見出し画像

プロ野球 ユニフォームランキング2023

オールスターも終わり、既に後半戦に突入しているプロ野球。
熱いペナント争いを尻目に、このアカウントでは一足早く各チームに順位を付けていきたいと思う。もちろんユニフォームの話だ。

前年はシーズン開幕前にランキングを付けたが、今年はユニフォーム変更が非常に多かったこともあり、少し様子見の期間を設けさせていただいたことでこのようなタイミングでの投稿と相なった。

個人的にランキング形式の記事でもったいぶった作りにするのが好きではないので、1〜12位までを一挙に紹介することとした。
ただ、そのくせ文章を簡潔にまとめる能力は全くないため、結果としてメチャクチャに長い記事になってしまっているので、お暇な時にPCなどでゆっくり楽しんでいただければと思う。多分スマホだと相当読みにくい。

以下、ランキング発表にあたっての注意事項を記す。

  • 2023年シーズン使用のレギュラーユニフォームを、ホームとビジターのセットで評価。

  • 特別ユニフォーム(イベント、サードなど)は原則評価対象外。

  • 評価基準については「こちら」を参照。

  • リーグ別ではなく12球団まとめてのランキング。

  • 順位はあくまで完全に100%私個人の独断と偏見によるものであり、異なる意見についてはむしろ大歓迎。

因みに、「個人的に〜」「私としては〜」「〜と思う」「〜と感じる」的な表現がやたらと出てきてお見苦しく感じさせてしまうかもしれないが、断定表現で統一するにはややセンシティブな内容であるが故のこととして何卒ご容赦頂きたく存じる次第である。


第12位

広島東洋カープ
(前回順位:4位)

前回4位から、まさかの大転落。
しかし納得の結果という方も多いのではないだろうか。

特にビジターユニに関しては、以前記事にも書いた「デザイン云々以前の問題」という表現が今なお驚くほどしっくりくる。
ビジターユニの「赤地に赤字」という配色は、デザイン云々以前に「野球ユニフォームとしての機能」を果たしていない
この時点でほぼ無条件に最下位が確定しているようなものと言っても過言ではないだろう。

一方で、「デザイン云々以前の問題」とは言えデザイン自体に問題がないかと言えばそういう訳でもない。
中でも問題なのがロゴや番号・ネームのサイズがやや縮小されているという点。
デザイン・書体そのものは前モデルから変化していないのだが、否、だからこそ前モデルに比べるとその魅力が大きく削がれているように感じてしまう。これはホームユニで特に顕著。
やはり「Carp」ロゴは目一杯にドデカく配置されてナンボだと思う。

背番号が小さくなったことによって生まれた余白を埋めるが如く配されたホームユニの背中の謎の線や、ビジターユニの奇妙な形をしたラケットラインなど、ツッコミどころは尽きない。
その上、赤の色味が無遠慮に弄られた挙句様々な色味の赤が混在しており、どれが「カープの赤」なのかが分からなくなっている。チームブランディングという観点でも評価を下げざるを得ない。

なお、ビジターユニに関してはシーズン開幕に合わせてデザインにテコ入れがなされたが(公式のアナウンスはなし)、背番号の紺色の縁取りを少し太くするだけに留まり、根本的な解決には何もなっていない割にプロコレユニフォームの納期が遅れるという始末。
納期云々に関してはユニフォームデザインの評価には直接関係ないものの、あらゆる面での「残念さ」を象徴するエピソードと言える。

第11位

横浜DeNAベイスターズ
(前回順位:10位)

この新ホームユニに対するモヤモヤをいかに言語化するか、ということでこの数ヶ月頭を悩ませてきたのだが、結局は「本当にピンストライプをやめる必要はあったのか?」というシンプルな疑問に行き着く。

球団公式のリリースを見れば色々とコンセプトが語られているのだが、それらを加味すればするほど「それならむしろピンストライプユニとしての純度・王道感を高めていく方がよかったのではないか」という思いが首をもたげるのだ。
「チームとファンの皆さまとの一体感をより強く生み出していく」のに「これまでのユニフォームの象徴的なストライプを集約」する意味がイマイチ理解できない。

