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阪神2022年新ユニフォームは歴代最高クラスの傑作だ!特集

かねてから、ファンとしても、ユニフォームマニアとしても、阪神のユニフォームには思うところが多々あった私ですが、2021年12月、遂に阪神が私を満足させるに足るユニフォーム変更を行ってくださいました。

というか、満足させるどころか私が1人で「こうだったらいいのになぁ」と思っていたことをほぼそのまま再現していただいた訳で、そのお礼としまして、今回の新ユニフォームを歴代最高クラスの傑作と称え、その魅力をとうとうと語る特集をお送りいたします。

新ユニフォーム概要

ユニフォームの魅力を語る前に、簡単にその概要(変更点など)をおさらいしておきましょう。

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引用:2022年よりユニフォームデザインが一新!

主な変更点は以下の通りです。

ホーム
 ①ラケットライン+腕ラインを廃止、襟ライン+袖ラインに変更
 ②縦縞をスリム化(太さ:3mm→2mm、間隔:31mm→25mm)
ビジター
 ③上下グレーが復活
 ④ホーム用と同仕様の黄色ライン+縦縞を採用

ビジターは言わずもがなですが、一方ホームに関してはかなり地味なマイナーチェンジです。どこが変わったの?と仰る方も結構おられますよね。でも、この地味な変化がめちゃくちゃデカいんです。まずはそのホーム用から、順を追ってお話しましょう。

①ラケットライン+腕ラインを廃止、襟ライン+袖ラインに変更

「よし!よーし!!(やっとラケットラインなくなった!!!)」

これは、発表された新ユニフォームを見たときの私の第一声です。ラケットラインっていうのは、「前立てライン」とも呼ばれる首回りから胸を通ってお腹の方へ伸びているラインのこと。他球団だとソフトバンクや中日、西武、広島などが現在でも使用している野球ユニフォーム界ではポピュラーなデザインです。1番有名なのはボストン・レッドソックスとデトロイト・タイガースかもしれません。

ラケットラインが阪神の通常ユニフォームにデザインされたのは2015年のこと。以来、私はこのラインを目の敵にしてきました。理由はシンプルに縦縞に合ってないから。だって、ピンストライプ(細めの線)にライン(細めの線)を重ねるってどうなの?って話だし、首回りとか縦縞とラインが交わってゴチャゴチャしてるし。普通に変ですよ、コレ。あんまり考えたことなかったという方も、今一度よく考えてみてください。普通に変ですよね、コレ。さっき例に挙げた球団のユニフォームに一本でもピンストライプ入ってますか?入ってないですよ。つまり、ピンストライプとラケットラインは普通合わせないものなんです。

ついでに、「腕ライン」と「袖ライン」の違いもささっと説明しておきます。いづれも袖の部分に腕章のようにぐるっと一周巻きついたようなラインですが、「腕ライン」は袖の途中に巻きつく形のもの、「袖ライン」は袖の裾部分を縁取るよう形のものを指します(正式名称とかではなく、多分私の造語的なものだと思う。検索しても出てこないので)。言わずもがな、縦縞(ピンストライプ)と相性がいいのは「袖ライン」

そんな変なユニフォームを7年間も見せられ続けてきた私が常々言っていたことがあります。それは「阪神のユニフォームに黄色のラインを入れるなら74年式」。言葉で説明するより見ていただいた方が分かりやすいでしょう。こちらです。

1974年当時のオリジナル版(左)と2015年の特別始球式での復刻版(右)
引用:日刊スポーツ

1974-75年に2年間(ビジターは一足早く変更されて1年のみ)採用された超短命ユニフォーム。これをベースに作成された「輝流ライン」ユニフォームの影に隠れてほとんど語られることのないユニフォームですが、さっきも言った通り、「阪神のユニフォームに黄色のラインを入れるならコレ」なんですよ。ラインは襟と袖にを縁取るように入っていて縦縞に干渉していませんし、パンツ脇のラインもかなりゴツめで縦縞とは差別化できていて、ちゃんと「縦縞」と「黄色ライン」の両立を実現しています。

