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プロ野球 ユニフォームランキング2022【後編】

先日お送りした「プロ野球 ユニフォームランキング2022」の前編に続き、今回はその後編となります。

前編はこちら。

前編では12位から7位までをご紹介。続く後編では第6位から第1位までの発表となります。
栄冠に輝くのは一体どのチームなんでしょうか。

本題に行くまでに、注意事項をおさらいしておきます。

  • 2022年シーズン使用のレギュラーユニフォームを、ホームとビジターのセットで評価します。

  • 特別ユニフォーム(イベント、サードなど)は原則評価対象外とします。

  • 評価基準については「こちら」を参照して頂ければと思います。

  • リーグ別ではなく12球団まとめてのランキングです。

  • 本来は一つの記事で1位〜12位まで発表したかったのですが、諸般の事情により前・後編に分けました(前編:12〜7位、後編:6〜1位)。

  • このランキングはあくまで私個人の独断と偏見とその時の気分によるものです。異なる意見についてはむしろ大歓迎でございます。

では、行ってみましょう。

第6位

千葉ロッテマリーンズ

引用:週刊ベースボールONLINE毎日新聞

ホームユニフォーム
1995年に初登場してから今年で28年目のシーズンを迎える、ピンストライプに「M」マークのユニフォームは、もはや押しも押されもせぬ「伝統」と言ってもいいでしょう。
一切の無駄を省いたミニマルなデザインは、まさに「PINSTRIPE PRIDE」というコンセプト以上にコンセプトを表現しています(わざわざそんな言語化しなくてもユニフォームが十分に語ってるよっていう意味)。
デザインに関しては全く何の文句の付けようがありません。

ただ、それだけに昇華プリントなのが本当にもったいない。同じデザインの刺繍時代を知っているだけに、余計にもったいなく感じます。「M」の一文字に込められた芸術性と風格にこそ心躍ったのに。
また、ロッテほど昇華プリントユニフォームと相性の良くないチームもありません。なぜならロッテには「マリンの風」があるから。

私を含む昇華プリント反対派が昇華プリントに反対する理由の一つが、「ロゴや背番号が風でひらひらとなびくのがカッコ悪い」というもの。
本拠地が常に強風が吹き付ける球場であることがわかっているのに昇華プリントにしてしまっている、という事実に対しては、やはり評価を下げざるを得ません。

ビジターユニフォーム
長らくデザインを変えていないホームユニとは打って変わって、短いスパンでデザイン変更を繰り返しているのがむしろ特徴となっているロッテのビジターユニ。

ただ、デザインは変わっても胸の「Marines」ロゴは変わりません。本来ならビジターの胸ロゴがニックネームなのはあまり好みではないんですが、ロッテオリオンズ時代のユニフォームが長い間ホームビジターともに「LOTTE」だったことを考慮に入れると許容範囲でしょう。
現在のユニフォームは今年で3年目。黒シャツに白パンツというセパレートタイプですが、切り返しや赤のラインなどがあしらわれていた旧モデルに比べると限りなくシンプルとなっており、ホームユニとも共通のミニマルデザインは様式美すら感じさせます。

そんな中でも特徴的なのは「PINSTRIPE PRIDE」のコンセプトの下、黒地に白であしらわれたピンストライプ。ホームユニの代名詞でもあるピンストライプを敵地でも、という必然性を感じさせるコンセプトにはとても好感が持てますね。

しかし、やはりシャツのみストライプでパンツは無地という組み合わせの歪さは払拭できず、という印象です。もう少しストライプが目立たない形、例えばシャドーストライプ的なものにすれば印象も変わるかな、と。
また、黒地に黒文字+白縁というのもシックでいいんですが、昇華プリントのせいで視認性の低さばかりが目立つ結果になっています。
ホームユニも含め、そういう「あと一押し」の部分で順位が伸びきらなかった感じです。

第5位

東京ヤクルトスワローズ

引用:スポニチアネックススポニチアネックス

ホームユニフォーム
ホームユニに限っては、昇華プリントであるということを置いておくとしてもかなりの完成度だと思います。
青(紺)、白、赤のトリコロールが特徴でありもはや伝統ですが、これを落ち着いた雰囲気に落とし込むのは意外と難しいです。
また、1950年代から変わらず使用されている「Swallows」ロゴの使い方にも気を配らないといけません。

しかし、このユニフォームはそれをすんなりとやってのけています。
赤ストライプを出来る限り細く、トリコロールのラインを襟と袖のみとしユニフォーム上の情報量をスリムに整理することで、伝統の「Swallows」ロゴが自然と浮かび上がるような、奥行きのある都会的でシックな存在感を演出しています。