私自身が生まれながらの阪神ファンで「縦縞=ピンストライプのユニフォーム」というもの自体への愛着が特別深いということも関係しているのかもしれないが、自ら「象徴」と称するようなものをそんな簡単に弄ってしまってもいいものなのだろうかなどと考えてしまう。
また、その「YOKOHAMA STRIPE」と名付けられた一本線が表現しているとされるものも、後述する西武のビジターユニと同様にいかにも「コンセプトのためのコンセプト」という感じがしてあまり好きではない。

変更がなかったビジターユニが好みではないことも西武と共通している。
そういう意味では実質最下位、とまで言いたくなるような感じではあるのだが、DeNAになって以降徹底されている「横浜ブルー」を軸としたトータルデザインの統一感の演出は球界でも屈指の完成度であり、この一点だけでも一定の評価に値する。
特に、最下位とした広島や後述する中日などと比べると、チームブランディングの面では格段にレベルが高くその点はさすが親会社がIT企業といったあたりだ。
12位広島と11位DeNAにはいわゆる「超えられない壁」がある。

ビジターユニが好みではないのも、せっかく「横浜ブルー」という素晴らしい「軸」があるのに、それをボヤかすようにいろんな色を足して足してのデザインになってしまっている、という側面があるから。
シンプルに「横浜ブルー」一本で勝負してもらいたい。

因みに、巷では「サッカーユニっぽい」という意見も見受けられるが、実はサッカー界でも似たような事例がある。
イタリアの名門・ユベントスFCが19-20年シーズンにて、長らくクラブの象徴であった黒のストライプ(縦ボーダー)を廃し、右半身が白・左半身が黒というツートンパターンのユニフォームを採用した。

これは、このユニフォームを着たサポーターが集まることでスタジアム全体をストライプにする、との発想から生まれた「BE THE STRIPES」というコンセプトに依るものだったが、サポーターからの反応は芳しいものではなく、次シーズン以降は再びストライプが復活し現在に至っている。

「伝統・象徴の脱構築」というものは常に進化・変化を求める上で不可避なものなのかもしれないが、やっていいことと悪いことの見極めもそれ以上に重要なことだと言える。

第10位

埼玉西武ライオンズ
(前回順位:12位)

これまでのレジェンドブルーにかつてのライオンズブルーを掛け合わせる形でデザインされた新ホームユニ「通称・白獅子ユニ」

個人的には、諸手を上げてこの新ホームユニを高評価することはできない。
なぜなら前ホームユニが、西鉄・西武・埼玉西武という球団が持つ歴史、背景、意味を盛り込みつつも仕上がり自体は極めてシンプル、という「プロ野球のユニフォームとしての理想形」を体現する良作ユニだったと思うからだ。

しかし、こういう折衷案的なデザインは永らくライオンズを取り巻いていたチームカラー論争の落とし所として私自身もかねてから提案していたものでもあり、ややこしい話は抜きにしても「紺+青」のそもそもの相性の良さもあってかなり印象の良いユニフォームであることは紛れもない事実。

前立て部分のパイピング風ラインの是非やライオンズブルーの使い方、番号・背ネームフォントの好み(個人的に前の方が好きだった)など、細かく見ればツッコミポイントも多いのだが、 全体的に見れば爽やかで品のある印象が強い。

ただ、ビジターユニに関しては、「上下セパレートタイプ+昇華プリント+グラデーション+切り返し」と、NPBユニフォーム界のガラパゴス具合を象徴しているだけでなく、「西鉄ブラック+ライオンズブルー+レジェンドブルー」というコンセプトが前に出過ぎた、私の好みとは完全に対極にいる存在である、というのは相変わらず。

昨年から順位アップという形にはなったが、あくまで広島・DeNAが順位を落としたことによる相対的な変動であり、別に今回のホームユニ変更によって特別順位をあげた訳ではない、と念を押さざるを得ないのはこのビジターユニのせいに他ならない。

第9位

北海道日本ハムファイターズ
(前回順位:11位)