「理想はラインとか何も入らない白と黒のモノトーンでシンプルにまとめたものだが、どうしても黄色のラインを入れたいのであれば74年のモデルを再現したものを」

これが私の長年の叶わぬ願いだったのですが、2021年12月、急に叶ってしまったという訳です。正直びっくりしました。ちゃんと襟ライン+袖ラインだし、しかも「黄+黒+黄」あるいは「黒+黄+黒」のサンドイッチタイプではなく、「黄+黒」のコンビタイプなのも分かってる感アリなところ(黒のアンダーシャツを重ねることを考えた場合、サンドイッチタイプにすると黒と黄の配色バランスが悪くなる)。

パターンは74年式を踏襲しつつ、太すぎず細すぎずのトレンドに則ったラインにアップデートしているのも高ポイント。

②縦縞をスリム化(太さ:3mm→2mm、間隔:31mm→25mm)

阪神の縦縞は長い歴史の中で太め濃いめの方向へ変化しており、国内だとロッテだとか、MLBだとニューヨーク・ヤンキースだとか、いわゆる「ピンストライプ」と呼ばれるものとは一線を画すような独自のデザイン性を確立していました。元々は普通のピンストライプだったんですけどね。

最近だと、気づいていた方&気にしていた方がどれくらいらっしゃるかどうか分かりませんが、2012年にミズノにサプライヤー変更したタイミングで縦縞が結構ガッツリ太くなりました。私自身は気づいていたし気になっていました。やりすぎでは?と。正直、パチモン感がすごかったです。そこに、そもそも相性の悪いラケットラインとかが乗っかってくる訳ですよ。う〜ん、ダサい。ヤンキースと比べるのはお門違いとしても、ダサい。

そんな空気を払拭するように(と私は感じました)、今回の変更では、縦縞が太さが3mmから2mmへ、間隔が31mmから25mmへとかなりスリムになりました。雰囲気としてはデサント時代の感じがそっくりそのまま戻った気がします。ラケットラインがなくなったことも相まって、胸の「Tigers」ロゴがかなり映えて見えますね。カッコいいです。

余談ですが、今の阪神の現役選手で、デサント時代のユニフォームを着てプレーしたことがあるのって秋山、原口、島本だけなんですよね。そんなに長い間ダサいユニフォームだったのか、と変な時間の感じ方をしてしまいました(まあデサント末期のユニフォームも別にかっこよくはないんですけどね)。

続いてはビジターです。

③上下グレーのビジターユニが復活

ここに来て、今回の特集最大のトピックでございます。正直書きたいこと・書くべきことが多すぎて、どこから書き進めればよいのか分からなくなったので、まずは一言。

「普通のユニフォームに戻ってよかったーーーー!!!!!!」

書いてから思いましたが、この一言に尽きる。ホントに。今までのアレ何やったん?マジで。あんなんが80年以上の歴史があるプロ野球チームのユニフォームであっていいの?いや、新設された草野球チームのユニフォームとしてもナシやわ。冗談抜きでアレが採用された時の会議の様子とか見てみたい。議事録とか取ってないのかな。大体あんなモンが...

と、書いてるうちに旧ユニフォームへの呪詛になってきたので新ユニフォームへの賛辞へ話を戻しますが、上下グレーのビジユニこそ正義と信じて疑わない私に取っては、最大かつ最高の変更点だったということです。

ここで皆さんに驚愕の事実を。「最大のトピック」「書きたいこと・書くべきことが多すぎて」なんて言っておきながら、実際に書き始めるとそんなに書くことがない。まあ、確かに基本は旧ユニへの愚痴だし、細かいディティールはホーム用と共通だし、先にそっちでさんざっぱら書きまくったのそりゃそうか。

まあ、とにかく「こういうのでいいんだよ」ってことです。やっぱりビジターは上下グレーじゃないとダメです。今までは12球団の中で巨人だけでしたからね、ちゃんと上下グレーだったの。他の10球団は5億歩譲ってカラージャージにしてもいいとしても、巨人と阪神だけは死守しないと。「伝統の一戦」とか何とかって言うなら、そういうところの伝統もちゃんと大事にしてほしいです。今後ユニフォーム変えるななんてことは言わないですが、これからも「ホームは上下ホワイト、ビジターは上下グレー」の原則だけは維持してください。お願いします。