ラインは「リブ(フライス)」という手法によってあしらわれており、それによってどこかレトロで古風な雰囲気も持ち合わせていますよね。
胸番号がMLB式でやや大きめなのもポイントが高いあたり。
昇華プリント仕様であること、ゼット社製のヘルメットの形がカッコ悪いこと(※画像の村上選手はミズノ製を使用)以外は本当に文句のつけようがないと言えます。

ビジターユニフォーム
一方、ビジターユニフォームに関してはいくつか思うところがありまして…
デザイン自体には文句はなく、筆記体の「Yakult」ロゴもゴージャスで新鮮味がありますし、ネイビーにグリーンを重ねるという試みもハイセンスだと思います。
ラインの構成などデザインのテンプレートはホームと共通ですから、そこについても完成度はかなり高いと思います。

ただ、「ヤクルトのユニフォーム」としてどうなのか、という点ではやはり違和感があると言わざるを得ないのが現状。
一応、緑もチームカラーとして登録されてはいるのですが、それでも突飛さというのは拭きれず。緑を使うにしても、帽子がホームと共通なのは少し寂しいかなと思います。どうせなら緑を取り入れたビジター用帽子を作ってもらえたらいいなと思いますね。

さらに、胸ロゴが「Yakult」であることも不満ポイント。2015年に巨人がビジターユニの「TOKYO」ロゴを復活させました。このユニフォームが発表されたのが2016年。チーム名に「東京」を冠しているのは巨人ではなくヤクルトのはずです。巨人に対抗して、という訳ではありませんが、「東京のチーム」ということをもっとアピールしてもいいのでは、と思うのです。
イベントユニフォームでは「Tokyo」ロゴを使ったりしていますが、やっぱりビジターユニフォームでやってナンボでしょう。

第4位

広島東洋カープ

引用:デイリースポーツonline日刊スポーツ

もはや、今更あーだこーだと説明するのも野暮でしょう。
2009年のマツダスタジアム開場に合わせて作られたこのユニフォーム。球場と同じく「ネオ・クラシック」の様式が採用され、洗練された赤と白の対比が美しいほどに鮮烈に映えています。

刺繍であしらわれた筆記体の胸ロゴも風格たっぷり重厚感たっぷりで、ドがつくほどシンプルながら全く飽きのこない至高のユニフォーム
その上、単に「赤白」かと思いきや、かつてのメインチームカラーである紺が要所要所でアクセントを効かせてくるという遊び心さえも詰まっています。
はっきり言って、実質1位です。

ではなぜ実際に1位ではないのか、というところが注意書きにもある「その時の気分」というところの説明になりましょう。それについていくつかご説明を。

第一に、「やっぱりビジターは上下グレーがいい」ということ。
ホームユニ以上の人気を誇る赤のビジターユニですが、やっぱり個人的な願望を言えば上下グレーの方がクラシカルでカッコいいと思うのです。
せっかく赤というグレーに映えやすい色がチームカラーなのですから、徹底した「ネオ・クラシック」を貫いて欲しいなという思いが拭いきれません。
ただ、別に赤いユニフォームを捨てろと言いたいのではなく、ホームゲームで使用するサードユニフォームとして赤ユニを導入すれば良いのでは、と思っています。真っ赤に染まった球場にさぞ映えるだろうなぁ、と。

第二に、「立襟仕様は流石に古い気がする」ということ。
現行ユニの特徴の一つである「立襟」。ですが、これは日本プロ野球では主に30〜40年代に採用されていた仕様であり、いくら「ネオ・クラシック」と言えど流石に古すぎるのではないかと。
普通の丸首にした方が、今風なスッキリ感とクラシカルな雰囲気のバランスが良くなると思います。

第三に、「補色のカラーリングの方が好き」ということ。
残りの3チーム(1〜3位)を見てみると、「紺と金」「黒と黄」「黒とオレンジ」と、補色のカラーリングになっていることが共通しています(厳密には「補色」の関係には当てはまらないものもありますが、「暗い色と明るい色が組み合わさっている様」という意味で捉えてください)。
もし、広島のユニフォームに入っている紺色がもう少し主張の強いものであれば、違う順位になっていたかもしれません。

こんな些細なところで優劣をつけてしまうのが私の「今の気分」だ、ということになります。
繰り返しになりますが、今回はたまたま4位という気分だっただけで、広島のユニフォームも実質1位であることに変わりはありません。
※別にカープファンの方々に媚びを売っている訳ではなく、あくまでこういうスタンスのランキングである、ということの念押しです。

