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これぞ理想のユニフォーム!〜阪神編〜

各球団のユニフォームについて、こんなんだったらカッコいいだろうなぁという妄想をひたすら垂れ流していくシリーズ企画、「これぞ理想のユニフォーム!」

第7回目となる今回は、第5回「広島編」、第6回「ロッテ編」と続いているランキング上位組から、阪神タイガース編をお送りする。

過去の記事はこちらから↓

現行ユニフォーム雑感

まずは、現在使用されているユニフォームについて簡単におさらいする。

かねてから読者としてお付き合い頂いている方としてはもはや耳タコだと思うが、今回お初にお目にかかる方のために、私が今の阪神のユニフォームをいかに素晴らしいと称しているかについて今一度要点をまとめておこう。

①縦縞を邪魔しないライン構成
2000年代中盤以降、「現代っぽさ」を表したいがために切り返しデザインを多用したり、ユニフォームデザインの文法から考えると変な形でラインを入れたりと、伝統の縦縞の美しい流れを澱ませることに腐心してきた阪神だったが、ここへきてシンプルな襟ライン+袖ラインという縦縞を邪魔しないライン構成を組んできた。
ピンストライプのユニフォームにラインを入れるならこの方法しかあり得ない。

②上下グレーのビジターユニフォーム
事あるごとに主張している「ビジターユニは上下グレーが鉄則」という話。
詳しくはこちらの記事を参照して頂ければと思うが、ビジターユニフォームは上下グレーが鉄則なのだ、としか言いようがないのでそれで納得してもらえるとありがたい。
逆に(何の?)、ビジターユニフォームが上下グレーである時点で、他の要素がどれだけ酷いものであったとしても一定の高評価を与えざるを得ない、というレベルで私個人としては重大な要素なのだ。

③正統派ネオ・クラシック、最高峰
ある意味①と②を総合したような形ではあるが、つまりはこのユニフォームが正統な温故知新的アプローチ=「ネオ・クラシック」の手法で成り立っているユニフォームである、ということ。
今回の変更で取り入れられた「上下グレー+縦縞+黄色ライン」という組み合わせが実は球団史上初のものである、という事実は、小手先の「新しい要素」に頼らずとも「新鮮さ」を生み出すことは十二分に可能であるということを証明している。
「上下グレー」も「縦縞」も「黄色ライン」もどれも、1つ1つは別に珍しいものでも新しいものでもなく、全て阪神が球団史の中で一度ならず採用していたことがあるものだ。それらが組み合わさった結果新しいものができる、という現象はまさに温故知新以外の何物でもない。

と、このようにほぼ褒め一辺倒というか、大絶賛というか、何せランキングで3位に入れているくらいにカッコいいユニフォームだと思っている。

ただ、1位でも2位でもなく、あくまで3位である理由について、「こうだったらもっと良いのに」という目線から語っていこうと思う。

改善案①(現行モデル準拠版)

まずは、それを踏まえて現行のユニフォームにちょっと自分好みのアレンジを加えるとしたら?というところからご紹介。

ホーム用
ビジター用

主な変更点は以下の通り。

・ビジター用帽子をホーム用と同デザインに統一。
・パンツ脇ラインを廃止
・ストッキングにラインを追加

詳しく見ていこう。

●黄色ツバの是非

帽子のツバは黄色にすべきか、それとも黒にすべきか、という問題。
これは阪神のユニフォームを語る上では決して無視することはできない問題である。
過去に個別に記事を書いているので、詳しいあーだこーだは是非そちらをご覧頂きたい。

ある程度目を通して頂いたことを前提で話を進めるが、端的に言えば私個人は黄色ツバあり派だ。
ユニフォームに黄色が入っている場合、ツバは黄色の方が収まりがいいと感じる。

また、ユニフォームに黄色を入れることによって得られる最大のメリットである「ポップで可愛い雰囲気になる」という点が、ツバを黄色にすることによってさらに強調されるように思うのだ。