④ビジターユニに黄色ラインと縦縞を同時採用

地味に初めてのことなんですよね。マウントをとる訳じゃないですが、当然知ってました。知ってた上で「こうすればいいのに」と思ってました。何なら「こうすれば(パドレスっぽくてかっこ)いいのに」と思ってました。案の定「パドレスっぽい」と話題になる訳ですが。

先にも述べた74年式のモデルあるじゃないですか。言っちゃえば、それに縦縞を足したってだけのことなんですよね。だけど、それが新しい。「パドレスっぽい」と話題になるってことはイコール「新しい」と思われてるってことと言っても過言ではないはずだと思います。日本でパドレスのユニフォームが有名になったのは2021年にダルビッシュ投手が入団したことがきっかけですからね。

結局、「新しさとは何か」って話でもあるんです。特にリーグ最古参のチームが求めるべき「新しさ」とは何か。いや、そもそも「新しさ」を求めること自体妥当なのだろうか。変わらないものがあってもいいのではないか。

しかし、「変わらない」ことと「新しい」ことは必ずしも矛盾しないのではないかと私は思うのです。今回のユニフォームだってそう。「上下グレービジター」も「縦縞」も「黄色ライン」もどれも、阪神が伝統的に紡いできた「変わらない」ものです。それでも、こうやって上手く掛け合わせることで「新しい」「新鮮」というイメージを作り出すことができる。

「パドレスっぽい=新しい」と言いましたが、そのパドレスのユニフォームだって70-80年代に使われていた要素を現代的に再解釈したものが今現在「新しい」と受け入れられているのであって、阪神と同じく温故知新の賜物な訳です。

小手先で考えた「新しい要素」を頼ったりしなくても、正しいものを正しく学べば新しいものが生まれる。そういう大事なことを改めて教えてくれたからこそ、今回の新ユニフォームはまさしく歴代最高の大傑作だとお伝えしたいのです。別に自分が思った通りになったからではないんですよ、決して。

残念ポイント

ただ、そんなほぼ完璧なユニフォームにも欠点がいくつかあって…

まずは、ビジター用ヘルメットのツバの縁に黄色のラインが入ること。阪神だと2012-2014年のモデルや、2014年-2019年までのロッテ、現行だと中日なんかが採用してるこのスタイルですが、正直ダサくないですか?
多分気にしたことないって人がほとんど(今回書いてることの中で1番マニアック?)だと思いますけど、個人的にはすごく嫌いなんですよね。すごく野暮ったい。
帽子のデザインをそのままトレースしてるんですが、それがかっこいいと思ってやってるのか、それとも単に「帽子もそのデザインだから」と機械的にやってるのか。とっても気になります。

引用:T-SHOP

もう一つは、ヘルメットを艶ありに戻してほしかったというところ。
黒一色の頃はまだ良かったですが、黄色入れるなら艶あった方がカッコいいと思うんですけどね。最近だと2019年のウル虎みたいな。
MLBでも艶消しが主流になりつつあるので、コレは当分叶わない願いになりそうですが…

引用:web Sportiva

他にも、ミズノ製の帽子の形が相変わらずダサいとか、どうせならライン入りのストッキングにしてみて欲しかったとか、細かい残念ポイントはいくつかあります。

最後に

改めてまとめると、本当に、「こういうのでいいのにな」という妄想がそのまま形になったような感じのユニフォームです。最低でも10年はこのまま変えないでほしいですよね。

縦縞と相性最悪なラケットラインが無くなり、70年代を彷彿とさせるクラシカルな印象が返って新鮮なホーム。伝統の上下グレーに縦縞、黄色のラインと、1つ1つは古臭いとされるような要素でもこうやって上手く掛け算すれば、変な足し算をせずともちゃんと新しくなることを証明するビジター 。

2007年の大幅モデルチェンジ以来試行錯誤の10余年でしたが、ようやく伝統球団らしい正統な、いわゆるネオ・クラシック的な「新しさ」に到達したのではないかと思います。

綱島理友大先生も「本当にホッとしている」と評されていました。

書きながら、「試行錯誤の10余年」についても整理・検証したいなと感じましたので、いずれ書きます。一方的に貶すのではなく、その労をねぎらう形にします。
追記)書きました。よろしくお願いします。

以上、阪神2022年新ユニフォームは歴代最高クラスの傑作だ!特集でした。ありがとうございました。

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