昨年1年間はあまりのインパクトの強さに「ふわっとした違和感」以上のものが見えてこなった感じだったが、2年目を迎えた今年その違和感の正体がいくつか浮かび上がってきた。
個人的に思う「日本ハムのユニフォームの変なところ」は主に2点。

まずは胸ロゴ。
新しい「FIGHTERS」ロゴは、近年のデザイン界隈では定番となっているフラットデザイン的な手法で作成されたもので、立体感のない四角いシルエットが印象的。
コンセプトなどを考慮してもこの球団ロゴ自体に問題があるとは特別思わないのだが、ユニフォームの胸ロゴとして考えるとどうしても違和感を禁じ得ない。

真四角なフォルムの文字が並んだロゴが胸部分のスペースに押し込められているため、何となく収まりが良くないように感じるのだ。
刺繍ロゴに拘っているからということもあるかもしれないが、ロゴがやけに小さく全体としてバランスが良くない。それに合わせてなのか分からないが、番号・背ネームなども軒並みサイズが小さいのも気になる。

次に「左右非対称」の在り方について。
ユニフォームが変更されることが発表された際、無理に左右非対称に拘るあまりそれがノイズになってしまわないかと勝手に危惧していたのだが、ホームユニに関してはまんまとその通りになってしまった。

「FIGHTERS」ロゴが「スペースに押し込められている」ように見えるのも、左右非対称部分が占める面積がやけに広いことが一因だろう。
北海道初代ユニのように袖部分に限定する、ビジターユニのようにラインの構成で非対称に見せるなどいった工夫があれば、と感じる。
イベントユニの「ヒーローユニ」では、左右非対称のデザインがない分「FIGHTERS」ロゴのサイズ感が違和感の少ないものになっていたことを考えても、やはりこの左右非対称の在り方は再考すべき事案だと思う。

因みに、ビジターユニはロゴのサイズが「HOKKAIDO」<「NIPPONHAM」な以外は結構好き。

「FIGHTERS BLUE」「SNOW WHITE」「INVICTUS BLACK」という3色のプライマリーカラーを中心としたチームブランディングの完成度の高さという点はDeNAと同じく評価に値するのだが、やはりそこから生み出されるデザインにいわば「策に溺れた」感を感じてしまうのは私だけだろうか。
これだけ「軸」「込められた意味」がしっかりしているのだから、気を衒わない王道を志してもいいのではないかと思う。

第8位

福岡ソフトバンクホークス
(前回順位:9位)

ソフトバンクのユニフォームは、メチャクチャカッコ悪いという訳ではなく、(ここ最近は陰りが見えているものの)チームの強さもあって良く見えたりもするが、冷静に一つ一つの要素を抜き出してみると結構変なユニフォームだ。

袖の2本ラインにロゴのフォント、ホームロゴ「SoftBank HAWKS」&ビジターロゴ「SoftBank」(ロゴに「Fukuoka」がない)など、つまるところ「ソフトバンク」という企業が持つカラー・雰囲気をそのまま野球ユニフォームのフォーマットに落とし込んで出来たユニフォームという感じ。

故に、ところどころにそこはかとない歪な印象を抱かせる。

袖のラインは、パンツ脇に入っているような細い2本ラインを袖にも持ってくる形の方が引き締まって見えるし、ロゴのフォントはもう少し「ホークス」感があった方が良い。
「福岡ソフトバンクホークス」を名乗るならどこかしらに「Fukuoka」ロゴは欲しいし、あくまでビジターは「SoftBank」一本だと言うならホームはシンプルに「HAWKS」でいい。

長くなるだけだからまとめるが、結局のところ「もう少し野球ユニフォームらしい感じにして欲しい」のだ。
そもそも何を以て「らしい」なのかという話だし、一面的な「らしさ」に固執することの是非などを論じ始めるとそれこそ際限なく長くなってしまうのだが、野球ユニフォームにはある程度の「型」が存在することは細かく説明せずとも何となく理解してもらえるだろう。

今のソフトバンクのユニフォームはその型を守る訳でもなく破る訳でもなく、何となく変に浮いた感じがするのだ。
それをもう少し「型を守る」方へ寄せてもらいたい、というのが個人的な感覚である。
もちろん破る方へ突き抜けるならそれはそれで良いと思う。