そのため、黄色が入っているにも関わらず、帽子のツバは黒となっている現行のビジターユニには少しだけ不満がある。

また、ホームユニとビジターユニを並べて見比べると、胸ロゴが「Tigers」「HANSHIN」か、ベースの色が白かグレーかが違うのみで、わざわざ帽子のデザイン・配色を変えることに必然性が生じるほどのデザイン的な差異はないことがわかる。

ホーム用帽子と同デザインのものをビジターでも使用することで、ホーム-ビジターの間に統一感が生まれると共に、黄色のポップさをより際立たせることができるのでは、という算段である。

現行モデルのビジター用ヘルメットのツバの縁に黄色のラインが入っているのが気に入らない、という点もツバを黄色にすることで一件落着だ。

因みに、ビジター用帽子をホームでも使用する、という逆のパターンもイラスト化してみた。
SNSなどを見ていても、こちらの方が良いと感じる方も少なからずおられるようだが、あなたはどちらがお好みだろうか。

●ピンストライプとライン

前章にてピンストライプとラインの相性について言及したが、これはパンツにも当てはまる。
現行モデルのパンツにはパンツ脇ラインが採用されているが、これについても一言二言言いたいことがあるのだ。

例えば、MLBにもいくつかピンストライプを基調にラインをあしらったユニフォームを採用している球団があるが、シャツとパンツ共にラインを入れている球団は存在しない。基本的にシャツのみだ。

NPBで言えば、ヤクルトが「ライン入りシャツ+ライン無しパンツ」のピンストライプユニフォーム。これはMLBにも精通するデザイナーの大岩ラリーさんのディレクションによるところが大きいのではと思う。

ずっと思ってるけど、言うほど似てるか?

逆に、ピンストライプながらパンツにもラインを入れているのがDeNAと阪神だ。

これの何が問題なのかと言うと(否、わざわざ「問題」と称すほどのものでもないのだが)、ラインが入っているとストライプが一本だけ不自然に太くなっているように見えてしまうということ。
ピンストライプのパンツにはラインを入れない方がスタイリッシュに見える。

もっとも、阪神では「パンツ脇ライン入りのピンストライプユニフォーム」という形式が1936年の初代ユニフォームから採用されているため、これを「伝統の様式」として意識的に継承するという意図があってのことと捉えれば、それもまたよしであるとも言える。

その場合は、ライン自体をもう少し太めに調整した方がいいと思う。

●ライン入りストッキング

ライン入りストッキングはもはやNPBでも多くの球団が導入しており、今更導入したところでさほど特別感がないような感じもするが、ここはあえて採用する方向で検討していきたい。

無闇に流行に乗らない硬派なスタイルも嫌いではないが、良いものは良いと言いたい。ライン入りストッキングは良い

太い2本の黄ラインというデザインは、「阪神タイガース」となる直前の50年代後半からライン入りストッキング自体が廃止される70年代後半まで使用されていたデザインを踏襲したもの。

「大阪タイガース」時代には多種多様なデザインが存在した一方で、「阪神タイガース」として採用したライン入りストッキングは歴史上このデザインのものしか存在しない
そのため、ストッキングにラインと入れるとすればこのデザインしかあり得ないのだ。

改善案②(完全妄想版)

こちらは、私自身の理想をそのまま再現したものとなる。

ホーム用

ユニフォーム自体には黄色を入れない白黒スタイルを復活。

62・64年、85年、03・05年と、2リーグ制移行後にリーグ優勝を果たしたシーズンのユニフォームが全て黄色なしのシンプルな白黒スタイルであったことを受け、このようなスタイルを「理想」とした。

左から62・64年型、85年型、03・05年型

現行モデルのような黄色入りのユニフォームも全く嫌いではないしむしろ好きなのだが、「験担ぎ」という意味ではやはり白黒の縁起の良さにあやかりたくなるのが正直なところだ。
戦力的には十分に優勝を狙える力がありながら、グズグズとAクラス争いに甘んじている現状のチームを見ると尚更である。

