としてはビジターユニをこそ変えて欲しかったのだが…
ビジターユニの問題点に関してはこれまでしつこいくらい述べてきたので、ここでは割愛。

ホームユニを変えずにビジターユニを比較的短めのスパンで変える、というのがこれまでの西武の定番だったことを考えても、かなりのイレギュラーなパターン。

完全に想定外だった。

因みに、胸番号の追加、背番号・背ネームの変更はビジターユニにも反映されるとのこと。

その他気になったポイント

ヘルメット
全体的に好感度の高い今回の新ユニフォームだが、ヘルメットにいくつか気に食わないポイントが集まっている。

1つはツバ縁ライン
正直に言って、グラデーションと並んで最も嫌いな要素だ。
他球団だと阪神のビジターや中日が取り入れているが、正直これの良さが全く理解できない
帽子の場合はそこまで気にならないが、ヘルメットでは絶対にやらないで欲しい。

もう一つは左打者用ヘルメットのレオマーク。
帽子や右打者用の場合は左側、左用メットでは右側につくレオマークだが、いづれの場合も左向きのままであるため、左用では“後ろ向き”になってしまいゲンが良くない上に美しくない。
阪神の左袖虎マークのように反転させてもよかったのではないだろうか。
そもそも要らない、という話でもあるが…

右袖のエンブレム&広告
右袖に「WE ARE ONE」のビクトリーエンブレムと「こんにゃくパーク」の広告が付いている問題。絶対どっちかにした方がいい。

プリントであるため物理的な重さは感じないが、やはり問題なのは見た目・景観。
せっかく左袖にレオマークが復活したというのに、先述したレオマークがシンプル過ぎる問題とも相まってごちゃごちゃ感の中に埋もれてしまうような感覚だ。

個人的に、チーム名、番号、選手名以外の文字情報はなるべくユニフォームに載せるべきではない(広告は致し方なし)と思っている。
それに則れば「こんにゃくパーク」を残してビクトリーエンブレムをなくす、というのがベターな選択である。

ストッキングは無地?
予想イラストではライオンズブルーを大胆に取り入れたストッキングを提案したが、この通りとはいかずとも何らかの工夫はあってもよかったのではないかと思った。

胸番号追加
これも一応予想的中という形にはなったのだが、特段「胸番号が追加されるであろう」みたいなことを言っていた訳ではなく、イラストを作成する上で「胸番号があった方が収まりがいい」という理由で盛り込んでいただけ。
これを「予想的中」と称していいのだろうか、という私の正直者な一面が顔を覗かせたが為に、このような形での紹介となった。

最後に

今回はかなりガチガチに事前予想を立てていた分、想定していたポイント、想定外のポイントと、かなりくっきり分かれる形となった。

その「想定していた」ポイントに興奮するあまり、冒頭では「『前に書いた記事を読んでください』という感じ」とか何とかとほざいていた訳だが、書き進めるうちに冷静に見られるようになり、想定外の部分までしっかり網羅できたので一安心。

最後の方にかけて色々とマイナスな部分にも言及したが、全体的に好感度の高いユニフォーム変更だったことに変わりはない。

繰り返しになるが、これによってどれほどライオンズブルー派を納得させられるかはわからない。
しかし、レジェンドブルーが〜ライオンズブルーが〜、というイデオロギー的な話を抜きにしても「紺+水色」という配色はカッコいいのだ。

コンセプトがどうのこうのよりも、まずは単にカッコいいユニフォームを志向し、それが結果的に「レジェンドブルー+ライオンズブルー」になる位が“ちょうどいい”のではないか、と思っていた私としては、今回の新ユニの“コンセプト臭くなさ”は結構好印象である。

実際は色々とコンセプトが設定されているようではあるが、それでいて余計なものをごちゃごちゃと足していく感じにはそこまでなっていないのがいい。

そういう意味では、これくらいが“ちょうどいい”のかもしれない。

ライオンズのユニフォームを語ろうとすると、どうしてもさながら宗教戦争・神学論争の如くややこしく拗れた話になってしまうのが常であったが、これを機にもう少し気楽に「カッコいいライオンズのユニフォーム」の話ができるようになるのでは、という期待感がある。

ただし、個人的に一番期待していたビジターユニの変更がなかったのはかなり残念だし、あくまで「私の理想」はこれとは違う、ということは改めて言っておきたい。

私の理想はこれ。

新たに生まれ変わった「白獅子」が地平を駆けるその時が楽しみだ。


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