第7位

東北楽天ゴールデンイーグルス
(前回順位:7位)

2005年に新設されて以降大幅なチームブランドのリニューアルなどは行われないまま現在に至る楽天。
そのため、特にロゴに関して言えば「球団創設当初から一貫して使用されている」という点で、ある意味巨人や阪神、ヤクルトなどと同じとも言える。

しかし楽天の場合、そういった歴史のある球団のロゴと比べると、どうしても「いかにも2000年代に新しく創設されたチームのロゴ」といった感じが否めず、2020年代となった今では流石に陳腐化は避けられないのではないかと思う。
ソフトバンクの「HAWKS」ロゴが「もう少し『ホークス』感が欲しい」のとは反対に、楽天の「EAGLES」ロゴに関しては「(ゴールデン)イーグルス」感が直接的過ぎる

ベースのデザインがマイナーチェンジのたびにシンプルで洗練された印象へと変わっていっている他、2020年にメーカーがミズノに変わったタイミングでエンジの色味を見直し、深みのある渋い色味のエンジが復活したこと、差し色を黄色から金色に変えたこと、ヘルメットの表面加工に地元の伝統工芸品「玉虫塗」の技法を採用していることなど、素晴らしい点はたくさんある。

ただそれだけに、それらの中心に位置する「EAGLES」ロゴの残念さが余計に際立つように感じてしまうのだ。

また、問題があるのはホームユニの「EAGLES」ロゴだけでなくビジターユニの「Rakuten」ロゴも同じ。ソフトバンクと同様、ユニフォームロゴに企業ロゴの雰囲気をそのまま持ち込んだタイプのデザインだが、やはりこのようなやり方は好みではない。
仕上がり自体は野暮ったいながらもあくまでオリジナルのデザインを志向していた創設初期の「RAKUTEN」ロゴの方が好感度は高い。

第6位

中日ドラゴンズ
(前回順位:8位)

今回の変更を経て、基本的には大方の問題点が改善されたと言ってもいい中日の新ユニフォーム。

ラケットライン&色付きボタンが廃止され、特徴に欠いていた高校野球型背番号&ゴシック体背ネームがそれぞれドジャース型・MLB型となったことで、ユニフォームとしての完成度が高まった。
他にも赤い胸番号、袖のCDマークなどドジャース型ユニ的な要素をふんだんに盛り込んでおり、元々現在のNPBでは珍しいシャツスリーブ(セットインスリーブ)であることなども相まって、特にホームユニに関してはかなり好感度の高いユニフォームとなっている。

ただその一方で、ユニフォーム変更の度に繰り返されるコンセプトなきドラゴンズブルーの色味変更は今回も。
SNSでも少し話題になったが、ユニフォームやシャツが新調されたのに対し、アンダーシャツやソックスなどは前年まで使用されていたものの流用を疑わせるような統一感のない色味になっており、「チームブランディング」という概念すらないのかとすら思えてしまう有様だ。

既に触れたように、DeNAや日本ハムなど同じ青色をチームカラーにしながら明確なコンセプトを与え、統一感のある運用をしている球団もあるだけに、このようなチームカラーの杜撰な扱いは正直見るに耐えない。

もう一つ細かいことを言えば、気になるのが帽子のデザイン。
空気穴、ツバ縁ラインが白になっているのだが、これが何ともカッコよくない。ドジャース型を志向するするのであれば、天ボタンとCDマークのみ白であとは青一色でいい。
ユニフォーム自体の完成度がそこそこ高いだけに、この帽子のせいで何となく垢抜けない、詰めが甘い印象が強調されてしまう。

その他、ビジターユニの「Chunichi」ロゴがミズノの既存フォントだったり、胸番号がやけに小さかったりと細かいことを言えばキリがないが、何にせよ「せっかく全体的にはいい感じなのに、細かいところで詰めが甘い」という感じが否めないユニフォームである。

第5位

東京ヤクルトスワローズ
(前回順位:5位)

伝統の青(紺)、白、赤のトリコロールと「Swallows」ロゴ。
扱いの難しそうな要素だがデザイナーを務める大岩Larry正志氏のディレクションがとにかく見事の一言。