白黒スタイルに黄色のライン入りストッキングをあえて合わせたのは、3モデルの中でも特に鉄壁の投手力と守備力を武器にプチ黄金期を築いた60年代をオマージュする意味を込めてのこと。

投手力だけなら引きを取らないであろう現在のチームに足りないものとは何か、ということを阪神ナインの潜在意識内に自然と思い起こさせてくれるに違いない。

また、同じく白黒ピンストライプを採用しているロッテとの差別化を図る、という意味でも一石二鳥だ。
虎マークとのワンポイント同士の合わせがピリリと効いている。

因みに、「白黒のユニフォーム」というと最近では2015-17年に採用されていたユニフォームを思い出す方もいるかもしれないが、あのユニフォームの問題点は、(ラケットラインはもちろんのこと)ロゴや文字に白の縁取りを施してしまったこと。

マートンも思わずこの表情。

確かに、ピンストライプとの交わりを考えて縁取りを入れる、という考えも理解はできるが、いざ仕上がりを見ると本物感が著しく削がれ、どこか偽物感・安物感が醸し出されてしまっていた。

ビジター用

ビジター用もホーム用も同じく、ユニフォーム自体には黄色を入れないモノクロスタイルとし、縦縞も廃止した。

「上下グレー+縦縞」というもの自体は素晴らしく良いデザインなのだが、阪神のユニフォームとして見た場合、どうしても90年代の暗黒時代を想起させるアイコンとしての側面が強い。
そのため、「ゲンの良いユニフォーム」をテーマとしている今回の妄想企画とは反りが合わないと判断した。

ラインの構成に関しては、一切ラインのないどシンプルな62・64年型と、ラケットラインを用いたトレンド感の強い03・05年型の間を取り、黒+白+黒のサンドイッチタイプの袖ラインを配した。

03・05年型が当初ヤンキース風を志向したもののその後有耶無耶になっていたことを踏まえ、私が思う「正しいヤンキース風」を実現した形でもある。
まさにヤンキースのような中太くらいの細さのラインで、地味になりすぎず、かつ華美になりすぎない絶妙な線を突いたつもりだ。

また、ここでもストッキングと虎マークの黄色が良いアクセントを効かせている。

オルタネート(サード)

オルタユニフォームは、このシリーズ史上初めて「ホームオルタネート」「ビジターオルタネート」と使い分けるタイプのものを考案した。

どちらも通常ユニフォームでは廃止した黄色のラインや縁取りをあしらっているのが特徴だ。

ホームオルタネート

ホームオルタは、2013年の初代ウル虎ユニフォームのデザインを基に、左胸に「HT」マークを入れるスタイルとした。

個人的に初代ウル虎ユニがかなりのお気に入りであるため、何とかして左胸「HT」マークを復活させたいという怨念から生まれたのがこのユニフォームだ。

ベースのデザインは、①にてホームユニフォームとして提案したものをそのまま使用している。
黄色のポップな可愛いイメージと左胸ロゴスタイルの雰囲気が抜群にマッチしているのではないかと思う。

ビジターオルタネート

ビジターオルタにも、ホームと同じく左胸ロゴスタイルを適用。

ファンからの人気が比較的高い2018・19年のビジターユニフォームの雰囲気をイメージしつつ、ラインなどを他のユニフォームと統一感のある様式に整える形で構成した。

そしてもちろん、ビジターゲームで使用するものであるのだから、パンツはグレーとしている。

なお、2018・2019年のビジターユニフォームでは「ロゴや文字が黄字に直接白の縁取り」という仕様だったことから、遠目に見ると黄色と白が同化してボヤけて見えるという問題があったため、それを解消するために「黄字に黒フチ+白フチ」という二重構造として再構成している。

