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#オレンジ
『オレンジのカーディガン』商店街シリーズ第4話
始発に近い駅から乗る電車で、私はいつも座って通勤する。職場がある駅の改札へ向かう階段に一番近い車両の、扉の横の座席が定位置になっている。
毎日同じ時間、同じ区間を乗り合わせていれば、自然と決まった顔ぶれを覚えていく。
いつからか、同じ駅で降りる彼の姿を記憶していた。
乗客が増えてきてから乗り込んでくるその人は、いつもドア付近に立つ。不安定に揺られながら片手でビジネスバッグを持ち、もう片手でビジ
始発に近い駅から乗る電車で、私はいつも座って通勤する。職場がある駅の改札へ向かう階段に一番近い車両の、扉の横の座席が定位置になっている。
毎日同じ時間、同じ区間を乗り合わせていれば、自然と決まった顔ぶれを覚えていく。
いつからか、同じ駅で降りる彼の姿を記憶していた。
乗客が増えてきてから乗り込んでくるその人は、いつもドア付近に立つ。不安定に揺られながら片手でビジネスバッグを持ち、もう片手でビジ