細い赤ピンストライプに、トリコロールのラインは襟と袖のみとし、ユニフォーム上の情報量をスリムに整理することで、伝統の「Swallows」ロゴが自然と浮かび上がるような、奥行きのある都会的でシックな存在感を演出。
ラインは「リブ(フライス)」という手法によってあしらわれており、それによってどこかレトロで古風な雰囲気も持ち合わせている。
神宮という土地柄も考慮された球界屈指のおしゃれかつ可愛いユニフォームだと言えよう。

ヤクルトのユニフォームを語る上で、どうしても槍玉に上がるのがビジターユニに採用されている緑色の是非
一応、緑もチームカラーとして登録されている色であり、神宮では昔から緑色の応援メガホンが定番だった。
だからこそ、球団でもこの緑をテーマカラーとして「TOKYO燕プロジェクト」というイベントを企画しているのであり、緑色をユニフォームカラーに登用することの正当性も十分担保されていると言える。

なので、私としてはこれを殊更に批判したりするつもりは毛頭ない。
紺+緑という配色はセンスしか感じないし、筆記体の「Yakult」ロゴもゴージャスで新鮮味がある。

しかし、とても個人的な話になるが「紺+赤」というカラーリングがとても好きなので、できればデザインは今のまま緑を赤に置き換えたユニフォームというのも見てみたい。
現在のNPBで唯一チームカラーが「紺+赤」なのがヤクルト。いわば最後の希望なのだ。
CREWユニフォームなどではたまに紺赤のデザインが見られるが、やはりレギュラーユニで見てナンボ。

そんな私としては、どちらかと言えばグリーン問題よりも胸ロゴが「Yakult」ことの方が不満。
せっかく「東京」を名乗っているにも関わらず「“TOKYO”と言えば巨人」の固定化を許してしまっているのはやはりもったいないというか、「東京のチーム」ということをもっとアピールしてもいいのではないかと思う。

第4位

千葉ロッテマリーンズ
(前回順位:6位)

昨年のランキングにて「デザインに関しては全く何の文句の付けようがない。ただ、それだけに昇華プリントなのが本当にもったいない」という評価をしていたのだが、今回のユニフォーム変更にてまさかの刺繍が復活
刺繍を昇華プリントにする球団、刺繍のままに拘る球団はあっても、まさか「昇華プリントから刺繍へ戻す球団」が出てこようとは夢にも思わなかったため非常に驚いた次第だ。

公式のリリースにもある通り、プロならではの「品格を体現する」のが刺繍によるデザイン。
昇華プリントはデザインの自由度の高さがウリだが、いくら自由度が高かろうが昇華プリントでは表せない、刺繍でしか表現できないものがプロ野球ユニフォームにはある

この昇華プリント廃止は新調されたビジターユニにも好影響を及ぼしている。
前モデルの黒色はロゴや文字と同様プリントによって生地の表面を着色しただけのものであったのに対し、今回の新モデルは生地をしっかり染め上げる形で色が付けられている。
これによって、より深く濃い色味での黒の発色が実現。ピンストライプの廃止も相まって、かなり純度の高い「カッコいい黒」になった印象だ。

番号・背ネームのフォント変更もかなり好み。
MLB的なオーセンティックなスタイルと従来のロッテ的なオリジナリティあるスタイルの折衷であると同時に、現代のスマホ視聴なども踏まえたアクセシビリティも担保されている、素晴らしいデザインである。

新たなチームブランディングの軸となっている「黒+白+グレー」の3本ライン(通称「BELIEF LINE」)についても、コンセプトを抜きにしてまず純粋にデザインとして優秀なあたりが好ましい。
優秀なデザインに周到なコンセプトが重ね合わせられているという感じで、「コンセプトありきのデザイン」になってしまっている西武やDeNAとは好対照を為す。

そんな基本絶賛一辺倒なユニフォームなのだが一つ致命的な欠陥がある。
それが左袖にあったカモメのペットマークがなくなってしまったこと、そしてその代わりに企業広告が付けられてしまったことだ。
惜しくもベスト3入りを逃してしまったのはこれが原因と言っても過言ではない。