ホーム・ビジターともに、代えるのはキャップとシャツのみでパンツやストキングなどは通常のものをそれぞれ流用できるという仕組みになっているのがミソだ。

プランB、C

最後に、個人的なフェティシズムをよりふんだんに盛り込んだ「プランB」、言い換えればボツ案をご紹介する。
泣く泣くボツにはしたものの、普通にアリだとは思っているのであくまで「プランB、C」と称す。

プランB

一見何も違わないように思えるかもしれないが、注目すべきは背番号の書体。「Bernard MT Condensed」という書体で、2007-2011年のユニフォームにも用いられていたものである。

以前記事にしたこともあるが、この書体は62・64年型にも採用されていた阪神伝統のローマン体をオマージュする形で採用されたもので、個人的にかなり好きな仕様だ。

シンプルなモノクロスタイルのユニフォームに取り入れることで、より60年代オマージュの色が濃くなる。
また、近年NPBのみならずMLBでも進んでいる「背番号の書体の無個性化」という現状に対して挑戦状を叩きつけるという意味でも、是非取り入れたい仕様であった。

しかし、この書体が取り入れられた当時ファンや選手からの評判が総じて芳しくなかったことを踏まえ(金本選手曰く「“6”がおたまじゃくしみたい」)、また60年代オマージュ色があまりに濃くなり過ぎるのではという危惧もあったことから、背番号については現行のものをそのまま流用するという判断に至った。

プランC

プランAの通常ユニなどとは一転して、黄色をふんだんにあしらったデザインとなったバージョンのビジター用。
プランCとは、プランAのホーム用とこのビジター用をセットにするというものだ。

MLBではデトロイト・タイガースが代表例となる、「シンプルなホーム+カラフルなビジター」という組み合わせが個人的にとても好きであり、加えてホームユニフォームがシンプルな球団にしかできない特権的デザインであることもあって、ぜひ取り入れたいところだった。

実は阪神でも、過去に1982・83年の2シーズンに渡って、白黒ホーム+黄色入りビジターというスタイルを採用していたことがある。
70年代にカラフル化したユニフォームを再びシンプルスタイルへ段階的に戻す過程で採用されることになったスタイルだ。

ただし、今回は「カラフル」とは言っても、ロゴや文字の縁取り、帽子マークを黄色としていること以外はホーム用と同じくシンプルを追求しており、トータルのコーディネートとしても違和感を感じない程度に調節している。

デザイン的に捻ったことをやりにくい阪神のビジターユニフォームをキャッチーで受け入れやすいものへと昇華することはなかなか難しく、ましてやただでさえ地味に捉えられがちな上下グレーが基調ともなると、黄色を入れたいという気持ちを抑えるのは至難の技だ。

実際、現行ビジユニが上下グレーながら大方肯定的な意見を得られているのは、縦縞と黄色ラインの功績によるところが大きいと分析している。

ただ、黄色を入れてしまうと「ゲンの良いユニフォーム」がテーマ、というコンセプトとの整合性が取れず、また今回の妄想企画は「シンプルなモノクロスタイルの通常ユニ+カラフルな黄色入りスタイルのオルタネートユニ」という全体のバランスが肝であることを考慮し、あくまでホーム&ビジターはモノクロで行く、という判断に至った。

最後に

今回は、私自身の贔屓球団・阪神ということもあって、アイディアの放流量をコントロールすることにかなりの労力を費やすことになり、相当まとまりの無い文章になってしまったような感じがするが、それもまたリアルな感じがして良いという思うことにしよう。

現行モデルは「黄色ありバージョンの最高峰」だと思っているため、反対に「白黒バージョンの最高峰」とは?という視点で阪神のユニフォームを紐解いた形だ。

阪神のユニフォームに関してはこれまでもことあるごとに書き記してきたうもりだったが、まだ書き足りないのか、と自分でも正直引いてしまった部分は否めず、その分最後までお付き合い頂いた方には改めて感謝の意を表したい。

以上、シリーズ「これぞ理想のユニフォーム!」阪神タイガース編でした。ありがとうございました。

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