第3位

阪神タイガース

引用:サンスポ日刊スポーツ

この度のユニフォーム変更により、最下位争いから一気にここまで順位を上げた我がタイガースのユニフォーム。
身内贔屓かと思われてしまうかもしれませんが、公平な目で見て今回3位と致しました。
ちなみに、阪神ファン目線ゴリゴリ評はこちらから。

縦縞や胸の「Tigers」ロゴ、左袖の虎マークといった阪神のユニフォームを象徴する要素はどれも、1935年の球団創設から約90年もの間変わらずに使用されている日本プロ野球屈指の伝統的デザインであり(戦中戦後の一時的な措置は除く)、MLBなどを含めても創設からここまで「何も変わっていない」と言えるチームはごく一部です。
ビジターの「HANSHIN」ロゴも、50年代の大阪タイガース時代に作られた「OSAKA」ロゴの書体をそのまま受け継ぐ形でデザインされています。2000年代以降変更された時期もありましたが、今では再び手書き風の書体(「H」の縦棒の太さが左右で不揃いになっているなど)が復活。

個人的には、縦縞に「Tigers」ロゴと虎マークさえあれば、それだけで「タイガースのユニフォーム」として十二分に「正解」だと思っています。
そして、その「正解」に限りなく近づいているのが今回の2022年新モデル。

今回の変更にあたって、ホームビジターともに1974-75年に使用されていたモデルを彷彿させる、襟ライン+袖ラインの組み合わせで黄色のラインが取り入れられたことでクラシカルな雰囲気に。
と思いきや、ラインや縦縞が細めの仕様に見直されていることによって、より洗練された「ネオ・クラシック」的な雰囲気へとアップデートされたデザインとなっています。
ホームに関しては、ラケットラインがなくなったことで縦縞の美しい流れや「Tigers」ロゴの存在感が一層映えるようになりました。

また、なんと言ってもビジターが上下グレーとなった、というところが今回高得点を稼ぎ出した最も大きな理由。
阪神のような伝統球団たるもの、やはりセパレートやらグラデーションやらといったものを安易に取り入れるべきではないと思いますね。

今回の変更で取り入れられた「上下グレー+縦縞+黄色ライン」という組み合わせが実は球団史上初のものだったという事実は、小手先の「新しい要素」に頼らずとも「新しさ」や「新鮮さ」を生み出すことは可能であるということを証明するものだ、と言っても過言ではないでしょう。
「上下グレー」も「縦縞」も「黄色ライン」もどれも、1つ1つは別に珍しいものでも新しいものでもありませんから。全て阪神が歴史の中で採用していたことがあるものです。
まさに温故知新とはこういうことをいうのではないでしょうか。

ここ数年の阪神のユニフォームには思うところがたくさんあったのですが、それらモヤモヤを一気に解消してくれた、という意味でのこの順位、という面もありますね。
ただし、ヘルメットの仕様であったり、帽子の形であったり、ストッキングは柄入りにしてほしかったなど、いくつかの細かい不満点が解消されていない点を踏まえると3位までが限界かなと。

第2位

読売ジャイアンツ

引用:スポニチアネックス日刊スポーツ

1950年代に定まった形式を、細かいマイナーチェンジを重ねつつも常に維持し続けている、こちらもNPB屈指の伝統を誇るユニフォームです。
現在使用されているモデルは、球団史上ユニフォームに初めてオレンジ色が取り入れられた1953-60年モデルへのオマージュをコンセプトにしているなど、「ネオ・クラシック」への眼差しが一際強いものとなっています。

二重ラインやラケットライン、黒ビジターにカクカクロゴなど、その時代その時代に合わせた様々な試行錯誤がなされ、そのモデル一つ一つに思い入れや好き嫌いがあると思いますが…

阪神と同じく、黒とオレンジをベースにした配色で胸に花文字の「GIANTS」ロゴが入っていれば、それだけで「巨人のユニフォーム」とわかるだけのブランド力を兼ね備えている訳で、だからこそ余計なものを付け足す必要はなく出来るだけシンプルにスタイリッシュに、というところが伝統球団として目指すべきところなのではないか、と思っています。

なので個人的にはやはり、シンプルな襟ライン+袖ラインに花文字、上下グレーのビジターに「TOKYO」ロゴ、という今のスタイルがもっともクラシカルかつスタイリッシュで、洗練された風格を感じますね。
その上で、ニューエラ社とのキャップサプライヤー契約柄入りストッキングの導入など、「伝統を守りつつ『新しいもの』もしっかり取り入れる」というバランスが最もいいのが今のユニフォームではないかな、と。