第3位

読売ジャイアンツ
(前回順位:2位)

ナイキとのサプライヤー契約締結が大きな話題を呼んだ巨人のユニフォーム。
ユニフォーム=ナイキ、キャップ=ニューエラ、ソックス=スタンスと、まるでMLB被れのような組み合わせとなったことももちろんだが、やはり世間的なトピックといえば背ネームの廃止だろう。

背ネーム廃止=個人名が分からなくなったことを指して、カープと併んで「ユニフォームが果たすべき機能を損なう変更」とする声も一部で根強い。
しかしここでは、巨人の場合「背ネームがなくなった分背番号がより大きくなっており、むしろ見やすくなっている」という部分に着目したい。

特に球場などにおいては、入っていたとしてもサイズの小さい背ネームよりも、より大きくなった背番号の方が直感的に選手を見分けるのに適しているという見方もできなくはない。
背番号さえ分かればそこから個人名を調べる手段など無数にある訳で、背ネームがなくなったからと言って「機能が下がった」とまでは思わない、というのが私の意見だ。

また、こちらもあくまで私個人の価値観だが、私にとって背ネーム・胸番号の有無はデザインの良し悪しを左右するほどのものではない
そもそも広く「野球ユニフォーム」界全体で見れば、「背ネーム・胸番号アリ」の方が断然少数派。
巨人の球団史的に見ても、現行モデルの原典となっている1953 - 60年モデルは「背ネーム・胸番号ナシ」である。

昔のユニフォームが全てダサいとは思わないし、高校野球・大学野球のユニフォームが全てカッコ悪いわけではないし、ましてやレッドソックスやヤンキースのユニフォームをカッコ悪いと思うわけがない。

カープが「デザイン云々以前の問題」かつ「デザイン自体もイマイチ」であるのに対して、巨人は「(私はそうは思わないが)デザイン云々以前の問題」だとしても「デザインそのものはかっこいい」
私が阪神ファンであることをご存知であれば、決してこの考え方が「巨人贔屓」によるものではない、ということはお分かり頂けるだろう。

個人的には、注目すべきは背ネームの有無よりも、胸ロゴの書体が伝統の花文字からメディア用・印刷用としてスリムにリファインされたタイプの書体に置き換えられたことと、ナイキ製=ファナティクス製の独特なストライプ柄入りの生地が採用されたことだと思う。

前者に関しては是非を問うというよりも歴史的出来事として記録しておくべき事案としての注目ポイントだが、後者に関しては明確なマイナスポイントとして言及したい。

西武もそうなのだが、この独特なストライプ柄入りの生地の微妙なチープさがなんとも雰囲気・風格を削いでいるように思う。同じナイキ製でも、MLB球団の目の詰まったニット地のユニフォームとは雲泥の差。
デザインは大きく変更されていないながら前年2位から今回3位へ転落したのは、ほとんどこのせいと言っても過言ではない。

第2位

阪神タイガース
(前回順位:3位)

阪神のユニフォームに関しては、もう幾度となく良さを語り続けてきたというか、私がnoteを始めようと思ったのも、元々はいかにこのユニフォームが素晴らしいかを発信したい、という思いが爆発したからこそ。という話も何度目だろうか。

どの記事だったかで(色んな記事で言及しすぎてもう憶えてない)「正統派ネオクラシック、最高峰」というキャッチコピーを付けたのだが、まさにその一文に尽きる。

ミズノへのサプライヤー変更以降、不自然に太くなっていた縦縞を細く、間隔も狭くしたことで品のあるピンストライプが復活。
その縦縞を邪魔しないように襟・袖を縁取るように配された黄・黒のラインがポップな印象を演出している。その取り合わせが最高だ。

阪神のユニフォームは「白黒バージョン」と「黄色ありバージョン」の2系統に大きく分けられるが、個人的には現行モデルを「黄色ありバージョン」の中での歴代No.1に位置付けている。

特にビジターユニに関しては、「上下グレー+縦縞+黄色ライン」という組み合わせが実は球団史上初のものである、という事実は小手先の「新しい要素」に頼らずとも「新しさ」を生み出すことは十二分に可能である、ということを証明している。