ただ「新しいもの」といっても、どちらも野球界においてはむしろ古い歴史を持つもの(ニューエラは1930年代からMLBのキャップを作っている会社、柄入りストッキングはむしろ1980年代頃を境に一度廃れた文化)である訳で、阪神の新ビジターと同じく温故知新によってもたらされた「新しさ」なんですよね。そういうバランスがいいなと思う訳です。

ただ、やはり1位ではないというところにも理由があって、1番の問題点は「生地が薄すぎる」ということ。
2021年からミズノが提供しているこのユニフォーム、胸ロゴがひとまわり大きくなったり胸番号が復活していたりするんですが、それらの要素と薄い生地の食い合わせがよくなく、ルーズ気味に着用する選手が多いこともあって全体のシルエットとしてあまり綺麗に見えないなぁ、と感じてしまいます。

また、背中側の生地のカッティングが変わったことで、背中に対する背ネームと背番号のバランスが少し歪になっているあたりも、やや評価を下げてしまったポイント。
そういう観点で言えば、アンダーアーマー製の前モデルの方が洗練されていたのではないかと思いますね。

他に誰が気にするんだろうと自分でも思うくらい細かすぎる話ですが、「神は細部に宿る」という言葉もある通り、そういうところにこそ拘ってこそだと思うので。

第1位

オリックス・バファローズ

引用:毎日新聞毎日新聞

今回、堂々の1位に輝いたのはオリックス。
まあ、誰の目にも明らかな「カッコいいユニフォーム」ですよね。
長ったらしい説明も不要かなとも思いますが…

ネイビーとゴールドのカラーリングがゴージャスに映え、「紺+金+紺」のやや太めのラインがシャープな印象を添えており、非常にクールな仕上がりになっています。
以前はゴールドの細めのラインが採用されていましたが、そのゴールドの色味の薄さもあってややチープ感が否めず。
一方、2019年から採用されている現在の太めラインは、胸ロゴの重厚感とも相性が良く、ブルーウェーブ時代を彷彿する「本物感」があります。
ゴールドが渋い色味へ調整されているところも高ポイントですね。

濃い青系と濃い黄系の組み合わせは、私が最も弱いカラーリングでもあります。マジで好きです

2011年の球団ブランド刷新とともに登場した、重厚な飾り文字風の「Buffaloes」ロゴも最高の一言。
2017年にメーカーがデサントに変更となった際、メーカー側が昇華プリントの採用を打診したところ、球団は「重厚感や風格を大事にしたい」という理由でその打診を断ったそうです。
このロゴは刺繍だからこそ映えるもの。素晴らしい判断です。

その他にも、柄入りストッキング、ゴツめの独特なブロック体の背番号など、センスの良さを感じさせる要素が随所に詰め込まれていますね。

賛否あるのが帽子の「B」マークでしょうか。
2018年までは3つのBを意味する「Bs」マークを使用していましたが、2019年より「B」単体に。
コンセプトでは「さらに一つにまとまった、強い絆で結ばれたチームの姿を表す」としていますが、個人的には「良い意味で過去に囚われることなく、『Buffaloes』という1つのチームとして前へ進む」という意思表示にも感じており、むしろその潔さを讃えたいと思っています。
デザイン的にも「B」の方がスッキリしてていいかな、とも思いますし。

唯一の欠点がビジターユニがセパレートタイプであることですが、それ以上にカッコいいポイントが多すぎるので、1位に認定することへの障害にはならないですね。
もしこれで上下グレービジターに戻してくれれば、本当に何も言うことがなくなってしまいます。

それくらい、隙のない(ほぼ)完璧なユニフォームだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は前編から続いて第6位から第1位までをご紹介しました。

今一度ランキングをまとめると、こんな感じ。

1 オリックス
2 巨人
3 阪神
4 広島
5 ヤクルト
6 ロッテ
7 楽天
8 中日
9 ソフトバンク
10 DeNA
11 日本ハム
12 西武

やはり「刺繍」「シンプル」っていうユニフォームが上位に来る結果でしたね。

どうでしょう。
繰り返しになりますが、これはあくまで私個人の独断と偏見と気分によるものなので、当然人によっては全然考え方が違ういうこともある訳で。
なので、「異論は認める」と言いましょうか、異なる意見についてはむしろ大歓迎でございます。
そういう自分と考えの異なる人の意見を見聞きするのも大変楽しいので。

是非みなさんも考えてみてください。
そして、できれば教えて頂けたりするととても嬉しいです。

以上、プロ野球 ユニフォームランキング2022【後編】でした。ありがとうございました。

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