「上下グレー」も「縦縞」も「黄色ライン」もどれも、1つ1つは別に珍しいものでも新しいものでもなく、全て阪神が球団史の中で一度ならず採用していたことがあるもの。
それらが組み合わさった結果新しいものができる、という現象はまさに温故知新以外の何物でもない。
これこそ、まさに「ネオ・クラシック」なのである。

前年はビジター用ヘルメットのツバ縁ラインが気に入らないという部分がネックとなり、2位巨人にわずかに及ばず3位となったが、ビジター用キャップのマイナーチェンジが行われたことでその不満点が解消。
ホームユニ左胸に「Joshin」の広告ロゴが入るという超絶改悪がなされてしまったものの、巨人のサプライヤー変更による生地の変化との兼ね合いもあって阪神がわずかに上回る結果となった。

第1位

オリックス・バファローズ
(前回順位:1位)

今回も、堂々の1位に輝いたのはオリックス。
まずもってロゴの完成度と紺と金のカラーリングが最高中の最高。
この二点だけで既に500億点ほど出ている訳であり、誰が見てもカッコいいと思えるユニフォームになっている。
1位に推すほどではない、と言う人でも「カッコよくない」とは思わないだろう。

オリックスのユニフォームは2011年のチームブランド刷新以降はどれをとってもとてもカッコいいのだが、個人的にはやはり現行のモデルが一番雰囲気があって良い。
「紺+金+紺」のやや太めのラインが胸ロゴの重厚感と相性が抜群で、ブルーウェーブ時代を彷彿する「本物感」を演出している。

オリックスのユニフォームの素晴らしいところは、デザインもさることながらそこに込められたこだわりにある。
2017年にサプライヤーがデサントに変更となった際、デサント側が昇華プリントの採用を打診したところ、球団は「重厚感や風格を大事にしたい」という理由でそれを固辞したという。何と素晴らしいことだろうか。

その他にも、ニューエラ製のキャップに柄入りストッキング、ゴツめの独特なブロック体の背番号など、センスの良さを感じさせる要素が随所に詰め込まれている。

欠点を挙げるとすれば、ビジターユニが上下グレーではなくネイビーシャツ+白パンツのセパレートタイプであることに加え、右袖のプライマリーマークがなくなった代わりに広告ワッペンがついてしまったこと。

カモメマークを完全になくしてしまったロッテとは違い、プライマリーマークはキャップのサイドに「移動」という形になっている分まだマシなのだが、「両袖に広告ロゴ」というのはどうにも粋ではないように感じてしまうのが残念だ。

とは言え、元々A+++級だったのがA++級になったくらいのニュアンスなので、依然トップの座は揺るぎないものとなっている。

最後に

最後に、今一度順番に並べてみよう(矢印・数字は前年比)。

1 オリックス →0
2 阪神 ↗︎1
3 巨人 ↘︎1
4 ロッテ ↗︎2
5 ヤクルト →0
6 中日 ↗︎2
7 楽天 →0
8 ソフトバンク ↗︎1
9 日本ハム ↗︎2
10 西武 ↗︎2
11 DeNA ↘︎1
12 広島 ↘︎8

広島の圧倒的な急降下でかなり順位が変動した形。

因みにこのランキングは点数化などによる絶対評価ではなく、あくまで相対評価によるものではあるが、オリックスの1位=S評価を基準として簡易的にABC評価風に並べてみるとこんな感じ。

S
 オリックス
A+
 阪神 巨人
A
 ロッテ ヤクルト
B
 中日 楽天
C
 ソフトバンク 日本ハム
D
 西武 DeNA
E
 広島

繰り返しになるが、これらは全てあくまで私個人の独断と偏見と気分によるものなので、人によって全然考え方が違って当然だろう。
そのため、「異論は認める」と言うか、異なる意見についてはむしろ大歓迎である。
そういう自分と考えの異なる人の意見を見聞きするのも大変楽しいことなので、是非みなさんのランキングも教えて頂けたりするととても嬉しい限り。

以上、プロ野球 ユニフォームランキング2023でした。
お付き合いいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?